2027年スタート!「育成就労制度」をゼロからわかりやすく解説

投稿日:2026年1月27日

2027年4月1日から、日本の外国人材受入れ制度が大きく変わります。これまで長年続いてきた「技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労(いくせいしゅうろう)制度」が始まります。
「名前が変わるだけ?」と思われるかもしれませんが、実は中身も大きくアップデートされます。

この記事では、初めて制度を調べる方に向けて、育成就労制度のポイントと技能実習制度との違いをわかりやすく整理します(2026年1月時点の情報です)。

1.育成就労制度とは?(制度の目的)

これまでの「技能実習制度」は、外国人が日本の技術を学んで母国に持ち帰る「国際貢献」が目的でした。しかし、実態は「人手不足を補う労働力」として使われているという課題がありました。

一方、「育成就労制度」は、この建前をなくし、「日本で働く外国人材を育て、長く活躍してもらうこと(人材育成・確保)」を目的としてはっきり掲げた制度です。原則3年間の就労を通じて、より高度な「特定技能1号」水準の技能を身につけることを目指します

2.育成就労制度と技能実習制度の違い

2つの制度の間で最も大きな違いを挙げるなら、それは「働く人が自分の意思で会社を変えられるようになること(転籍の自由)」でしょう。これまでの技能実習制度には無かったこの仕組みは、今後の外国人雇用のあり方を根本から変えるものです。
もちろん、変化はこれだけではありません。日本語能力の要件の追加や前職要件の撤廃等、他にも押さえておくべきポイントを整理しました。こちらの比較表を参考にしてみてください。

  技能実習制度

育成就労制度

制度目的

人材育成を通じた国際貢献

人材育成と人材確保

在留資格(ビザ)

技能実習

育成就労

在留期間

1号:1年以内、2号:2年以内、3号:2年以内

原則3年
会社を変えること(転籍)

実習先の倒産等のやむを得ない場合を除き、原則として認められない

やむを得ない場合に加え、1~2年経過で本人希望により転籍可能

入国時や就労前の日本語能力の要件 なし
(介護職種のみ入国時、日本語能力試験N4合格レベルであること)
あり
(就労開始前に日本語能力N5相当以上の試験合格、又はそれに相当する日本語講習を受講すること
前職要件

あり
(原則として、本国等において日本で行おうとする業務と同種の業務に従事した経験が必要)

なし

帰国後の技能活用

あり
復職又は送出機関が技能を活用できる就職先をあっせんすることが求められる

なし
受け入れ分野 91職種・168作業(2026年1月時点) 特定技能と同じ19分野の予定(現行の16分野+リネンサプライ、物流倉庫、資源循環)
監理・支援体制 監理団体 監理支援機関
受け入れ可能な人数枠 常勤職員の総数に応じた人数枠あり

常勤職員の総数に応じた人数枠あり

活動内容 技能実習計画に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動(1号)技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号、3号) 育成就労計画に基づいて、講習を受け、及び育成就労産業分野に属する技能を要する業務に従事する活動
特定技能1号への移行 同一職種の場合、試験免除 試験合格が必要
待遇

最低賃金以上かつ日本人労働者と同等以上の報酬額

日本人労働者と同等以上の報酬額+就労期間に応じた昇給の義務化
家族の帯同 不可 不可
今後の予定 2027年3月末をもって新規受付終了(経過措置あり) 2027年4月1日より制度開始

3.注目すべき変更点

さて、比較表で全体像を把握していただいたところで、ここからは実務上、特に大きな影響を与える変更点に絞って、さらに深掘りして解説していきます。

(1)日本語能力と技能の評価

育成就労外国人は、就労開始前までに日本語能力N5相当以上の試験合格、あるいは100時間以上の講習受講が求められます。 
また、育成就労1年経過時の中間評価及び3年終了時の最終評価に合格することが、特定技能1号への移行要件となります。
※中間評価については、1年経過時に合格しなくても育成就労を継続することができます。

  就労開始前 1年目試験 就労中 育成就労終了まで
技能 なし 技能検定基礎級等の合格 なし 技能検定3級又は特定技能1号評価試験等の合格
日本語 N5相当の日本語能力試験の合格又は相当する講習の受講 N5相当の日本語能力試験の合格 N4相当の日本語能力の講習の受講 N4相当の日本語能力試験の合格
(2)本人意向による「転籍」の解禁

育成就労制度では、同一の受入れ機関での就労期間が「転籍制限期間(産業分野により1~2年)」を超え、かつ技能・日本語の要件を満たす場合は、同じ業務区分内での転籍が認められます。ただし、転籍の際には、転籍先が転籍元に対して、受入れ初期費用の一部を補填する仕組みも導入される予定です。詳細はこちらのページをご覧ください。

(3)監理支援機関の要件厳格化

従来の「監理団体」は、育成就労制度では「監理支援機関」へと名称が変わりますが、単なる呼称の変更に留まりません。新制度では、中立性と独立性の確保がより厳格に求められるようになります。

具体的な許可要件としては、外部監査人の設置や債務超過が無いこと(健全な財務体制)、さらには常勤役職員の人数基準等が厳格化されました。育成就労外国人の支援や監理を行うには、改めてこの新基準に基づく「許可申請」を行う必要があります。詳細はこちらのページをご覧ください。

育成就労制度の施行は2027年4月1日からですが、準備を円滑に進めるため、監理支援機関への切り替え手続きは2026年度中に開始される見通しです。具体的な受付時期や詳細な手続きについては、今後「外国人育成就労機構(現:外国人技能実習機構)」から順次公表される予定ですので、注視が必要です。

4.まとめ

育成就労制度は、単なる名称変更ではなく、計画的な教育、厳格なコンプライアンス、そして外国人の権利保護が一体となった高度な制度です。 育成就労計画の策定や新しくなる監理支援体制への対応等、法的な専門知識が必要な場面が多くなります。

当事務所では、法改正に準拠した受入れ体制の構築から、特定技能へのスムーズな移行支援まで、実務に即したアドバイスを提供しております。複雑な手続きは、入管業務の専門家である行政書士にぜひご相談ください。
この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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