育成就労制度の「転籍」ルールを徹底解説!
解禁される転職の条件とは?

投稿日:2026年1月29日

2027年4月から始まる「育成就労制度」では、これまでの技能実習制度では原則認められていなかった「外国人本人の意向による転籍(転職)」が、一定のルールのもとで認められるようになります。

人材の流動化が進む一方で、受入れ企業にとっては「せっかく育てた人材がすぐに辞めてしまうのでは?」という不安もあるでしょう。
この記事では、転籍が認められるための具体的な要件や制限について、行政書士が詳しく解説します(2026年1月時点の情報です)。

1.育成就労における転籍の2つのケース

まず育成就労制度における転籍には、大きく分けて以下の2つのケースがあります。

  1.  やむを得ない事情がある場合:暴行、ハラスメント、重大な法令違反や契約違反(賃金不払い等)があった場合です。これらは技能実習制度と同様、いつでも転籍が認められます
  2.  外国人本人の意向による場合(新設):一定の期間(転籍制限期間)勤務し、技能や日本語の条件を満たした場合に、自らの希望で同じ仕事の範囲内(同一業務区分内)で転職できる仕組みです

2.本人意向の転籍が認められるための3つの要件

育成就労外国人が本人の意向で転籍を行うには、以下のつの要件をすべてクリアする必要があります。​

(1)一定水準の試験に合格していること

本人意向の転籍を希望する場合、以下の試験に合格していなければなりません。

  • 技能水準:技能検定基礎級、又は相当する育成就労評価試験
  • 日本語能力:日本語教育参照枠A1(N5)相当以上(分野によってはそれ以上のレベル)の試験

つまり、育成就労の1年目試験の目標とされている上記試験に合格しておく必要があります。

(2)転籍制限期間を超えていること

育成就労外国人は、転籍する前に同一の企業で一定期間働いていることが必要です。この期間を「転籍制限期間」と呼びます。
育成就労産業分野ごとに「1年〜2年」の範囲で設定される予定です(基本的には1年とすることを目指していますが、介護、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、飲食料品製造業、外食業、資源循環の分野は2年で調整が進んでいます)。

なお、1年を超える転籍制限期間(例:2年)を定めた育成就労産業分野において、その期間(例:2年)を選択した受入れ企業は、就労開始から1年を経過した後には転籍の制限を理由とした昇給や育成就労産業分野ごとに定める基準を満たす待遇の向上等を図る必要があります
一方、1年を超える転籍制限期間を定めた育成就労産業分野において、受入れ企業の判断で自主的に転籍制限期間を1年とした場合には、育成就労産業分野ごとに定める基準を満たす待遇の向上等の義務は課されません。

(3)同一の業務区分内であること

育成就労外国人が転籍できるのは、同一の業務区分内に限られます。例えば、農業の中で別の農家へ移ることはできますが、農業から建設業へ転籍することは人材育成の観点から認められません

3.転籍先企業にかかる制限と義務

育成就労外国人の転籍者を迎える新しい企業にも、厳格な要件が課されます。

(1)優良な受入れ企業であること

転籍先の受入れ企業は、育成就労外国人の技能や日本語能力に係る試験の合格率、法令の遵守状況等に照らして、優良な受入れ企業と認められている必要があります。

(2)民間職業紹介事業者が関与していないこと

転籍に際して、民間の職業紹介事業者(人材紹介会社)が関与することはできません。監理支援機関や外国人育成就労機構、ハローワーク等が連携して支援を行います

(3)転籍者の割合制限を超えていないこと

受入れ企業内の育成就労外国人のうち、転籍者が3分の1を超えてはならないというルールがあります。また、地方から都会への過度な流出を防ぐため、転籍先の企業が大都市圏等(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県のうち、過疎地域を除く地域)にある場合には、さらに制限が設けられています。

【転籍者割合の基本ルール:3分の1を超えないこと】
例:本人意向の転籍者数5人/育成就労外国人の総数(転籍者含む)15人 ⇒ OK  
  本人意向の転籍者数5人/育成就労外国人の総数(転籍者含む)14人 ⇒ NG

【地方企業から大都市圏等の企業への転籍者割合のルール:6分の1を超えないこと(※)】
例:地方からの本人意向の転籍者数5人/育成就労外国人の総数(転籍者含む)30人 ⇒ OK
  地方からの本人意向の転籍者数5人/育成就労外国人の総数(転籍者含む)29人 ⇒ NG
  ※転籍者を含めて外国人受入れが6人未満の企業は、1人まで受入れ可能となっています。

(4)初期費用の補填をすること

転籍先の企業は、転籍元の企業が育成就労外国人を受け入れるために支払った初期費用(入国前の取次費用や育成費用等)について、育成就労外国人が転籍元に在籍した期間に応じた按分率をかけた金額を転籍元に支払わなければなりません

転籍元が育成就労を行わせた期間 按分率
1年6ヶ月未満 6分の5
1年6ヶ月以上2年未満 3分の2
2年以上2年6ヶ月未満

2分の1

2年6ヶ月以上

4分の1

4.まとめ

転籍の解禁は、外国人にとって魅力的な仕組みですが、不当な引き抜きや不適切な就労環境を招かないよう、多くの「歯止め」がかけられています。

企業側は、「選ばれる職場」としての労働環境を整えるとともに、法改正に伴う複雑な手続きや条件を正確に把握しておく必要があります。
しかし、制度の詳細は多岐にわたり、独自の解釈で進めることはコンプライアンス違反のリスクを伴います。当事務所では、最新の法令に基づき、貴社の状況に合わせた最適な受入れ体制の構築をアドバイスいたします。制度の「壁」を「安心」に変えるため、まずは専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。
この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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