投稿日:2025年12月7日
日本で暮らすネパール人は、2010年代頃から徐々に増えはじめ、最近では日本人とネパール人のカップルも増えてきました。一方で、多くの方が頭を悩ませるのが「国際結婚の手続き」です。両国の制度の違いもあり、どこから手を付ければよいのか分からないという声もよく聞かれます。
特に、日本人とネパール人の国際結婚は、どちらの国で先に手続きを進めるかによって、必要書類や流れが大きく変わります。
具体的には、
ネパールで先に手続きをする場合
の2つのパターンが存在します。
この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。
まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。
日本人とネパール人との国際結婚の場合、日本人は、男女ともに18歳以上であることが求められますが、ネパール人は、男女ともに20歳以上であることが求められ、たとえ相手が外国人であってもこの条件をクリアしないと結婚は認められないこととなっています。
よって、ネパール人との有効な婚姻関係を成立させるためには、20歳以上の男女であることが求められます。なお、ネパールでは同性婚が認められていますが、日本では認められていないため、ネパールで日本人とネパール人の同性婚が成立していても、日本では配偶者ビザを取得することができません。
結婚予定のネパール人の方が、日本に在留している場合は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。
最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。
【日本人が用意するもの】
’【ネパール人が用意するもの】
※独身証明書と出生証明書について
ネパールの郡行政事務所(CDO)で独身証明書と出生証明書を取得し、ネパールの外務省と在ネパール日本国大使館で認証を受けます。
無事、独身証明書と出生証明書を取得できたら、その翻訳文も準備して、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。
日本での手続きが終わったら、駐日ネパール大使館に結婚の報告を行います。一般的には、日本での婚姻受理証明書と翻訳文が必要となりますが、状況によって求められる書類が追加されることもありますので、事前に駐日ネパール大使館へ確認してください。
上記手続きが完了すると、入管に配偶者ビザ申請をするにあたって必要な書類を取得することができます。ただし、駐日ネパール大使館では結婚手続きは行っておらず、大使館への報告だけではネパール国内では未婚のままとなります。配偶者ビザを取得するために入管に提出する書類は、上記の書類で受理してもらえますが、最終的にはネパールで先に手続きを進める場合に記載の通り、ネパール国内でも結婚の手続きが必要となります。
ネパール人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請又は認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。
中長期の在留資格を持つ方が変更許可申請を行う場合についてはこちらを、短期滞在ビザ(90日)から手続きを行う場合はこちらをご覧ください。
配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
結婚予定のネパール人の方がネパールに在住している場合は、ネパールでの手続きを先に進めた方がスムーズです。
ここからは、ネパールで先に結婚手続きをする場合について解説します。
まず、結婚予定の日本人がネパールでの結婚の条件を満たしていることを証明する書類(婚姻要件具備証明書)が必要です。婚姻要件具備証明書は、在ネパール日本国大使館で取得できます。婚姻要件具備証明書を取得するために必要とされる一般的な書類等は、以下のとおりです。
その他、ネパール人の身分証やパスポートを求められることもあります。事前に在ネパール日本国大使館に確認しましょう。
また、ネパールで国際結婚を成立させるためには、相手国の婚姻に関する法律の英訳とその英訳に公証人または弁護士の認証印が必要とされています。日本人の場合、婚姻に関する法律は民法第731条ですが、ネパールにある公証人又は弁護士は民法第731条の英訳を認証してくれないケースが多いため、代わりに在ネパール日本国大使館が民法第731条の英訳と証明書を発行し、ネパール側に受け付けてもらっているようですので、併せてお願いしましょう。
ネパールの地方裁判所に2人で出向き、婚姻手続きをする必要があります。裁判所によって必要書類が異なる可能性がありますので、事前に出頭予定の地方裁判所に用意すべき書類を必ず確認するようにしてください。一般的な必要書類は以下のとおりです。
証人2人(ネパール人であることがほとんど)と一緒に出向きます。審査に1~3週間程度かかります。
地方裁判所での手続きが終わったら、今度はネパールの区役所に行って婚姻登録を行う必要があります。登録を終えると、ネパールの区役所が婚姻証明書を発行してくれます。(地方裁判所で婚姻証明書が発行されるという情報もありますので、必ず確認してください)
☝婚姻の手続きを代行する話を持ちかける悪徳業者(自称弁護士や公証人であったり、日本語を話す場合もあります)から偽の証明書を渡され、費用として大金を請求される被害が発生しています。ご注意ください。
ネパールで結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。お住まいの市区町村役場か在ネパール日本国大使館で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。日本の役場で手続きをした方が、戸籍に婚姻事実が記載されるまでの時間が短いため(1週間程度)、おすすめですが、引き続きネパールに滞在する場合は、在ネパール日本国大使館で手続きを行うこともできます。ただし、婚姻事実が記載されるまでに1~2か月ほどかかりますので、注意してください。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。
この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。
ネパール人との国際結婚が成立し、ネパール人配偶者と日本で暮らす場合は、ネパール人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください(この手続きで婚姻の記載がある戸籍謄本を求められるため、日本国内の役場で報告的届出をした方がスムーズに手続きできます)。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
この記事では、日本人とネパール人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合とネパールで先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、
結婚予定のネパール人がネパール在住なら、ネパールで先に手続き
が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いです。
ネパール人との結婚は、まずお相手の方の宗教と、それぞれの宗教に適用される法律や慣習を必ず確認することが重要です。この事前確認が、手続きの選択と必要書類の準備を円滑に進めるための鍵となります。お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。
結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人とネパール人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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