タイ人との国際結婚の手続きについて

投稿日:2025年12月8日

日本人とタイ人の国際結婚の手続きは、どこで先に手続きを行うかによって、その流れが大きく変わります。

具体的には、

  • 日本で先に手続きをする場合
  • タイで先に手続きをする場合

の2つのパターンが存在します。

この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。

1.結婚できる年齢等について

まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。

日本人とタイ人との国際結婚の場合、日本人は、男女ともに18歳以上であることが求められますが、タイ人は、男女ともに17歳以上であれば結婚できます。ただし、20歳未満の場合は両親の同意が必要です。また、タイ人女性には離婚後310日間の再婚禁止期間がありますが、妊娠していない証明があれば短縮される場合があります。

なおタイでは同性婚が認められていますが、日本では認められていないため、タイで日本人とタイ人の同性婚が成立していても、日本では配偶者ビザを取得することができません

2.日本で先に手続きをする場合

結婚予定のタイ人の方が、日本に在留している場合は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。詳しくはこちらもご覧ください。

(1)お住まいの市区町村役場に必要書類を確認する

最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。

【日本人が用意するもの】

  • 婚姻届
  • 戸籍謄本 ※本籍地以外の役場に提出する場合のみ

’【タイ人が用意するもの】

  • 認証を受けた婚姻状況証明書とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 申述書(日本語の見本はこちら
  • 住居登録証とその日本語翻訳文 
  • パスポートとその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 在留カード
(2)タイの市区役所で婚姻状況証明書を取得する

タイの市区役所でタイ人が用意しなければならない書類のタイ語版と英語版を発行してもらいます。発行に必要な書類は市区役所に確認してください。その後、タイの外務省で認証を受けます。なお、これらの書類には日本語訳もつける必要がありますが、この日本語翻訳文には認証は不要です。

認証後、3ヶ月以内に、お住まいの地域を管轄する駐日タイ王国大使館・総領事館でタイ語版のみ認証を受けます。東京、大阪、福岡に大使館、総領事館がありますが、管轄地域が明示されていないため、最寄りの大使館等に確認してください。

(3)お住まいの市区町村役場に婚姻届等を提出する

無事、認証を受けた婚姻状況証明書等を取得できたら、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。
ですが、タイに結婚の報告をする必要があるため、その手続きで求められる婚姻事実が記載された戸籍謄本を取得したい旨も併せて窓口で伝えましょう。基本的には即日発行される書類です。

戸籍謄本を取得したら、英訳して、公証人役場で翻訳者の署名認証及び法務局で公証人押印証明を受けた後、日本の外務省領事局証明班で公印確認を受けてください。そして、その認証日から3ヶ月以内に、認証済みの書類をタイ語に訳し、駐日タイ王国大使館・総領事館で認証を受けてください

※東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、北海道、宮城県及び福岡県の公証人役場では、申請者からの要請があれば、公証人の認証、法務局の公証人押印証明及び外務省の公印確認を一度に取得できます。このワンストップサービスをご利用になると、法務局や外務省に出向く必要はありません。

(4)駐日タイ王国大使館・総領事館に戸籍謄本等を提出する

日本で先に結婚手続きを行った場合、その事実をタイ政府に報告する必要があります。
管轄の駐日タイ王国大使館・総領事館に次のような書類を提出することで、報告的手続きが完了します。管轄の大使館等によって異なる場合がありますので、必ず確認してください。

  • 申請書
  • 夫婦のパスポートのコピー
  • 認証済みの戸籍謄本とそのタイ語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • タイ人の国民身分証明書のコピー
  • タイ人の住居登録証のコピー
  • タイ人の在留カードのコピー
(5)入管に配偶者ビザの申請をする

タイ人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請又は認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。
中長期の在留資格を持つ方が変更許可申請を行う場合についてはこちらを、短期滞在ビザ(90日)から手続きを行う場合はこちらをご覧ください。

