投稿日:2025年12月5日
日本で暮らすミャンマー人は、ここ数年で急激に増え、日本人とミャンマー人のカップルも増えてきました。一方で、多くの方が頭を悩ませるのが「国際結婚の手続き」です。両国の制度の違いもあり、どこから手を付ければよいのか分からないという声もよく聞かれます。
特に、日本人とミャンマー人の国際結婚は、どちらの国で先に手続きを進めるかによって、必要書類や流れが大きく変わります。
具体的には、
ミャンマーで先に手続きをする場合
の2つのパターンが存在します。
この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。
まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。
日本人とミャンマー人との国際結婚の場合、日本もミャンマーも、法律で男女ともに18歳以上であることを定めていますので、18歳以上の男女であれば結婚可能です。ただし、ミャンマーの場合、女性が20歳未満の場合は、両親(または保護者)の同意が必要となります。
なお現時点で、同性婚については両国とも認めていません。
結婚予定のミャンマー人の方が、日本に在留している場合は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。
最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。
【日本人が用意するもの】
’【ミャンマー人が用意するもの】
※独身証明書と家族構成一覧表について
ミャンマーの地方裁判所が指定した公証弁護士に依頼し、独身証明書と家族構成一覧表を取得します。
また、必要に応じて、ミャンマーの外務省の認証と在ミャンマー日本国大使館の領事認証を受けます。
無事、独身証明書と家族構成一覧表を取得できたら、その翻訳文も準備して、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。
日本での手続きが終わったら、ミャンマー側に婚姻の報告を行うことができます。ただし、報告は必須ではありません。また、多くの国では、在日大使館に報告的届出を行えば、手続きは完了しますが、在日ミャンマー大使館ではそういった手続きができないので、ミャンマー発行の結婚証明書を取得するためには、ミャンマーに2人で行き、現地の裁判所で手続きをする必要があります。この必要書類については宗教や地域によって異なりますので、必ず現地の地方裁判所に問い合わせてください。
ミャンマー人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請又は認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。
中長期の在留資格を持つ方が変更許可申請を行う場合についてはこちらを、短期滞在ビザ(90日)から手続きを行う場合はこちらをご覧ください。
配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
結婚予定のミャンマー人の方がミャンマーに在住している場合は、ミャンマーでの手続きを先に進めた方がスムーズです。しかし、ミャンマーでは信仰している宗教によって適応される法律が違うため、ミャンマー人の婚約者が信仰する宗教によって手順が異なります。各宗教法で定める方法で『結婚証明書』を作成する必要がありますので、必ず担当機関への確認を行ってください。
ここからは、ミャンマーで一番信仰されている仏教徒の方が、ミャンマーで先に結婚手続きをする場合について解説します。
まず、結婚予定の日本人がミャンマーでの結婚の条件を満たしていることを証明する書類(婚姻要件具備証明書)が必要です。男性は不要となることもありますが、女性はほとんどの場合、求められますので、必ず準備しておきましょう。なお、婚姻要件具備証明書は、法務局で取得できます。
婚姻要件具備証明書を取得するために必要とされる一般的な書類等は、以下のとおりです。
☝手続の際は、結婚相手の氏名、性別、生年月日、国籍・地域及び婚姻挙行地を記載する必要がありますので、事前に確認しておきましょう。
ミャンマー国内に販売されている「婚姻誓約書(AFFIDAVIT OF MARRIAGE)」を購入し、2人でそれぞれ1部ずつ作成します。その後、各書類にミャンマーの公証弁護士の署名をもらいます。
ミャンマーの地方裁判所にて、判事の面前で婚姻誓約書の交換を行います。交換の際に必要な書類は以下のとおりです。
判事が婚姻誓約書へ署名をすることで、婚姻証明書が発行されます。
ミャンマーで結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。お住まいの市区町村役場か在ミャンマー日本国大使館で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。日本の役場で手続きをした方が、戸籍に婚姻事実が記載されるまでの時間が短いため(1週間程度)、おすすめですが、引き続きミャンマーに滞在する場合は、ミャンマーにある日本国大使館・総領事館で手続きを行うこともできます。ただし、婚姻事実が記載されるまでに1~2か月ほどかかりますので、注意してください。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。
この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。
ミャンマー人との国際結婚が成立し、ミャンマー人配偶者と日本で暮らす場合は、ミャンマー人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください(この手続きで婚姻の記載がある戸籍謄本を求められるため、日本国内の役場で報告的届出をした方がスムーズに手続きできます)。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
この記事では、日本人とミャンマー人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合とミャンマーで先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、
結婚予定のミャンマー人がミャンマー在住なら、ミャンマーで先に手続き
が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いです。
ミャンマー人との結婚は、まずお相手の方の宗教と、それぞれの宗教に適用される法律や慣習を必ず確認することが重要です。この事前確認が、手続きの選択と必要書類の準備を円滑に進めるための鍵となります。お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。
結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人とミャンマー人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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