【行政書士が解説】日本で自営業をしている外国人の帰化申請ガイド
要件・必要書類・手続きの流れを完全網羅

投稿日:2026年2月9日

自営業者(個人事業主)の帰化審査は、会社員よりも厳しいです。ビジネスとプライベートの家計が密接に関係しているため、「正しく納税されているか」「生活を維持できる安定した収益があるか」が、納税証明書や確定申告書等を通じて厳しくチェックされます。よって、提出する書類も非常に多く、すべての書類をを正確に揃えるのは至難の業です。

この記事では、忙しい自営業の方のための「帰化の手続きの流れ」や「必要書類」等を分かりやすく丁寧に解説します。あなたの新しい第一歩を支えるガイドとして、ぜひ最後までご覧ください。

1.自営業者が帰化するための基本要件

まずは自分が帰化の対象かどうか、チェックしましょう。各要件を詳しく確認したい方はこちらをご覧ください。

  1. 居住要件: 引き続き5年以上日本に住んでいること(うち3年以上は就労経験が必要)

  2. 能力要件: 18歳以上であること

  3. 素行要件: 税金・年金の未納がないこと、交通違反や犯罪歴がないこと

  4. 生計要件: 自分又は配偶者の収入で安定して暮らせること(世帯年収300万円以上が目安)

  5. 重国籍防止要件: 日本国籍を取ったら元の国籍を放棄できること。

  6. 憲法遵守要件: 日本政府を暴力で破壊するような考えを持っていないこと

  7. 日本語能力要件: 小学校4年生程度の読み書きができること

なお、自営業者でも日本人と結婚されている方は、1の要件が緩和されます。詳しくはこちらをご覧ください。

2.帰化申請の手続きの流れ

帰化の手続きは非常に時間がかかり、申請を受け付けてもらってから結果が出るまでに通常1年程度かかります。加えて、国籍離脱の手続きが必要な国については、その手続きだけでさらに1年以上かかることがあります。
長期戦を覚悟して臨みましょう。手続きの流れの詳しい内容はこちらをご覧ください。

  内容 期間・回数
STEP1

法務局での事前相談(要予約)

1日

STEP2

本国及び日本の書類の収集・申請書類の作成

3ヶ月程度
STEP3

法務局での書類点検(要予約)

2回程度
STEP4

帰化申請の受付(要予約)

1日
STEP5

法務局での面接(申請から2~3ヶ月後に連絡あり)

1日
STEP6

法務局での審査

1年程度
STEP7

法務局から国籍離脱の指示(手続きの必要がある許可予定の方のみ)

1回
STEP8

国籍離脱の手続き

3ヶ月~
STEP9 許可・官報公示  

3.帰化申請に必要な書類

自営業の方は、事業に関する書類に加えて、家族構成によって提出書類が異なります。ここからは、外国人と結婚した自営業の方が、帰化申請するための代表的な必要書類をご紹介します。(申請者の状況によって求められる書類が異なりますので、必ず法務局で必要書類を確認してから準備してください)

(1)本国から取り寄せる書類
  • 出生証明書(本人と配偶者のもの)
  • 婚姻証明書(本人と配偶者の結婚を証明するもの)

  • 国籍証明書(領事館発行の証明書)

  • 両親の結婚証明書・出生証明書

  • 家族関係証明書(本人と配偶者のもの)

  • 卒業証明書(最終学歴が本国の場合)

  • 申述書(母又は父が申請者の出生に関する情報等を記載する書類)

上記に加えて、すべての外国語書類に翻訳文が必要です。自分で翻訳しても良いですし、業者に依頼しても良いですが、翻訳者の住所、氏名、翻訳年月日を記載する必要があります。また、本人と配偶者のパスポートも必要です。

(2)日本の役所・勤務先等で集める書類
  • 住民票の写し(世帯全員分で省略のないもの)

  • 源泉徴収票(配偶者が働いている場合に、配偶者の直近のものが必要)

  • 課税・納税証明書(直近1年分で本人と配偶者のもの)

  • 所得税の納税証明書(直近3年分で同一生計家族も個人事業主の場合は、その家族のものも必要)

  • 事業税の納税証明書(直近3年分)

  • 消費税の納税証明書(売上1,000万円を超える場合に直近3年分必要)

  • 所得税の確定申告書の控え(直近1年分)

