帰化申請の面接について

投稿日:2025年8月14日

帰化の許可を得るためには、面接を受けなければならないと聞くと、緊張したり不安になったりする方も多いのではないでしょうか?
「どんなことを聞かれるんだろう?」「もし答えられなかったらどうしよう…」そんな不安を抱えるのは当然のことです。

この記事では、面接でよく聞かれるポイント等をわかりやすく解説します。この記事を読んで、面接の不安を解消しましょう!

1.面接の時期や場所について

まず面接の時期ですが、帰化申請の書類が受理された後、2~3か月後に、法務局から申請者の携帯電話に電話がかかってきて、面接の日時について調整することとなります。平日の日中にかかってきますので、電話に出られない場合は、着信履歴を確認してすぐに折り返せるようにしておきましょう。審査をスムーズに進めてもらうためには、電話連絡があってから、2週間以内の平日に面接してもらうよう調整するのがよいでしょう。申請者がご家族(例:配偶者)と同居している場合は、そのご家族が帰化申請していなくても、一緒に面接に来るように言われることもありますので、ご家族も一緒に心の準備をしておいてください。なお、面接の対象者は15歳以上の申請者ですので、15歳未満の申請者については、面接は免除されます。
面接の場所は、法務局の一室です。申請者と審査官が1対1で面接した後、ご家族の同行を求められた場合、ご家族も審査官と1対1で面接します。ご家族が日本語を理解できない場合は、通訳の同行が必要です(申請者が通訳になることはできません)。なお、面接時の服装は、普段着(スーツである必要はありません)で構いませんが、審査官の心証を悪くしないために、清潔で派手すぎない服装で臨みましょう。

2.面接でよく聞かれるポイントについて

面接で聞かれる内容は、申請者の状況や申請書類の内容によって異なるため、この質問が必ずあるから答えられるようにしておけば大丈夫というものではありません。ですが、大きく分けて次の6つのポイントを聞かれることが多いです。どのポイントにも言えることですが、面接で答える内容が、提出書類と整合性があること(矛盾が無いこと)が非常に重要です。ちなみに、面接時間についても、申請者によってかなり異なりますが、1時間程度であることが多いようです。

  1. これまでの経緯について
  2. 仕事内容について
  3. 家族について
  4. 身分関係について
  5. 素行について
  6. 年金保険料や税金の支払い状況について
(1)これまでの経緯について

こちらは申請者全員が聞かれる内容です。申請者がどこで生まれたか、日本に来た動機やきっかけはどのようなものか、来日してから現在の居住歴・学歴・職歴等を聞かれます。こちらの質問については、なぜ来日したのか、そして来日してから今までどのように過ごしてきたのかを素直に答えれば問題ありません。
ここで注意しておくことは、在留資格がどのように変わってきたかも細かく確認されることが増えてきたということです。適正な在留資格を持って、日本で継続して(空白期間無く)活動してきたかどうかを確認されるため、入管では在留資格の変更まで厳しく求められなかった事案でも、帰化申請の審査では見逃してもらえないことがあります。その場合、適正な在留資格を取得してからの年数のカウントとなるため、居住要件の年数を満たさないと判断されることもあります。

(2)仕事内容について

主に、提出書類の内容と申請者が口頭で説明する会社名、業種、業務内容が合っているか、今持っている在留資格に沿った内容の業務を行っているか、反社会的活動をしていないか等を聞かれます
また、生活できるだけの給与を確保しているか、職場の人間関係はうまくいっているか等、安定した生活を日本で営むことができるかどうかも聞かれることが多いです。以前は、年収基準はありませんでしたが、現在は一世帯あたり、最低でも300万円以上であることが求められ、扶養家族が増えるほど、その年収基準額は上がります。

(3)家族について

こちらは、本国にいる家族と日本にいる家族の概要の確認や日本にどのくらい縁やゆかりがあるのかを把握するための質問となります。また、申請者が帰化することに対して、本国の両親が賛成しているか反対しているか、申請者の兄弟姉妹が来日している場合は、その兄弟姉妹が帰化することを希望しているかどうか等が聞かれることもあります。この質問に対して、どのように回答しても、その方たちに不利益が及ぶことはありません。例えば、現状、兄弟姉妹は帰化を望んでいないと言っているとしても、将来、気持ちが変わって帰化申請をすることもあると思います。しかし、その際に、この面接や提出書類での回答が原因で不許可になることはありません。現在の状況を正直に答えれば問題ありません。

(4)身分関係について

日本人の配偶者が申請者の場合、特に偽装結婚ではないかが審査されます。また、配偶者の人柄も審査するため、多くの場合、申請者の配偶者も面接に来るように言われます。
質問される内容としては、配偶者と知り合った時期や場所、配偶者と付き合うきっかけ、交際期間、配偶者の現在の状況(無職・アルバイト・会社員・経営者等)等です。

(5)素行について

こちらは、警察にお世話になったことがあるかどうか、ある場合はその内容、駐車違反等の軽微な反則を含む交通違反歴、軽犯罪法を含めた犯罪歴、銀行口座から多額の出入金がある場合はその理由等を聞かれます。過去の過ちを正直に話し、今後の人生にどのように活かしていくかを自分の言葉で話す必要があります。また、運転中に車をぶつけられた等、被害者であっても警察を呼んで対処した事例があれば、警察のお世話になったことに含まれますので、正直に話しましょう。

(6)年金保険料や税金の支払い状況について

会社員の方は給与から天引きされますし、また、申請時にこれまでの納税証明書等を提出するため、こちらの質問をされる方は多くないと思います。しかし、会社経営をされている方や個人事業主は、申請時から数か月後に面接になりますので、受付時点から面接期間までに滞納がないかどうか等を面接で確認されることがあります

3.その他の留意点

ここまで、よく聞かれるポイントについて解説してきましたが、その他にも、面接に臨む際の留意点がありますので、併せて確認しておいてください。

  • 申請書類の内容をよく読み、把握しておくこと
  • 審査官から聞かれたことには素直に、そして正直に答えること
  • 過去の過ちを隠さないこと(正直に話し、反省していることを伝えることが重要)
  • 日本語能力テストがあることを想定し、N3程度の読み書きができるよう準備しておくこと

4.まとめ

この記事では、帰化申請の面接で聞かれるポイントを中心に解説しました。

とは言え、面接で聞かれる質問は一人ひとり異なります。もし「自分の場合はどうなるんだろう?」「記事を読んでもまだ不安が残る…」という場合は、専門家である行政書士にご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で
国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。

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