台湾人との国際結婚の手続きについて

投稿日:2025年12月3日

日本人と台湾人の国際結婚の手続きは、どこで先に手続きを行うかによって、その流れが大きく変わります。

具体的には、

  • 日本で先に手続きをする場合
  • 台湾で先に手続きをする場合

の2つのパターンが存在します。

この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。

1.結婚できる年齢について

まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。

日本人と台湾人との国際結婚の場合、日本も台湾も、法律で男女ともに18歳以上であることを定めていますので、18歳以上の男女であれば結婚可能です

なお台湾では同性婚が認められていますが、日本では認められていないため、台湾で日本人と台湾人の同性婚が成立していても、日本では配偶者ビザを取得することができません

2.日本で先に手続きをする場合

結婚予定の台湾人の方が、日本に滞在している場合(短期滞在ビザ(査証免除)での滞在を含む)は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。詳しくはこちらもご覧ください。

(1)お住まいの市区町村役場に必要書類を確認する

最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。

【日本人が用意するもの】

  • 婚姻届
  • 戸籍謄本 ※本籍地以外の役場に提出する場合のみ

’【台湾人が用意するもの】

  • 婚姻要件具備証明書(独身証明書)
  • 戸籍謄本(未婚の事実が記載されているもの)
  • 上記2つの書類の日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • パスポート
(2)管轄の台北駐日経済文化代表処で婚姻要件具備証明書を取得する

次に、結婚予定の台湾人が住んでいる(滞在している)地域を管轄する台北駐日経済文化代表処で、婚姻要件具備証明書を取得するために必要な書類等を提出します。郵送請求も可能です。詳しくはこちらをご確認ください。

  • 申請書
  • 台湾の戸籍謄本(原本及びコピー1部) ※記事欄が省略されていない、3か月以内に発行されたもの
    ☝自然人憑證でネット申請による電子版戸籍謄本も提出可能
  • 台湾人のパスポート(原本及びコピー1部)
  • 申請費用2,300円
  • レターパック ※郵送での受け取りを希望する場合のみ

【代表処の管轄地域】

  1. 台北駐日経済文化代表処(東京都): 東京都、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、山形県、山梨県、長野県
  2. 台北駐日経済文化代表処札幌分署: 北海道
  3. 台北駐日経済文化代表処横浜分署: 神奈川県、静岡県
  4. 台北駐大阪経済文化弁事処京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、德島県、香川県、愛媛県、高知県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県
  5. 台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿兒島県、山口県
  6. 台北駐日経済文化代表処那覇分処: 沖縄県
(3)お住まいの市区町村役場に婚姻届等を提出する

無事、証明書を取得できたら、その翻訳文も準備して、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。
ですが、台湾に結婚の報告をする必要があるため、その手続きで求められる婚姻の事実が記載された戸籍謄本を取得したい旨も併せて窓口で伝えましょう。基本的には即日発行される書類です。

(4)台北駐日経済文化代表処に報告的届出をする

日本で先に結婚手続きを行った場合、その事実を台湾政府に報告する必要があります。
管轄の台北駐日経済文化代表処に二人で行き、以下の書類を提出することで、報告的手続きが完了します。詳しくはこちらをご確認ください。

  • 結婚登記申請書
  • 取用中文姓名聲明書
  • フルネームの印鑑 ※台湾人のみ
  • 台湾の戸籍謄本(原本) ※記事欄が省略されていない、3か月以内に発行されたもの
  • 婚姻の事実が記載された日本の戸籍謄本(原本及びコピー1部)とその中国語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 夫婦のパスポート(原本及びコピー3部)

婚姻の事実の登記完了までに3~4週間かかります。

(5)入管に配偶者ビザの申請をする

台湾人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請又は認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。
中長期の在留資格を持つ方が変更許可申請をする場合についてはこちらを、短期滞在ビザ(査証免除)から手続きを行う場合はこちらをご覧ください。

配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

3.台湾で先に手続きを進める場合

結婚予定の日本人の方が頻繁に台湾を訪れる場合や台湾人の方が台湾に在住している場合は、台湾での手続きを先に進めた方がスムーズです。
ここからは台湾で先に手続きする場合について解説します。詳しくはこちらもご覧ください。

(1)日本人の戸籍謄本等に認証を受ける

まず、結婚予定の日本人が台湾での結婚の条件を満たしていることを証明するために、3ヶ月以内に発行された戸籍謄本とその中国語翻訳文が必要です。そして、その戸籍謄本と翻訳文は、管轄の台北駐日経済文化代表処で認証を受ける必要があります。認証を受けるためには、以下の書類を提出する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

  • 申請書
  • 日本人のパスポート(原本及びコピー1部)
  • 日本人の戸籍謄本とその中国語翻訳文(原本及びコピー1部)※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 申請費用2,300円
  • レターパック ※郵送での受け取りを希望する場合のみ

認証を受けた書類を受け取るまでに約1週間かかります。

(2)台湾の役場で婚姻届を提出する

認証を受けた戸籍謄本等を取得したら、いよいよ台湾での結婚手続きです。
手続きする場所は、結婚予定の台湾人が住む地域の市役所です。市役所によって、必要書類が異なる場合があるため、必ず事前に問い合わせて確認してください。なお、一般的に求められる提出書類は以下のとおりです。

【2人で用意するもの】

  • 結婚書約(婚姻届)

【日本人が用意するもの】

  • 認証を受けた戸籍謄本とその中国語翻訳文 
  • パスポート

’【台湾人が用意するもの】

  • 戸口名簿
  • IDカード

この手続きを終えたら、日本での手続きに備えて、婚姻証書(台湾の市役所が発行した結婚証明書)と台湾人の戸籍謄本(婚姻の事実が記載されたもの)を取得しましょう。

(3)日本の役場へ報告的届出を行う

台湾で結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。お住まいの市区町村役場で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。

  • 婚姻届 
  • 婚姻証書とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 台湾人の戸籍謄本とその日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 台湾人のパスポートのコピー
  • 日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外の役場に提出する場合のみ

  • 日本人の身分証明書(運転免許証等)

この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。

(4)入管に配偶者ビザの認定証明書交付申請をする

台湾人と日本人の国際結婚が成立し、台湾人配偶者と日本で暮らす場合は、台湾人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

4.まとめ

この記事では、日本人と台湾人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合と台湾で先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、

  • 結婚予定の台湾人が日本在住(滞在)なら、日本で先に手続き
  • 結婚予定の台湾人が台湾在住なら、台湾で先に手続き

が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いです。ですが、日本と台湾はお互いにノービザ(90日以内)で行き来することができる国であるため、お二人でしっかり相談して、どちらで手続きをされるか、決められるとよいと思います。どのような道を選ばれるにしても、お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。

結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人と台湾人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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