インド人との国際結婚の手続きについて

投稿日:2025年12月18日

「愛するインド人のパートナーと結婚して、日本で一緒に暮らしたい」 そう決心したものの、いざ手続きを調べ始めると、聞き慣れない書類や複雑なステップに戸惑ってしまう方は少なくありません。

特に、日本人とインド人の国際結婚は、どちらの国で先に手続きを進めるかによって、必要書類や流れが大きく変わります。

具体的には、

  • 日本で先に手続きをする場合
  • インドで先に手続きをする場合

の2つのパターンが存在します。

この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。

1.結婚できる年齢等について

まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。

日本人とインド人との国際結婚の場合、日本人は、男女ともに18歳以上であることが求められますが、インド人は、男性が21歳以上、女性が18歳以上であることが求められます。
なお現時点で、同性婚については両国とも認めていません。

2.日本で先に手続きをする場合

結婚予定のインド人の方が、日本に在留している場合は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。

(1)お住まいの市区町村役場に必要書類を確認する

最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。

【日本人が用意するもの】

  • 婚姻届
  • 写真付きの身分証明書(パスポートや運転免許証等)

’【インド人が用意するもの】

  • 本人の宣誓供述書とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分で翻訳しても大丈夫です
  • 第三者(親族)の宣誓供述書とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分で翻訳しても大丈夫です
  • 出生証明書(原本とコピー)とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分で翻訳しても大丈夫です
  • パスポート(原本とコピー)とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分で翻訳しても大丈夫です
  • 在留カード 

※インドでは、婚姻要件具備証明書が発行されないため、本人とその両親等の親族により、インド人の新郎又は新婦が独身であることを宣誓する「宣誓供述書」の提出が必要です。本人の宣誓供述書については、駐日インド大使館等で取得できますが、第三者の宣誓供述書については、インド外務省のアポスティーユ、インド公証人、裁判官の印が必要なので、インドにいる親族に協力してもらい、現地の弁護士に依頼して取り寄せることが多いようです。
また、インドの出生証明書は、一生に1回しか発行されないものであるため、提出の際は、原本は提示のみとし、コピーを提出しましょう。

(2)管轄の駐日インド大使館等で本人の宣誓供述書を取得する

次に、結婚予定のインド人が住んでいる地域を管轄する駐日インド大使館・総領事館に連絡し、本人の宣誓供述書をを取得するために必要な手続きを確認します。基本的には、こちらの様式をダウンロードし、必要事項を記入して、大使館に提出するようですが、必ず事前に確認してください。

また、大使館が提出した宣誓供述書に承認印を押してくれますが、そこには「インド大使館はこの宣誓供述書に関して一切の責任は負わない」と明記されます。そのため、インドの外務省でアポスティーユを取得するか、アポスティーユを取得しないまま役場に提出し、法務局の書類審査を受けるかのどちらかを選択することとなります。詳細は提出先の役場に確認してください。

(3)お住まいの市区町村役場に婚姻届等を提出する

無事、宣誓供述書を取得できたら、その翻訳文も準備して、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。

日本での手続きが終わったら、駐日インド大使館等に結婚の報告を行いますが、その前にインド人のパスポートを更新する必要があります。インドのパスポートには、配偶者の情報を掲載するようになっているため、その情報を掲載しないと、大使館等で結婚の報告手続きを受け付けてもらえないからです。

パスポートを更新したら、必要書類を集めて、証人3人(3人のうち1人以上はインド人であることが求められます)と一緒に大使館等に提出しに行きます。

一般的な必要書類としては、外務省のアポスティーユを取得した婚姻届受理証明書と婚姻の事実が記載された戸籍謄本、夫婦のパスポート、日本語の書類の英訳文が必要となりますが、状況によって求められる書類が追加されることもありますので、事前に管轄の駐日インド大使館等へ確認してください。参考となる書類リストはこちらです。

上記手続きが完了すると、入管に配偶者ビザ申請をするにあたって必要な「婚姻証明書」を取得することができます

(4)入管に配偶者ビザの申請をする

インド人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請又は認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください。

配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。

とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

3.インドで先に手続きを進める場合

結婚予定のインド人の方がインドに在住している場合は、インドでの手続きを先に進めた方がスムーズです。
ここからは、インドで先に結婚手続きをする場合について解説します。

