永住ビザから高度専門職ビザに変更するケースとは?

投稿日:2025年11月15日

永住者が一度取得した永住ビザを手放し、あえて高度専門職ビザへ変更するケースは多くありませんが、実務では一定数見られます。
代表的な例としては、小さいお子さんの世話をしてもらうために親を呼び寄せるといった、高度専門職ビザならではの優遇措置を活用したいケースです。

この記事では、永住者が高度専門職ビザへ変更するにあたり、想定されるケースや注意点について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

1.高度専門職ビザとは

まずは高度専門職ビザについて、おさらいしましょう。

高度専門職ビザとは、簡単に言うと、学歴、職歴、年収等で高いスキルを持つ外国人に対して、特別な優遇を与えるビザです。日本での活動をしやすくすることで、優秀な人材を日本に呼び込むことを目的としています。そして、このビザを取得するためには、高度人材ポイント計算表で70点以上を獲得する必要があります。

また、高度専門職ビザには1号と2号があります。
高度専門職1号ビザは、海外に住んでいる外国人が、日本に入国する際に取得することもできますし、すでに別のビザで日本に在留している外国人が、高度専門職1号ビザに変更することもできます。与えられる在留期間は5年です。
次に、高度専門職2号ビザは、高度専門職1号ビザで3年以上日本に在留し、在留資格に該当する活動をしていたこと等の条件を満たすことで与えられるビザです。高度専門職1号ビザから直接2号ビザへ変更しなければならないというルールはありませんので、高度専門職1号ビザ(3年以上)⇒永住ビザ⇒高度専門職2号ビザへの変更も想定されます。高度専門職2号ビザが許可されると、永住ビザと同様に在留期間は無期限となります。

なお、高度専門職2号ビザと永住ビザとの大きな違いは、高度専門職2号ビザの人が6ヶ月以上働いていない場合(在留資格に該当する活動をしていない場合)、ビザを取り消される可能性があるということです。

高度専門職1号ビザについて、もっと詳しく知りたい方はこちら
高度専門職2号ビザについて、もっと詳しく知りたい方はこちら

2.永住ビザから高度専門職ビザに変更するケース

続いて、永住ビザから高度専門職ビザに変更するケースとして想定されるものを紹介します。

(1)親を呼び寄せたい

永住ビザから高度専門職ビザに変更するケースの中で、最も多いケースがこの理由です。ただし、どのような状況でも良いというものではありません。
以下のどちらかの状況であれば、一定の要件の下、親の呼び寄せ(帯同)が可能です。

  1. 高度専門職ビザの人、又はその配偶者の7歳未満の子ども(連れ子や養子も含む)を養育すること
  2. 高度専門職ビザの人、又はその配偶者が妊娠中で、介助や家事等の必要な支援を行うこと

上記どちらかの状況において、以下の要件をいずれも満たせば、親を本国から呼ぶことができます(特定活動(告示34号))。

  • 高度専門職ビザの人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が800万円以上であること
  • 高度専門職ビザの人と親が同居すること
  • 高度専門職ビザの人の親か、その配偶者の親かどちらかに限ること

なお、養育していた子どもが7歳に達した場合、引き続き在留することはできません。7歳の誕生日を迎えたら、すぐにビザが取り消されるわけではありませんが、在留期間中に帰国の準備をする必要があります。

(2)家事使用人を雇いたい

高度専門職ビザを持つ人は、一定の要件を満たせば、家事使用人を雇うことができます。雇用形態としては、①入国帯同型(特定活動(告示2号の2))、②家庭事情型(特定活動(告示2号))、③高度金融人材優遇型(特定活動(告示2号の3))があります。

まず①入国帯同型の要件について、紹介します。

  • 高度専門職ビザの人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が1,000万円以上であること
  • 雇用できる家事使用人は1名まで
  • 家事使用人は18歳以上
  • 家事使用人に対して、月額20万円以上支払うこと
  • 高度専門職ビザの人と一緒に日本に転居する場合、継続して1年以上その外国人に雇用されていること
  • 高度専門職ビザの人が出国する場合、一緒に出国することが予定されていること

次に②家庭事情型の要件について、紹介します。

  1. 高度専門職ビザの人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が1,000万円以上であること
  2. 雇用できる家事使用人は1名まで
  3. 家事使用人は18歳以上
  4. 家事使用人に対して、月額20万円以上支払うこと
  5. 家庭の事情(13歳未満の子、又は病気等により家事ができない配偶者がいること)が存在すること

最後に③高度金融人材優遇型の要件について、紹介します。

  1. 高度専門職ビザの人が、第二種金融取引業、投資助言・代理業、又は投資運用業に係る業務に従事していること
  2. 高度専門職ビザの人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が1,000万円以上であること
  3. 雇用できる家事使用人は、世帯年収が3,000万円未満の場合は1名まで、3,000万円以上の場合は2名まで
  4. 家事使用人は18歳以上
  5. 家事使用人に対して、月額20万円以上支払うこと
(3)本国に住む6歳以上の養子を呼び寄せたい

