運営:かざはな行政書士事務所
投稿日:2025年8月20日
帰化申請をする際の必要書類の1つに「履歴書」というものがあります。履歴書には、「その1」と「その2」があり、「その1」は、帰化を希望する人の出生から現在までの居住歴、学歴・職歴、身分関係を記載するものです。決して難しい書類ではありませんが、注意すべきポイントがいくつかあります。
この記事では、履歴書その1の書き方について、記載例とともに解説します。
まず、履歴書その1を作成するにあたり、押さえておくべきルールとして、履歴書は、帰化をしようとする人ごとに作成する必要があります。よって、家族で一緒に帰化申請をする場合は、父、母、子どもそれぞれの帰化許可申請書を作成しなければなりません。ただし、15歳未満の申請者は、履歴書の提出は免除されますが、審査期間中に申請者が15歳になった場合は、追加で履歴書の提出を求められます。
また、履歴書は、手書きで作成しても、パソコンで作成してもどちらでも良いですが、同じものを2部用意する必要があります。手書きで作成する場合は、1枚作成してそれをコピーして用意すれば大丈夫ですし、パソコンで作成する場合は、2部印刷すればよいです。帰化申請については、他の提出書類にも言えることですが、同じものを2部(正本と副本)提出する必要があるということを覚えておいてください。あと、手書きの場合は、修正液や修正テープを使用してはいけないことにも注意してください。
それから、履歴書その1には、出生時から現在までの居住歴、学歴・職歴、身分関係を空白期間の無いように詳しく記載する必要があります。もし、それらの経歴が1枚に収まらない場合は、複数枚に渡って現在に至るまでの経歴をすべて記載しなければなりません。
なお、書類の様式は住所地を管轄する法務局のHPからダウンロードして作成しましょう。参考に、当事務所がある広島法務局の様式を掲載しておきます。
それでは早速、履歴書その1の記載例(出典:帰化許可申請のてびき)を見ながら、注意すべきポイントについて、確認していきましょう。
❶氏名は、氏、名の順番で漢字、ひらがな、カタカナで記載してください。アルファベットでの記載はできません。ミドルネームがある場合は、ミドルネームも記載してください。また、中国の簡略体漢字は、日本の正字に引き直して記載する必要があります。
❷年月日はすべて日本の元号(和暦)で記載してください。ただし、元号は省略可能です。例えば「平成20年」であれば「平20」、「令和7年」であれば、「令7」と記載することができます。そして、もし次の行も同じ年の出来事であれば「〃」と記載すれば大丈夫です。また、次の行以降も同じ元号の年の出来事であれば、元号を書かずに年の数字だけを記載すればよいです。なお、具体的な日付が分からない場合は、空欄でも構いませんが、年と月までは記載するようにしてください。直近の居住地は、住民票に住み始めた日付が記載されていますので、そのとおりに記載してください。
❸居住場所に関わる情報を記載する欄です。1行目は生まれた住所を記載します。出生証明書や出生届記載事項証明書に記載されている出生地を地番まで記載してください。
2行目からは住所地を記載します。住所は都道府県名から記載し、地番やマンション名、部屋番号名まで記載します。記載方法は、〇丁目〇番〇号とし、〇-〇-〇とは記載しませんので注意してください。住所の最後にカッコを書き、その中に、次の住所地に引っ越した前日の日付とその後ろに「まで」を記載します。現在の住所地については、その後ろに(現在まで)と記載してください。
この履歴は、空白期間が無いように記載する必要がありますので、細心の注意を払って記載してください。本国で何度も引越しをしていて、詳細な住所が分からない場合は、分かる部分まで記載し、分からない部分は「以下不明」と記載してください。日本での居住地についても同様です。もし、申請者が2012年7月8日までに来日している場合は、入管から「閉鎖外国人登録原票」を取り寄せることで、日本での住所歴を調べることができますので、該当する方は、帰化申請をすると決めたら、最初にこの原票を取り寄せるとよいでしょう。取り寄せ方はこちらをご覧ください。
❹学歴と職歴を記載する欄です。まず学歴についてですが、学校を卒業した場合は、必ず「同校卒業」と記載してください。中退した場合は、「同校中退」と記載してください。
職歴については、本国での職歴や日本に入国した後に行ったアルバイト歴等をすべて記載してください。会社名だけでなく、具体的な職務内容も記載してください。なお、退職した場合は、「前記会社退職」と記載し、現在勤務している会社の履歴が最新であることが分かるように、現職の記載の後ろに(現在まで)と記載してください。
重要な経歴については、証明資料の添付が必要であることも覚えておいてください(例:卒業証明書、在学証明書、在勤証明書等)
❺申請者を含む親族に何かあった場合にその状況を記載する欄です。具体的には、申請者の出生、結婚、親族の死亡、子どもの出生等です。記載例は以下のとおりです。
死亡:父死亡、母死亡
結婚:婚姻届を出した年月日を記載したうえで、身分関係欄に「○○人○○○○と婚姻」等と記載
事実婚を開始した日:「○○人○○○○と事実婚」等と記載
離婚:父母離婚、「○○人○○○○と離婚」等と記載
子どもの出生:「長女○○出生」、「二女○○出生」等と記載
この記事では、履歴書その1の書き方について解説しました。
履歴書その1は、空白期間が無いように記載する必要があるため、丁寧に作成しなければなりません。コツとしては、まず居住地だけを順番に並べて、そこに学歴・職歴を当てはめていき、最後に身分関係を当てはめていくと、作成しやすいと思います。
ですが、もしこの記事を読んでも「書類を作成するのが難しい」、「仕事が忙しくて準備する時間がない」といったお悩みをお持ちの場合は、一人で抱え込まず、ぜひ帰化専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
10:00~18:00
※土曜・日曜・祝日は除く
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。