  • 確定申告の義務がある場合は、徴収金の領収書の写し

  • 営業許可が必要な事業の場合、営業許可証の写し

  • 直近決算期の貸借対照表と損益計算書の写し

  • 修正申告書の控えの写し(直近3年間で所得税等を修正申告した場合)

  • 年金記録の写し(直近1年分で本人と配偶者のもの)

  • 特別永住者証明書又は在留カードの両面コピー

  • 自動車運転免許証の両面コピー
  • 5年分の運転記録証明書(免許取得後5年未満でも5年分が必要)
  • 運転免許経歴証明書(失効した人、取り消された人のみ)
  • 卒業証明書(最終学歴が日本の学校の場合)
  • 技能・資格証明書又は免許証のコピー(国家資格や日本語能力試験の合格証がある場合)
  • 預貯金残高証明書又は通帳のコピー
  • 土地・建物登記事項証明書(不動産を所有している場合)
  • アパート等の賃貸借契約書(賃貸物件に住んでいる場合)
  • 自宅の写真(外観、玄関、リビング、キッチン、寝室、トイレ、洗面所、自家用車等)
  • 家族との写真
  • 資格確認書又はマイナポータル内の健康保険証(又は医療保険)の資格情報を印刷したもの
  • 年金証書(ある場合のみ)

日本で集める公的書類は発行されてから3ヶ月以内のもの(運転記録証明書のみ2ヶ月以内)を提出する必要があります。そのため、本国の書類が全て揃い、法務局での書類点検を終えてから集め始めることをおすすめします。

(3)自分で作成する書類
  • 帰化許可申請書:申請者の基本的な情報を記入します。写真(5cm×5cm)を貼りつける必要があります。
  • 帰化の動機書申請者が自筆で帰化をしようと思ったきっかけや理由を記載します。
  • 親族の概要 日本と外国の両方の親族を記載します。
  • 履歴書その1出生から現在までの居住歴、学歴・職歴、身分関係を記載します。
  • 履歴書その2出入国歴や技能・資格、使用言語、賞罰を記載します。
  • 生計の概要その1:1ヶ月にどのくらいの収入と支出があるかを記載します。
  • 生計の概要その2現在保有する資産について記載します。
  • 事業の概要:事業の概要について記載します。
  • 在勤及び給与証明書申請受付1ヶ月前の給料をご自身の事業所が証明する書類です。

本国及び日本の書類が集まったら、作成できる書類からどんどん作成していきましょう。

4.失敗しないための重要ポイント

帰化申請をスムーズに進めるために、特に見落としがちな「4つの重要ポイント」を確認しておきましょう。

  1. 交通違反を隠さない:「ついうっかり」の駐車違反やスピード違反もすべて審査の対象です。小さな違反だからと隠すと「不正直な人」と判断されてしまいます。過去の違反歴は、正直にすべて申請書へ記載しましょう。

  2. 税金・年金の「支払い期限」を守る:「払っていればOK」ではありません。税金、年金、健康保険料が「期限通りに」支払われているかが厳しくチェックされます。このチェックは「世帯全体」が対象となるため、配偶者の方に未納が無いかも非常に重要です。もし未納や期限遅れがある場合は、申請前に必ず解消し、対策を練る必要があります。
  3. 1ミリの嘘も書かない(虚偽記載の厳禁):「うろ覚えで書いた出入国の記録」や「親族情報の書き漏らし」は、たとえ悪気がなくても「嘘をついている」と疑われる原因になります。必ずパスポートや公的な証明書と照らし合わせ、正確に記入しましょう。
  4. 修正申告と重加算税はマイナス評価:所得を少なく申告し、後で修正した場合はマイナス評価となります。過去3期以内に修正がある場合は、修正申告書の控えも提出する必要があります。単なる修正であれば許可の可能性はありますが、悪質な隠蔽として重加算税を課された場合は、その後2〜3年は申請できない可能性が高いため注意が必要です。

5.まとめ

自営業の方の帰化申請は、日々の事業を止めることなく、いかに効率よく「完璧な書類」を揃えられるかが成功の分かれ道です。特に結婚されている場合、ご家族全員の税金や年金の状況まで細かくチェックされるため、準備の負担は想像以上に大きくなります。

「仕事が忙しくて役所へ行く時間がない」「今の年収で審査に通るか不安」といった場合は、当事務所にご相談ください。日本の公的書類の収集から複雑な申請書の作成、そして緊張する法務局への同行まで、ワンストップでサポートします。あなたの大切な時間を守りながら、日本国籍取得というゴールまで最短距離で並走いたします。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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