定住ビザの種類について

投稿日:2025年8月1日

在留資格の中でも、定住者(通称:定住ビザ)は、特別な事情を考慮して法務大臣が許可するものです。日系人や難民、家庭の事情等、多様な背景を持つ方々が対象となりますが、特定活動ビザに比べると、総じて日本との結びつきが強い外国人に与えられるビザと言えます。

この記事では、定住ビザの種類や取得要件等について詳しくご紹介します。

1.定住ビザの大分類について

定住ビザには、たくさんの種類がありますが、大きく分けると2つに分かれます。告示定住と告示外定住です。
告示定住は、法務大臣があらかじめ定めた文書(告示)に含まれる条件を満たす方が取得できる「規定型」の定住ビザです。日系人や一部難民等が該当します。
一方で、告示外定住は、告示には含まれないものの、離婚・死別、難民認定、親子関係等、個別事情を考慮して認められる「例外型」の定住ビザです。なお、告示外定住は、既に日本で暮らしている外国人が、特別な事情等により、在留資格変更許可申請をして取得することができるビザです。つまり、外国人を海外から呼び寄せるために、告示外定住ビザの認定証明書交付申請をすることはできないということです。

2.告示定住ビザの種類について

それでは、告示定住ビザにはどのようなものがあるか、具体的に見ていきましょう。

  主な該当者 内容

要件等

在留期間

1号

第三国定住による難民

「第三国定住」とは、難民として本国を逃れた人が、避難先の国での長期滞在が難しい場合、別の国である第三国へ移され、そこで合法的に定住が認められる仕組みです。
日本では2010年にミャンマー難民を対象とした受け入れを開始し、現在はアジア地域を対象に対象範囲を広げつつ継続的に難民を受け入れています。

  • 日本社会への適応や生計を立てることが見込まれること
  • 本人のほか、配偶者、子ども、両親、未婚の兄弟姉妹も対象となる(日本に上陸する直前まで一時滞在していた国に滞在する親族も対象)
原則5年

2号

 

 
3号 日系3世
  1. 日本人の子(日本人の配偶者等ビザ)の実子(3世)
  2. 元日本人の日本国籍離脱の実子(2世)
    ※離脱前は日本人の配偶者等ビザに該当
  3. 元日本人の日本国籍離脱の実子の実子(3世)
  • 素行が善良であること
5年、3年、1年、6か月のいずれか
4号 日系3世
  • 元日本人の日本国籍離脱の実子(外国籍)の実子(3世)
  • 素行が善良であること

5年、3年、1年、6か月のいずれか

5号 定住者の配偶者/日系2世・3世の配偶者
  1. 日本人の子(日本人の配偶者等ビザ)の配偶者(2世の配偶者)
  2. 1年以上の定住ビザを持つ者の配偶者
  3. 日本人の子(日本人の配偶者等ビザ)の実子の配偶者(3世の配偶者)
  4. 元日本人の日本国籍離脱の実子の配偶者(2世の配偶者)
  5. 元日本人の日本国籍離脱前の実子の実子の配偶者(3世の配偶者)
  • 2~5について、日本に在留している定住者(呼び寄せる側)が、その在留期間中に離婚した場合は申請不可

※日本に入国するために、自分が定住者と結婚して入国し、自らが定住者となったうえで、入国後すぐに離婚して、外国にいる外国人と結婚し、その外国人を定住者として日本に呼び寄せることを防止するための規定

5年、3年、1年、6か月のいずれか
6号 永住者の子/定住者の子/日系4世/外国人配偶者の連れ子
  1. 帰化により日本国籍を取得した者、永住者、特別永住者の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子
  2. 1年以上の定住ビザを持つ者の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子
  3. 日本人の子(日本人の配偶者等ビザ)の実子(又はその配偶者)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子(4世)
  4. 元日本人の日本国籍離脱後の実子(又はその配偶者)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子(3世)
  5. 元日本人の実子の実子(又はその配偶者)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子(4世)
  6. 帰化により日本国籍を取得した者、永住者、特別永住者、1年以上の定住ビザを持つ者の配偶者の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子(外国人の連れ子)
  • 1の帰化の実子については、帰化前に出生した実子が該当(帰化後に出生した子どもは日本国籍の子どもとなるため)
  • 1の永住者、特別永住者の実子については、外国で出生した者や日本で出生後、引き続き日本に在留していない者が該当
  • 3~5については、素行が善良であること
  • 6については、配偶者のビザが日本人の配偶者等ビザ又は永住者の配偶者等ビザであること

