運営:かざはな行政書士事務所
投稿日:2025年8月21日
帰化申請をする際の必要書類の1つに「履歴書」というものがあります。履歴書には、「その1」と「その2」があり、「その2」は、帰化を希望する人の出入国歴や技能・資格、使用言語、賞罰を記載するものです。決して難しい書類ではありませんが、意外と注意すべきポイントが多いです。
この記事では、履歴書その2の書き方について、記載例とともに解説します。
まず、履歴書その2を作成するにあたり、押さえておくべきルールとして、履歴書は、帰化をしようとする人ごとに作成する必要があります。よって、家族で一緒に帰化申請をする場合は、父、母、子どもそれぞれの帰化許可申請書を作成しなければなりません。ただし、15歳未満の申請者は、履歴書の提出は免除されますが、審査期間中に申請者が15歳になった場合は、追加で履歴書の提出を求められます。
また、履歴書は、手書きで作成しても、パソコンで作成してもどちらでも良いですが、同じものを2部用意する必要があります。手書きで作成する場合は、1枚作成してそれをコピーして用意すれば大丈夫ですし、パソコンで作成する場合は、2部印刷すればよいです。帰化申請については、他の提出書類にも言えることですが、同じものを2部(正本と副本)提出する必要があるということを覚えておいてください。あと、手書きの場合は、修正液や修正テープを使用してはいけないことにも注意してください。
それから、履歴書その2には出入国歴を記載しますが、その対象期間は申請者によって異なります。詳しくは後述しますが、自分の対象期間を確認してから作成しましょう。
なお、書類の様式は住所地を管轄する法務局のHPからダウンロードして作成しましょう。参考に、当事務所がある広島法務局の様式を掲載しておきます。
それでは早速、履歴書その2の記載例(出典:帰化許可申請のてびき)を見ながら、注意すべきポイントについて、確認していきましょう。
❶氏名は、氏、名の順番で漢字、ひらがな、カタカナで記載してください。アルファベットでの記載はできません。ミドルネームがある場合は、ミドルネームも記載してください。また、中国の簡略体漢字は、日本の正字に引き直して記載する必要があります。
❷出入国記録の対象期間は申請者によって異なります。例えば、普通帰化で申請する一般的な外国人の方は5年間、簡易帰化で申請する外国人については、日本人の配偶者や日本で生まれた方で3年以上日本に住んでいる方は3年間、日本人の配偶者で婚姻日から3年以上経過し、かつ1年以上日本に住んでいる方は1年間の記載が必要になります。また、父母のどちらか一方が日本人(帰化した場合も含む)の方や、日本人と養子縁組をしている方も1年間の記載が必要です。
❸対象期間内で、出入国をした日付が古い順に上から記載していきます。年月日はすべて日本の元号(和暦)で記載してください。元号の記載は省略可能です(例:令和5年⇒令5)。もし、海外出張等が多く、出入国記録が1枚に収まらない場合は、複数枚に渡って対象期間内すべての出入国の履歴を記載してください。日本を出国していた期間が長いほど、審査が厳しくなりますが、正直に書いてください。
期間の書き方としては、日本を出国した日を期間の始期に書き、日本に帰国した日を期間の終期に書いてください。この日付は、パスポートを見ながら書いていくこととなりますが、あまりにも出入国が多い方やパスポートのスタンプが不鮮明の場合は、入管から「出入国記録」を取り寄せることをおすすめします。取り寄せ方はこちらをご覧ください。ただし、この記録には、どこの空港を利用してどの航空便で渡航したのか、出国日と帰国日はいつなのかといった情報しか載っていませんので、実際にどの国にどのような目的で滞在したのかはご自身で思い出していただく必要があります。
❹出国していた日数を記載します。❸の出国日から帰国日までを数えてください。1か月を超える長期の場合は、実際にカレンダーで確認しながら数えるようにしてください。
❺渡航先の国名や地域名を記載します。もし一度の渡航で複数国を訪れいている場合は、訪問国すべてを列記してください。
❻渡航の目的や同行者を記載します。本国の実家に帰省した場合は「親族訪問」と記載し、出張した場合や観光旅行をした場合は、誰と行ったのかを「会社の同僚と出張(観光旅行)」といった形で記載します。
❼列挙した出国日数の合計を記載します。
❽免許を必要とする職業に就いている方(例:医師、薬剤師、看護師、教員、美容師、建築士、調理師等)は、その技能・資格について記載する必要があります。いつ、何の資格を取得したのかということとその認定番号等の情報を記載してください。また、自動車の運転免許を取得している場合には、免許取得日、免許の種類、免許番号を記載してください。免許取得日は免許証の左下に書かれています。交付日と間違えないように気を付けてください。それから、日本語能力に関する資格を取得した方も必ず記載してください。日本語能力に関する資格は、帰化審査の際にアピールできる要素となります。なお、特に資格が無い場合は、「なし」と記載してください。
❾本国において、親族や友人との間で主に使用している日本語以外の言語を記載します。よって、日本生まれ日本育ちで、本国の親族との会話も日本語のみで行われる場合は、「なし」と記載してください。
❿過去から現在までの違反歴すべてを記載します。交通違反に関しては、運転記録証明書を取り寄せると過去5年間の記録が記載されていますが、それより前の違反についても記載する必要があります。記載する際は、記載例のように反則金の金額も書く必要があります。また、行政罰や刑事罰の記録もすべて記載する必要があります。
帰化の許可が下りるかどうかは、犯罪の程度、犯罪をした日からの期間や回数によって個別に判断されます。目安としては、過去2年間で3回以上、過去5年間で4回以上交通違反があると、審査はかなり厳しいものとなります。特に飲酒運転やスピード違反等で免許停止処分を受けている方は、帰化申請するまで期間をあけたほうがよいでしょう。それから、刑事罰や行政罰を受けている方は法務局での帰化の事前相談の際に、審査官に確認しておくことをおすすめします。特に賞罰が無い場合は、「なし」と記載してください。
⓫確認欄は空欄のままにしておいてください。
この記事では、履歴書その2の書き方について解説しました。
履歴書その2は、申請者の状況によって、多くの情報を記載する必要がある方と記載する情報がほとんど無い方とに分かれると思います。ご自身がどちらに該当するかは、上記の注意すべきポイントを読んで、確認してみてください。
もしこの記事を読んで「多くの情報を調べる必要があり、書類を作成するのが難しい」、「仕事が忙しくて準備する時間がない」といったお悩みをお持ちの場合は、一人で抱え込まず、ぜひ帰化専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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