短期滞在ビザから配偶者ビザに変更できる?

投稿日:2025年8月13日

「短期滞在ビザで来日しているパートナーとこのまま日本で暮らしたい。だけど、短期滞在ビザから配偶者ビザに変更することは可能なのかな?」このような疑問をお持ちではありませんか?

残念ながら、原則として短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更は認められていません。しかし、「絶対に不可能」というわけではありません。この記事では、短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更が原則として難しい理由から、例外的に変更が認められるケース、そしてそのための具体的な手続きや注意点まで、わかりやすく解説します。
大切なパートナーとの未来を築くために、ぜひ参考にしてください。

1.短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更が難しい理由

短期滞在ビザは、日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡等に対して許可されるビザで、他のビザに比べて比較的簡単に発給されるか、あるいはビザの発給を免除されて、容易に日本に入国できるものです。
このような目的や経緯で日本に滞在している外国人に対して、簡単に他のビザへの変更を認めると、日本の出入国管理制度の秩序が乱れることとなります。そのため、入管法では、短期滞在ビザから他のビザへの変更は、「やむを得ない特別の事情」がない限り許可しないと定められています。

2.やむを得ない特別の事情とは

それでは、どのような事情があれば、やむを得ない特別の事情と認められるのでしょうか。具体例をいくつかご紹介します。

  • 短期滞在中に日本人や日本に在留している外国人と結婚した、又は既に結婚している
  • 短期滞在中に子どもを出産した
  • 日本人、特別永住者、永住者の子どもである
  • 告示定住ビザに該当する者である
  • 高度人材(高度専門職ビザを持つ者)の配偶者、子ども、実親(配偶者の実親含む。条件あり。)である
  • 在留中に在留資格認定証明書が交付された
  • 入国後に病気やケガ等により、早急に治療する必要がある

上記を確認すると、やむを得ない特別の事情の中に、結婚した(結婚している)場合等、配偶者ビザの要件に関わるものが含まれていることが分かります。つまり、短期滞在中に結婚手続きを完了させたカップルや子どもを出産したカップル、既に結婚しているカップルは、やむを得ない特別の事情があると認められる可能性があるということです。

3.短期滞在ビザから就労ビザへの変更手続きについて

それでは、短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更の手続きについて、ご紹介します。
方法としては、次の2つがあります。詳しく見ていきましょう。

  1. 短期滞在中に、海外から呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請(以下、認定申請)をし、認定を許可されてから在留資格変更許可申請(以下、変更申請)をする
  2. 短期滞在ビザから直接、配偶者ビザへの変更申請をする
(1)短期滞在中に配偶者ビザの認定申請⇒変更申請

こちらの手続きの方が、入管の心証は良いだろうと思います。正規の入国手続き方法に従って申請しているからです。
認定が許可された時に、その外国人がたまたま日本にいるだけで帰国させるのも手間だろうから、そのまま日本に在留してもいいよ(短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更もそのまま認めましょう)ということです。
その一方で、手続きは認定申請と変更申請の2段階を経ることになりますので、手間がかかります。
また、認定申請中に短期滞在の在留期間が満了してしまうと、帰国しなければなりませんので、結局、通常と変わらない海外からの呼び寄せとなってしまう可能性もあります。認定申請は、本来海外にいる外国人を呼び寄せるために行う申請であるため、審査中の特例期間(在留期限を過ぎても、結果が出るまで又は在留期限から2か月間は在留できる)が適用されないことに注意が必要です。
その代わり、認定後の変更申請の審査は非常に早く、即日許可されることもあります。

STEP1

外国人が短期滞在ビザで来日する

在留期間は90日目的は親族訪問(配偶者の場合)又は知人訪問(婚約者の場合)であることが必須です。

STEP2

結婚手続きを完了させる

※日本と本国での手続きが完了していることが求められます。既に完了している場合は、次のSTEPへ進んでください。

STEP3

認定申請の書類を準備する

※本国の結婚証明書等も必要ですので、事前に取得しておくことをおすすめします。必要書類については、こちらを参照してください。

STEP4

認定申請の書類を入管に提出する

※認定申請の審査期間は2~3か月です。審査期間中に在留期間が満了となった場合は、帰国しなければなりません。オーバーステイは絶対にダメです。また審査期間中に、変更申請の書類も準備しておきましょう。変更申請は、認定証明書と申請書のほか、最低限の添付書類で大丈夫です。

STEP5

認定申請の許可が下りたら、すみやかに変更申請の書類を入管に提出する

※在留期間内に許可が下りたら、すぐに変更申請の書類を入管に提出しましょう。変更申請の審査期間中は、特例期間が適用されますので、在留期限を過ぎても、安心して日本に滞在できます。

STEP6

変更申請の許可が下りたら、入管で在留カードを受け取る

STEP7

配偶者ビザを持つ者として、日本での生活を始める!

※配偶者ビザには、就労活動の制限がありませんので、自由に仕事を選ぶことができます!

(2)短期滞在中に短期滞在ビザ⇒配偶者ビザに変更申請

こちらの手続きについては、直接、変更申請をしますので、審査中の特例期間も適用されます。最近は、入管の審査期間が長くなる傾向にあることから、やむを得ない特別の事情を合理的に説明できる場合は、2の方が安心かもしれません。

STEP1

外国人が短期滞在ビザで来日する

在留期間は90日目的は親族訪問(配偶者の場合)又は知人訪問(婚約者の場合)であることが必須です。

STEP2

結婚手続きを完了させる

※日本と本国での手続きが完了していることが求められます。既に完了している場合は、次のSTEPへ進んでください。

STEP3

変更申請の書類を準備する

※本国の結婚証明書等も必要ですので、事前に取得しておくことをおすすめします。また、やむを得ない特別の事情を理由書等でしっかり説明する必要があります。必要書類については、こちらを参照してください。

STEP4

入管の永住審査部門に変更申請の書類を持参して事前相談した後、受理が認められるようなら書類を提出する

※この手続きの場合、オンライン申請はできません。必ず窓口に行って、入管の担当者に事前相談をしてから、提出する流れになります。また、変更申請の審査期間は2~3か月です。変更申請の審査期間中は、特例期間が適用されますので、在留期限を過ぎても、安心して日本に滞在できます。

STEP5

変更申請の許可が下りたら、入管で在留カードを受け取る

STEP6

配偶者ビザを持つ者として、日本での生活を始める!

※配偶者ビザには、就労活動の制限がありませんので、自由に仕事を選ぶことができます!

4.まとめ

この記事では、短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更が原則として難しい理由から、例外的に変更が認められるケース、そしてそのための具体的な手続きや注意点について解説しました。

短期滞在ビザからの変更申請は、原則として認められていません。しかし、説明したように「やむを得ない特別の事情」が認められれば、許可される可能性は十分にあります。この事情を説得力のある形で入管に伝えるためには、専門的な知識と豊富な経験が不可欠です。ご自身で申請を進めることに不安を感じる方、許可の可能性を最大限に高めたい方は、ぜひ一度ビザ専門の行政書士にご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で
国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。

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