(1)日本人の婚姻要件具備証明書等(英文)を取得する

まず、結婚予定の日本人がインドでの結婚の条件を満たしていることを証明する書類(婚姻要件具備証明書)や出生証明書を準備しておく必要があります。婚姻要件具備証明書等は、在インド日本国大使館に本人が出頭し、手続きをすることで取得できます。婚姻要件具備証明書等(英文)を取得するために必要とされる一般的な書類等は、以下のとおりです。

  • 日本人の戸籍謄本 ※発行から3ヶ月以内のもの
  • 2人のパスポート
(2)インド人が信仰する宗教で定められた方式により結婚の手続きを進める

インドでの結婚手続きは、宗教や当事者の国籍によって適用される法律が異なります。大きく分けて、ヒンドゥー教婚(Hindu Marriage Act)と裁判所婚(Special Marriage Act)の2つの方式があります。

  1. ヒンドゥー教方式
    両者がヒンドゥー教徒(又は仏教、ジャイナ教、シーク教徒)である場合に適用されます。この方式のメリットは 待機期間が無いため、手続きが早く進むことですが、必ず伝統的な婚姻の儀式を行う必要があります。
  2. 裁判所方式
    宗教が異なるカップルや無宗教等の場合に利用される「民法上の結婚」です。この方式のメリットは、宗教に関係なく、結婚が法的に認められること、結婚式を挙げるかどうかは自分たちで決められることです。その一方で、手続き上、登記所の掲示板に2人の名前や写真が30日間貼りだされ、「この結婚に異議がある人は申し出てください」という待機期間がありますので、ヒンドゥー教方式に比べて時間がかかります。
(3)インドの登記所で婚姻登録する

続いて、インド人が住んでいる地域を管轄する登記所に行き、婚姻登録を行います。登録時には証人も一緒に出頭する必要があります。証人の人数は方式によって異なります。なお、登録に求められる一般的な書類は以下のとおりですが、必ず手続きをする登記所に確認してください。

【日本人が用意するもの】

  • 婚姻要件具備証明書(英文) ※インドの外務省のアポスティーユが必要
  • 出生証明書(英文) ※インドの外務省のアポスティーユが必要
  • パスポート
  • パスポートサイズの証明写真2枚
  • 日本で発行された身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード等)

【インド人が用意するもの】

  • パスポート
  • パスポートサイズの証明写真2枚
  • 最終学歴証明書
  • 出生証明書
  • 居住証明書

その他、ヒンドゥー教方式の場合は、以下の書類についても、公証をもらって提出することが求められます。

  • 結婚式の招待状の原本
  • 結婚式の様子を写した写真最低3枚
  • 結婚式を執り行ってくれた司祭からの証明書と司祭の身分証明書
  • 結婚式に参列してくれた人の中から2名の証人とその人たちの身分証明書

この手続き後、結婚が成立し、「婚姻証明書」が発行されます。

(4)日本の役場へ報告的届出を行う

インドで結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。お住まいの市区町村役場か在インド日本国大使館で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。日本の役場で手続きをした方が、戸籍に婚姻事実が記載されるまでの時間が短いため(1週間程度)、おすすめですが、引き続きインドに滞在する場合は、在インド日本国大使館で手続きを行うこともできます。ただし、婚姻事実が記載されるまでに1~2ヶ月程度かかりますので、注意してください。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。

  • 婚姻届
  • 婚姻証明書とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分で翻訳しても大丈夫です
  • インド人のパスポートとその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分で翻訳しても大丈夫です

この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。

(5)入管に配偶者ビザの認定証明書交付申請をする

インド人との国際結婚が成立し、インド人配偶者と日本で暮らす場合は、インド人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください(この手続きで婚姻の記載がある戸籍謄本を求められるため、日本国内の役場で報告的届出をした方がスムーズに手続きできます)。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

4.まとめ

この記事では、日本人とインド人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合とインドで先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、

  • 結婚予定のインド人が日本在住なら、日本で先に手続き
  • 結婚予定のインド人がインド在住なら、インドで先に手続き

が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いですが、お二人でしっかり相談して、どちらで先に手続きをされるか、決められるとよいと思います。どのような道を選ばれるにしても、お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。

結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人とインド人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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