投稿日:2025年12月17日
「愛するアメリカ人のパートナーと結婚して、日本で一緒に暮らしたい」 そう決心したものの、いざ手続きを調べ始めると、聞き慣れない書類や複雑なステップに戸惑ってしまう方は少なくありません。
特に、日本人とアメリカ人の国際結婚は、どちらの国で先に手続きを進めるかによって、必要書類や流れが大きく変わります。
具体的には、
アメリカで先に手続きをする場合
の2つのパターンが存在します。
この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。
まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。
日本人とアメリカ人との国際結婚の場合、日本人もアメリカ人も、男女ともに18歳以上であることが求められますが、アメリカについては、州ごとにルールが違うため、具体的な州の法律を確認する必要があります。
なお、アメリカでは同性婚が認められていますが、日本では認められていないため、アメリカで日本人とアメリカ人の同性婚が成立していても、日本では配偶者ビザを取得することができません。
結婚予定のアメリカ人の方が、日本に在留している場合は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。
最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。
【日本人が用意するもの】
’【アメリカ人が用意するもの】
※2025年9月1日以降、在東京米国大使館や領事館では、アメリカ国民の婚姻要件具備証明書の発行を廃止しました。その代わりに、米国政府がそのような証明書を提供していないことを示すための書簡を日本の市区町村役場に提出することを求めています。ですが、市区町村役場がこの書簡を受け入れず、結婚資格を証明するための公証された宣誓供述書を求めてきた場合には、一部の州が提供する電子公証サービスが選択肢となる可能性があります。必ず市区町村役場に連絡し、電子公証サービスで発行したものが受け入れられるかどうかを確認してください。電子公証サービスの詳細は、こちらからご覧ください。
日本の法律に基づいて行われた結婚の手続きは、アメリカでも法的に有効とみなされます。よって、米国大使館に報告的届出をする必要はありません。なお、日本の市区町村役場で発行された婚姻届受理証明書が結婚の証明書となります。入管からアメリカの公的機関が発行した結婚証明書を求められても、該当する書類はありませんので、その旨を書いた理由書を添付する形となります。
アメリカ人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請又は認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。
中長期の在留資格を持つ方が変更許可申請を行う場合についてはこちらを、短期滞在ビザ(90日)から手続きを行う場合はこちらをご覧ください。
配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
続いて、アメリカで先に結婚手続きをする場合について解説します。結婚予定のアメリカ人の方が、アメリカに住んでいる場合は、こちらの方式で進める方がスムーズです・・と言いたいところですが、実はアメリカで先に手続きを進める場合は、日本で先に手続きを進める場合よりも時間がかかります。よって、お二人で相談してどちらの国で先に手続きを進めるか、決められると良いと思います。
まず、結婚予定の日本人がアメリカでの結婚の条件を満たしていることを証明する書類(婚姻要件具備証明書)が必要です。婚姻要件具備証明書は、在米国日本国大使館に本人が出頭し、手続きをすることで取得できます。婚姻要件具備証明書を取得するために必要とされる一般的な書類等は、以下のとおりですが、必ず事前に大使館に確認してください。
続いて、アメリカ人の居住地を管轄する役所に行き、マリッジライセンス(結婚許可証)を取得をします。取得のために求められる一般的な書類は以下のとおりですが、必ず役所に確認してください。
マリッジライセンス取得後に結婚式を挙げます。教会の神父・牧師、裁判所の裁判官等のもとで誓いをたて、マリッジライセンスに司式者の署名をもらいます。そして、署名入りのマリッジライセンスをアメリカの役所に提出して、婚姻登録を行います。
婚姻登録が完了すると、婚姻証明書が発行され、アメリカでの結婚の手続きは終了です。
アメリカで結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。お住まいの市区町村役場か在米国日本国大使館で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。日本の役場で手続きをした方が、戸籍に婚姻事実が記載されるまでの時間が短いため(1週間程度)、おすすめですが、引き続きアメリカに滞在する場合は、在米国日本国大使館で手続きを行うこともできます。ただし、婚姻事実が記載されるまでに1~2ヶ月ほどかかりますので、注意してください。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。
この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。
アメリカ人との国際結婚が成立し、アメリカ人配偶者と日本で暮らす場合は、アメリカ人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください(この手続きで婚姻の記載がある戸籍謄本を求められるため、日本国内の役場で報告的届出をした方がスムーズに手続きできます)。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
この記事では、日本人とアメリカ人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合とアメリカで先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、日本で先に手続きを進める方が、時間はかかりません。よって、もし結婚の手続きを急がれるようでしたら、アメリカ人は90日間の短期滞在であればノービザで来日できるため、日本で先に婚姻手続きを完了させることをおすすめします。お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っております。
結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人とアメリカ人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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