非常に珍しいケースですが、このようなケースも想定されます。
永住者が、本国で生まれた子どもを呼び寄せることができるのは、基本的に次の条件を満たす場合に限られます。

  • 永住者が扶養する未成年で未婚の実子:定住ビザ(告示6号)
  • 永住者が扶養する6歳未満の養子:定住ビザ(告示7号)

つまり、永住者が扶養する6歳以上の養子は日本に呼び寄せるためのビザがありません。一方、高度専門職ビザをはじめとした就労ビザ等を持つ人が扶養する配偶者や子どもには、通常、家族滞在ビザが与えられます。この家族滞在ビザの子どもの範囲には年齢制限が無く、実子、養子、認知された非嫡出子(婚姻関係に無い男女から生まれた子ども)が含まれるため、上記条件から外れる子どもも、家族滞在ビザで日本に呼び寄せることができます。

3.高度専門職ビザに変更した場合の注意点

高度専門職ビザへの変更が認められた場合、注意すべきポイントが3つあります。

(1)本人の仕事の自由度が下がる

永住者は、どの業種・職種でも働くことができ、正社員・パート・副業・個人事業主等、仕事において自由度が極めて高いのが特徴です。
しかし、高度専門職ビザについては、明確な就労制限があり、専門性の高い業務に限定されます。よって、工場でのライン作業・接客・配送等の現場作業の仕事に就くことはできません。また、転職する場合も、高度専門職1号ビザについては、その都度、在留資格変更許可申請をする必要があります(2号ビザは不要)。
加えて、冒頭でも触れましたが、
高度専門職ビザの人が6ヶ月以上働いていない場合(在留資格に該当する活動をしていない場合)、ビザを取り消される可能性があります。

(2)配偶者の仕事の自由度も下がる

永住者の配偶者の場合、許可される主なビザは永住者の配偶者等ビザです。そして、このビザにも就労制限はなく、永住者同様、どのような仕事に就いても、何時間働いても、問題にはなりません。
しかし、扶養者が永住ビザから高度専門職ビザに変更となった場合、その配偶者が許可される主なビザは家族滞在ビザ特定活動ビザ(告示33号)です。

家族滞在ビザの場合、扶養されることが前提条件となっているため、資格外活動許可を得たとしても、週に28時間を超えて働くことはできません。
一方、特定活動ビザの場合、学歴・職歴等の要件を満たさなくても、研究ビザ、教育ビザ、技人国ビザ、興行ビザに該当する活動を行うことができます。ただし、この特定活動ビザが許可されるには、高度専門職ビザの人と同居し、かつ日本人と同等額以上の報酬を得ることが条件となります。よって、もし高度専門職ビザの人と別居した場合は、許可された就労活動を行うことはできません(行った場合、違法な資格外活動となり、退去強制の対象となる可能性があります)。なぜなら、この特定活動ビザは、高度専門職外国人の配偶者という身分関係を前提として、許可されるものだからです。

(3)高度専門職1号ビザの場合、在留期限が発生する

永住ビザの場合、在留期間は無期限となり、在留カードを7年に1回更新するのみで良いですが、高度専門職1号ビザに変更した場合、在留期間は5年となり、定期的に在留期間更新許可申請をする必要があります。条件を満たして、高度専門職2号ビザに変更すれば、在留期間は無期限となりますが、1号ビザの間は在留期限があることを意識しておく必要があります。

また、永住者の時に契約したローンについて、ビザを変更することで影響が出るケースがあります。高度専門職ビザに変更する前に、事前に金融機関に相談しましょう。

4.まとめ

この記事では、永住ビザから高度専門職ビザへ変更する際に想定されるケースや、変更後に特に注意すべきポイントについて解説しました。

ご説明したとおり、永住者であっても高度専門職ビザへ変更することは可能ですが、就労範囲の制限が生じることや再び在留期間の更新が必要になること等、メリット・デメリットの両面があります。

とりわけ、永住ビザは原則として職種の制限なく働ける一方で、高度専門職ビザは「専門性の高い業務」に限定されるため、転職や副業の自由度が変わる点には十分注意が必要です。高度専門職ビザのメリット(親の呼び寄せ、家事使用人の雇用等)とデメリットを比較し、ご自身の人生設計やご家族の状況に合わせて慎重に検討することが大切です。

当事務所では、永住ビザ・高度専門職ビザを含め、幅広い在留資格の申請サポートを行っております。
「自分のケースで本当に変更してよいのか」「どちらのビザが将来の生活に合っているのか」等のご相談にも丁寧にお答えしますので、不安や疑問がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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