5年、3年、1年、6か月のいずれか

7号 6歳未満の養子
  1. 日本人の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
  2. 永住者及び特別永住者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
  3. 1年以上の定住ビザを持つ者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
※養子が入国後、6歳に達した場合でも、素行不良等、在留状況に問題が無ければ、告示外定住の在留期間更新が認められる可能性が高い 5年、3年、1年、3か月のいずれか
8号 中国残留邦人
  1. 1945年9月2日以前から中国に居住しており、9月2日当時、日本国民として戸籍を持っていた者
  2. 1の者を両親として、1945年9月3日以降に中国で出生し、引き続き中国に居住している者
  3. 1945年9月2日以前から中国に居住しており、9月2日当時、日本国民として戸籍を持っていない者で、その者の出生当時に両親が日本国籍を有していた者
  4. 1945年9月2日以前から樺太に居住しており、9月2日当時、日本国民として、日本又は樺太に戸籍を有していた者
  5. 4の者を両親として、1945年9月3日以降に樺太で出生し、引き続き樺太に居住している者
  6. 1、2の者で日本に永住帰国して日本に在留する者の親族
  7. 6歳になる前から、1~5の者と同居し、扶養を受けている者又は養子又は婚姻前の配偶者の子
  • 6の親族とは、配偶者、20歳未満の実子(配偶者無しの者)、障害のある実子(配偶者無しの者)で中国残留邦人の扶養を受けている者等を指す
5年、3年、1年、3か月のいずれか

3.日系人の告示定住について

ここまで、告示定住の種類について、一覧表でお見せしましたが、特に日系人について、該当するのかどうか、分かりにくい部分があると思います。なので、一般的な家族構成をもとに、日系人の家系図を作成してみました。ぜひ参考にしてみてください。

4.告示外定住ビザの種類について

続いて、告示外定住ビザにはどのようなものがあるか、主なものを具体的に見ていきましょう。

  通称 内容

要件等

在留期間

認定難民

難民認定を受けた外国人

  • 退去強制事由に該当しない限り、更新申請は許可される
通常5年

離婚定住

日本人や永住者等の配偶者と離婚後も引き続き日本で暮らしたい外国人

  • 日本で、概ね3年以上、正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる者
  • 生計を営むことができる資産や技能を有すること
  • 日常生活に困らない程度の日本語能力があり、通常の社会生活を営むことができること
  • 税金を納める等、公的義務を果たしていること(又は見込まれること)
5年、3年、1年、6か月のいずれか
死別定住 日本人や永住者等の配偶者が無くなった後も引き続き日本で暮らしたい外国人
  • 配偶者の死亡までの直前、概ね3年以上、正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる者
  • 生計を営むことができる資産や技能を有すること
  • 日常生活に困らない程度の日本語能力があり、通常の社会生活を営むことができること
  • 税金を納める等、公的義務を果たしていること(又は見込まれること)
5年、3年、1年、6か月のいずれか
日本人実子扶養定住 日本人の実子を監護・養育する外国人
  • 生計を営むことができる資産や技能を有すること(ただし、離婚定住や死別定住ほど、審査は厳しくありません)
  • 日本人との間に出生した子を監護・養育している者であって、その子の親権者であり、現に監護・養育していることが認められること

※日本人との婚姻期間が3年に満たなくても許可されることが多い。また、日本人男性の愛人として外国人の母が出産した実子(ただし、認知は必要)も対象となる。

5年、3年、1年、6か月のいずれか

婚姻破綻型定住 日本人や永住者等の配偶者との婚姻関係が事実上破綻しているが、引き続き日本で暮らしたい外国人

次の1又は2に該当し、かつ3~5に該当する者

  1. 日本で、概ね3年以上、正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる者
  2. 正常な婚姻関係・家庭生活の継続後に、DVによる被害を受けたと認められる者
  3. 生計を営むことができる資産や技能を有すること
  4. 税金を納める等、公的義務を果たしていること(又は見込まれること)
  5. 素行面で問題が無いこと(自分の行動等が原因で別居していないこと)
5年、3年、1年、6か月のいずれか
特別養子離縁定住 特別養子の離縁により、日本人の配偶者等ビザに該当しなくなった者で、生計を営むことができる資産や技能を有する外国人
  • 日本で、養親に扶養されていたと認められる者
  • 生計を営むことができる資産や技能を有すること

5年、3年、1年、6か月のいずれか

難民不認定処分後特定活動定住 難民不認定処分を受けた後、特別な事情を考慮して特定活動ビザで1年間の在留を認められた者で、定住ビザへの変更申請を行った者

次のどちらかに該当する者

  • 入国後10年を経過していること
  • 在留特別許可又は在留資格変更許可により特定活動ビザの決定を受けた後、3年を経過していること
5年、3年、1年、3か月のいずれか

5.まとめ

この記事では、告示によって明文化されている告示定住ビザと個別の事情や人道的配慮によって認められる告示外定住ビザの主な種類を紹介しました。
告示外定住には、この記事で取り上げたもの以外にも認められるケースが存在します。例えば、出国中に再入国期限が切れた永住者や両親とともに家族滞在ビザで日本に入国し、小・中・高校を卒業後に就職が決まった外国人等に対しては、個別事情を審査したうえで定住ビザを許可されることがあります。つまり、各人の状況によって、該当性や審査要件は異なるということです。
そのため、「自分のケースがどの種類に該当するのか分からない」「どのような証明や書類を準備すればよいか分からない」という場合には、ぜひ信頼できるビザ専門の行政書士に相談することをおすすめします。正確な申請手続きや準備のアドバイスを受けることで、不許可や手続きの遅延を避け、スムーズな申請が可能になります。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で
国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。

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