投稿日:2025年12月4日
日本人と香港人の国際結婚の手続きは、どこで先に手続きを行うかによって、その流れが大きく変わります。
具体的には、
香港で先に手続きをする場合
の2つのパターンが存在します。
この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。
まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。
日本人と香港人との国際結婚の場合、日本人は、男女ともに18歳以上であることが求められますが、香港人は、男女ともに16歳以上であれば結婚可能です。ただし、香港人の場合、16歳~20歳は親の同意が必要です(21歳以上は不要)。
なお現時点で、同性婚については両国とも認めていません。
結婚予定の香港人の方が、日本で在留資格を持って在留している場合(短期滞在ビザは対象外)は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。
最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。
【日本人が用意するもの】
’【香港人が用意するもの】
次に、結婚予定の香港人が住んでいる地域を管轄する駐日中国大使館又は総領事館に連絡し、無配偶声明書の公証書を取得するために必要なもの(香港の婚姻登記所で発行された独身証明書、パスポート、在留カード等)を確認します。そして、その必要なものを持って駐日中国大使館又は総領事館に行き、窓口で声明書に署名し、無配偶声明書の公証書を取得します。
【大使館・総領事館の管轄地域】
無事、無配偶声明書の公証書を取得できたら、その翻訳文も準備して、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。
なお、香港での結婚手続きは不要です。日本の役場に婚姻届を提出することで、香港でも有効な婚姻が成立していることになります。
香港人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください。
ですが、配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
結婚予定の日本人の方が頻繁に香港を訪れる場合や香港人の方が香港に在住している場合は、香港での手続きを先に進めた方がスムーズです。
ここからは香港で先に手続きする場合について解説します。
まず、香港の婚姻登記所で入籍日を予約します。3ヶ月以上先の日程でないと、予約を取れません。
予約はこちらのサイトからもできます。予約時に、香港人のIDカード番号や日本人のパスポート番号等が必要です。
香港での結婚手続きには、結婚予定の日本人が香港での結婚の条件を満たしていることを証明する書類(婚姻要件具備証明書)が必要です。が、婚姻要件具備証明書を在香港日本国総領事館で発行してもらうためには、事前に日本の役場で戸籍謄本を取得し、外務省のアポスティーユを受けておく必要があります。アポスティーユとは、日本の官公署、自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明のことです。アポスティーユを取得すると、日本にある外国の大使館・総領事館の領事による認証(領事認証)があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます。アポスティーユは郵送請求もできますので、こちらのページで紹介されている手続きにしたがって、進めてください。もし、アポスティーユの手続きが難しいと感じられた場合は、当事務所で取得代行いたしますので、お気軽にご相談ください。
なお、婚姻要件具備証明書を取得するために必要とされる一般的な書類は、以下のとおりです(必ずご自身でも取得先に確認してください)。
日本人のパスポート
指定された日時に婚姻登記所に行き、本登録を行います。本登録では、以下の書類が必要です。
【日本人が用意するもの】
’【香港人が用意するもの】
本登録後、正式に入籍日を決定し、登記所の掲示板に結婚の意思を示す書面が15日間掲示されます。その間に、異議の申し出がなければ、入籍日当日に、18歳以上の2人の証人とともに登記所へ出向き、結婚式を行います。
結婚式で、結婚登録証明書にサインすることで、結婚登録が行われ、結婚登録証明書が発行されます。
香港で結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。在香港日本国総領事館又はお住まいの市区町村役場で3ヶ月以内に手続きを行いましょう。報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。なお、在香港日本国総領事館で手続きするより、日本の市区町村役場で手続きした方が早いです。
日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外の役場に提出する場合のみ
この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。
香港人と日本人の国際結婚が成立し、香港人配偶者と日本で暮らす場合は、香港人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。
この記事では、日本人と香港人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合と香港で先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、
結婚予定の香港人が香港在住なら、香港で先に手続き
が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いです。どのような道を選ばれるにしても、お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。
結婚手続き完了後には、外国人配偶者の方が日本で安定して暮らすために不可欠な配偶者ビザの申請という大切なステップが控えています。このビザ申請には、複雑な書類作成と厳格な審査が伴います。
当事務所では、日本人と香港人の国際結婚後の配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)申請について、書類作成から申請代行までトータルでサポートしております。お二人が安心して新生活をスタートできるよう、確かな知識でサポートいたします。ビザ申請に関してお困りの際やご不安な点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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