運営:かざはな行政書士事務所
投稿日:2025年8月23日
帰化申請をする際の必要書類の1つに「生計の概要」というものがあります。生計の概要には、「その1」と「その2」があり、「その2」は、帰化を希望する人とその配偶者や同居する家族が現在保有する資産について記載する書類です。決して難しい書類ではありませんが、注意すべきポイントがたくさんあります。
この記事では、生計の概要その2の書き方について、記載例とともに解説します。
まず、生計の概要その2を作成するにあたり、押さえておくべきルールとして、生計の概要は、生計を同じくする世帯で1枚作成して提出すればよいため、家族で一緒に帰化申請をする場合でも、1枚(2部)提出すればよく、人数分の提出は不要です。
また、生計の概要は、手書きで作成しても、パソコンで作成してもどちらでも良いですが、同じものを2部用意する必要があります。手書きで作成する場合は、1枚作成してそれをコピーして用意すれば大丈夫ですし、パソコンで作成する場合は、2部印刷すればよいです。帰化申請については、他の提出書類にも言えることですが、同じものを2部(正本と副本)提出する必要があるということを覚えておいてください。あと、手書きの場合は、修正液や修正テープを使用してはいけないことにも注意してください。
それから、生計の概要その2は、申請者や生計を同じくする親族の資産を記載するものですが、資産が多ければ多いほど許可の可能性が高まるというものではありませんので、ありのままを記載してください。特に65歳未満の申請者については、資産が多くなくても、毎月安定した収入を得ていて、その範囲内で生活していれば問題ありません。一方、年金を受給している申請者については、ある程度資産を保有している方が有利であるのは事実です。年金と保有している資産で安定した生計を営むことができるかどうかをチェックされるからです。とは言え、審査を有利に進めるために、友人等からお金を一時的に借りて預貯金を増やす等の行為は止めましょう。不自然な入金があれば、必ず審査官に追及され、噓がばれると不許可のリスクが高まります。
なお、書類の様式は住所地を管轄する法務局のHPからダウンロードして作成しましょう。参考に、当事務所がある広島法務局の様式を掲載しておきます。
それでは早速、生計の概要その2の記載例(出典:帰化許可申請のてびき)を見ながら、注意すべきポイントについて、確認していきましょう。
❶保有する国内及び国外の不動産を記載します。国内の不動産(在日不動産)については、土地や建物の登記事項証明書の提出が必要となりますが、国外の不動産(在外不動産)については、証明書類の提出は不要です。書き方についてですが、土地の場合は登記事項証明書の表題部の地目の欄に書かれているものを記載してください(例:宅地、農地等)。建物の場合は登記事項証明書の表題部の種目の欄に書かれているものを記載し、種目の後に構造も記載してください(例:鉄筋コンクリート造3階建て等)
❷土地の場合は登記事項証明書の表題部の地積の欄に書かれているものを記載してください。何筆にも分筆登記されている場合は、トータルの地積平米数を記載する必要があります。建物の場合は床面積に書かれているものを記載してください。2階建て、3階建ての場合は、トータルの床面積平米数を記載し、マンション等の区分所有の場合は、申請者が住んでいる部分の床面積平米数を記載します。
❸購入時の金額を参考にして、現在売却したらどのぐらいの資産価値があるかを記載します。おおよその金額で大丈夫ですが、より正確に記載したい場合は、インターネットで検索し、近隣の物件でご自身の物件と同等の築年数、広さの物件の販売価格や路線価を調べるという方法もあります。固定資産評価証明書を参考にするのもよいでしょう。
❹登記事項証明書の権利部の欄に書かれている所有者を記載してください。共同名義の場合は、連名で記載します。
❺所有しているすべての口座を記載する必要があります。銀行名と支店名を記載します。申請時に通帳のコピーも併せて提出することになりますが、WEB通帳の場合、取引明細のページに銀行名、支店名、口座名義人の情報が載っていないことがあります。このような場合は、別途これらの情報が載っているページをダウンロードして提出する必要があります。
❻通帳の口座名義人を記載します。アルファベットの氏名で口座を作っている場合は、カタカナで記載してください。
❼併せて提出する通帳のコピー(又は残高証明書)の残高をそのまま記載します。1円単位で正確に記載しましょう。
❽株券や社債を持っている場合は記載が必要です。証券会社の取引明細書や取引残高報告書等を参考に記載するとともに、それらの書類を併せて提出する必要があります。所有している総株数を記載すればよく、どの銘柄を何株所有しているという詳細な情報は不要です。
❾❽の証拠書類に書かれている現時点での評価額を記載します。
❿株券・社債等を保有している人の氏名を記載します。ここでもアルファベットの氏名の場合は、カタカナで記載してください。
⓫高価な動産とは、具体的に言いますと、100万円以上の自動車や宝石、バッグ、時計等を指します。土地や建物以外で100万円以上の物はこちらに記載しましょう。なお、自動車については、車種、年式、排気量も記載する必要があります。
⓬購入時の金額を参考に、現時点で売却した場合の評価額を記載します。おおよその金額で構いません。
⓭高価な動産を所有している人の氏名を記載します。ここでもアルファベットの氏名の場合は、カタカナで記載してください。
この記事では、生計の概要その2の書き方について解説しました。
生計の概要その2は、帰化を希望している人やその親族が、現在どのぐらいの資産を保有しているかを記載する書類です。帰化の審査で重視されるのは、「生計を維持できているかどうか」ですので、資産が多ければ多いほどいいというわけではありません。生計の概要その1で、安定した収入を得ていて、その収入の範囲内で生活していることが立証されていれば、資産が少なくても不許可にはなりませんので、ありのままの状況を正確に記載しましょう。
もし、この記事を読んでも「書類を作成するのが難しい」、「仕事が忙しくて準備する時間がない」といったお悩みをお持ちの場合は、一人で抱え込まず、ぜひ帰化専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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