運営:かざはな行政書士事務所
投稿日:2025年8月25日
帰化申請をする際の必要書類の1つに「事業の概要」というものがあります。事業の概要は、帰化を希望する人とその配偶者や同居する家族が個人事業主や会社経営者の場合に、その事業の概要について記載する書類です。確定申告書や決算書類等の書類を参考に作成するため、作成自体が難しく、注意すべきポイントもたくさんあります。
この記事では、事業の概要の書き方について、記載例とともに解説します。
まず、事業の概要を作成するにあたり、押さえておくべきルールとして、事業の概要は、個人事業主や会社経営者、会社役員、その他確定申告をしている人の中で「事業収入」を計上している人が作成しなければならない書類です。よって、会社員で確定申告をしていない人や無職の場合は、作成不要です。また、同居している家族が該当する場合も作成しなければなりませんし、複数の法人を経営している場合は、法人ごとに作成する必要があります。
書類作成の際に、個人事業主の場合は、前年の確定申告書(1月1日~12月31日)を参考にし、会社経営者の場合は、法人の登記事項証明書や直近の決算書類等を参考にします。帰化申請のタイミングで、最新の決算書類が出来上がっていない場合は、審査中に追加で提出するよう求められます。
また、事業の概要は、手書きで作成しても、パソコンで作成してもどちらでも良いですが、同じものを2部用意する必要があります。手書きで作成する場合は、1枚作成してそれをコピーして用意すれば大丈夫ですし、パソコンで作成する場合は、2部印刷すればよいです。帰化申請については、他の提出書類にも言えることですが、同じものを2部(正本と副本)提出する必要があるということを覚えておいてください。あと、手書きの場合は、修正液や修正テープを使用してはいけないことにも注意してください。
なお、書類の様式は住所地を管轄する法務局のHPからダウンロードして作成しましょう。参考に、当事務所がある広島法務局の様式を掲載しておきます。
それでは早速、事業の概要の記載例(参考:帰化許可申請のてびき)を見ながら、注意すべきポイントについて、確認していきましょう。
①法人の場合は、帰化申請時点で直近の決算書類から会計年度(法人によって異なる日付)を記載してください。個人事業主の場合は、前年分の会計年度(前年の1月1日~12月31日)を記載してください。
②法人名又は個人事業名(屋号)を記載してください。個人事業主で屋号が無い場合は、フルネームを記載してください。
③法人の場合は本店所在地、個人事業主の場合は個人事業として登録している事業所所在地を記載してください。
④法人の場合は登記事項証明書の設立日、個人事業主の場合は開業届に書かれた開業年月日を記載してください。
⑤法人の代表者名、個人事業主の氏名を記載してください。カッコの中に申請者との関係を記載します(例:本人、夫、兄等)
⑥法人の場合は、登記事項証明書の目的に書かれている事業の中で、主要な事業を選んで記載してください。個人事業主の場合は、事業内容を簡潔に記載してください。
⑦許認可が必要な事業の場合、許認可証から許認可年月日と許認可番号を記載してください。許認可が不要な事業であれば、記載不要です。
⑧確認欄は法務局で記入する欄ですので、空欄のままにしておいてください。
⑨法人の場合は、登記事項証明書の資本金の額を記載してください。個人事業主の場合は、「0」と記載してください。
⑩経営者を除く従業員数(アルバイト、契約社員含む)を記載してください。専従者とは、15歳以上の生計を同じくする家族従業員のことです。夫が事業主で、妻とその他1名がアルバイトをしている場合、従業員数2名(内専従者1名)となります。
⑪事業用財産の種類と数量を記載してください。店舗であれば、記載例のように建築構造の種類も記載し、車等については種類を明記したうえで数量も記載する必要があります。
※以下⑫~⑲については、法人の場合は決算書類を、個人事業主の場合は確定申告書を見ながら記載します。1万円以下は切り捨てて記載してください。
⑫売上高を記載してください。個人事業主の場合は、青色申告書の売上を記載してください。
⑬売上原価を記載してください。
⑭販売費は事業をするうえで必要な賃料や通信費、光熱費等を合計した金額です。個人事業主の場合は、青色申告書の経費の合計を記載してください。
⑮主要事業のほかに収益がある場合に記載してください。
⑯主要事業のほかに何か活動をしている場合の費用を記載してください。
⑰経常的な事業活動とはかかわりのない臨時的に発生した利益を記載してください。固定資産売却益や投資有価証券売却益等が該当します。
⑱突発的に発生した損益を記載してください。固定資産売却損や投資有価証券売却損、災害等による損失が該当します。
⑲純利益を記載してください。売上、営業外収益、特別利益の合計額から売上原価、販売費等、営業外費用、特別損失の合計額を引いた額です。また、その利益を売上高で割った利益率をカッコの中に書きます。
※以下⑳~㉕は、負債について記載します。借入証書等を見ながら、現時点で借入残高のある情報をすべて記載する必要があります。
⑳借入年月日は、日本の元号で記載してください。
㉑金融機関からの借入であれば、銀行名と支店名を記載してください。個人からの借入であれば、個人のフルネームを記載してください。
㉒借入を行った当初の金額を記載してください。
㉓現時点での借入残高を記載してください。
㉔実際に行っている返済方法を記載します。毎月定額を返している場合は、「毎月○万円」と記載してください。自分のタイミングで任意の金額を返している場合は、「随意」と記載してください。
㉕何のために借りたのか、返済状況はどうなっているかを簡潔に記載してください。
※以下㉖~㉛については、主要な取引先を数社記載してください。
㉖法人名又は代表者名を記載してください。
㉗法人又は代表者の事業所所在地を記載してください。
㉘事業所の電話番号を記載してください。
㉙年間どのぐらいの仕入れや販売を行っているか、その概算額を記載してください。
㉚取引の内容を簡潔に記載してください。
㉛取引期間を記載しますが、はっきり覚えていない場合は、「開業時から」、「5年」等で大丈夫です。
㉜備考欄には主に取引している銀行の情報(銀行名と支店名)を記載します。
この記事では、事業の概要の書き方について解説しました。
事業の概要は、決算書等を確認しながら作成する書類ですので、他の書類に比べると、難易度が上がります。また、役員報酬をもらっていなくても、役員として登記されている場合には、この書類を作成する必要がありますので、注意してください。
もし、この記事を読んでも「書類を作成するのが難しい」、「仕事が忙しくて準備する時間がない」といったお悩みをお持ちの場合は、一人で抱え込まず、ぜひ帰化専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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