配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

3.タイで先に手続きを進める場合

結婚予定のタイ人の方がタイに在住している場合は、タイでの手続きを先に進めた方がスムーズです。日本人はノービザ(30日以内)でタイに渡航できるからです。
ここからはタイで先に手続きする場合について解説します。詳しくはこちらもご覧ください。

(1)日本人の結婚資格宣言書等を取得する

まず、結婚予定の日本人がタイでの結婚の条件を満たしていることを証明する書類(結婚資格宣言書・独身証明書)が必要です。これらの書類は、日本人本人がタイにある日本国大使館・総領事館に行って取得します
これらの書類を取得するために必要とされる一般的な書類等は、以下のとおりです。

  • 日本人の戸籍謄本 ※発行から3ヶ月以内のもの 
    離婚歴がある方は離婚事項(又は死亡事項)が記載されている前の戸籍(改製原戸籍・除籍謄本等)もご用意下さい。また、本人・両親の氏名、本籍地・出生地名にふりがなを振ってください。
  • 日本人の住民票 ※発行から3ヶ月以内のもの
  • 日本人の在職証明書 ※発行から3ヶ月以内のもの
    会社発行及び自分で作成した在職証明書については、公証人役場で宣誓認証を受け、その後法務局で法務局長の認証を受けてください。公的機関が発行した在職証明書の場合は、上記公証の手続きは不要です。
  • 日本人の所得証明書 ※市区町村役場発行のもので、発行から3ヶ月以内のもの
  • 日本人のパスポートとそのコピー

  • 証明発給申請書

  • 結婚資格宣言書作成のための質問書

  • タイ人の身分証明書とそのコピー

  • タイ人の住居登録証とそのコピー

  • その他、タイ人について離婚歴があれば離婚登録証、氏名の変更がある場合は氏名変更証、婚姻歴は無いが子どもがいる場合は子どもの出生登録証(それぞれ原本とそのコピー)

申請後、原則3営業日後に日本人が再び在タイ日本国大使館等に来館し、結婚資格宣言書の内容を確認した上で交付されます。

(2)結婚宣言書等をタイ語に翻訳し、タイ政府の認証を受ける

結婚資格宣言書と独身証明書を取得したら、タイ語に翻訳した上でタイ政府の認証を受ける必要があります。在タイ日本国大使館等で発給を受けた証明書は、タイ国外務省領事局(バンコク)で認証手続きを行います。

(3)タイ国郡役場で手続きする

認証を受けた結婚資格宣言書と独身証明書を取得したら、タイ人配偶者が住んでいる郡役場で、婚姻手続きを行います。婚姻手続きに必要な書類については、直接手続きを行う郡役場に確認してください。
婚姻届が受理され、「婚姻登録証」が発行されたら、タイでの婚姻手続きは終了です。

(4)日本の役場へ報告的届出を行う

タイで結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。お住まいの市区町村役場で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。日本の役場で手続きをした方が、戸籍に婚姻事実が記載されるまでの時間が短いため(1週間程度)おすすめですが、引き続きタイに滞在する場合は、タイにある日本大使館・総領事館で手続きを行うこともできます。ただし、婚姻事実が記載されるまでに1~2か月ほどかかりますので、注意してください。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。

この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。

(5)入管に配偶者ビザの認定証明書交付申請をする

タイ人との国際結婚が成立し、タイ人配偶者と日本で暮らす場合は、タイ人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください(この手続きで婚姻の記載がある戸籍謄本を求められるため、日本国内の役場で報告的届出をした方がスムーズに手続きできます)。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

4.まとめ

この記事では、日本人とタイ人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合とタイで先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、

  • 結婚予定のタイ人が日本在住(滞在)なら、日本で先に手続き
  • 結婚予定のタイ人がタイ在住なら、タイで先に手続き

が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いですが、お二人でしっかり相談して、どちらで先に手続きをされるか、決められるとよいと思います。どのような道を選ばれるにしても、お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。

結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人とタイ人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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