高度専門職2号ビザについて

投稿日:2025年7月8日

高度専門職ビザとは、高度なスキルや知識を持つ外国人に特別な優遇を与えて、優秀な外国人が長期間、日本で働くことができるようにするためのビザです。そして、このビザには1号と2号があります。

2号は、いわゆる1号のステップアップ版とも言えるビザですが、申請するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。この記事では、高度専門職ビザ2号の申請要件やメリットについて、詳しく解説します。
なお、1号についてお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。

1.高度専門職2号ビザの申請要件について

高度専門職2号ビザを申請するには、6つの要件を満たす必要があります。

  1. 申請者が行おうとする活動が高度専門職2号の活動内容に該当すること(活動該当要件)
  2. 高度人材ポイント計算表の合計が70点以上であること(ポイント要件)
  3. 高度専門職1号ビザで3年以上日本に在留し、在留資格に該当する活動をしていたこと(在留要件)
  4. 素行が善良であること(素行善良要件)
  5. 申請者の在留が日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)
  6. 申請者が日本において行おうとする活動が相当でないと認める場合でないこと(活動影響要件)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)活動該当要件

まず、高度専門職2号ビザを申請するためには、申請者が行おうとする活動が高度専門職2号の活動内容に該当する必要があります。要するに、高度な知識やスキルを求められる業務であることが必須であり、単純作業や現場労働は認められないということです。
高度専門職2号ビザは、高度専門職1号ビザを持っている人が申請するビザなので、この要件を満たさない人はいないと思います。

(2)ポイント要件

次に、高度専門職2号ビザを申請するためには、高度人材ポイント計算表で70点以上である必要があります。項目としては、学歴、職歴、年収、年齢、研究実績、資格等があります。
この要件についても、高度専門職1号ビザを持っている人であれば、基本的に要件を満たさない人はいないと思います。

(3)在留要件

高度専門職2号ビザは、高度専門職1号ビザを持って3年以上、日本に在留している外国人が申請できるビザです。ちなみに、この高度専門職1号ビザを直前に持っていなくても、以前、高度専門職1号ビザを持って、3年以上日本に在留しており、現在は永住ビザを持っているといった方でも、高度専門職2号への変更申請が可能です。
基本的な考え方として、すでに日本に在留している高度専門職1号ビザを持っている(又は持っていた)人にのみ、申請を認めているビザですので、日本に初めて入国する外国人は、たとえ高度人材ポイント計算表で70点以上あっても、いきなり高度専門職2号ビザを申請することができません。最初は、高度専門職1号ビザの申請からです。

(4)素行善良要件

素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと、高度専門職1号ビザで在留している時に、許可を得ていない資格外活動で働いていないこと等が具体例として挙げられます。
これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。

(5)国益適合要件

国益適合要件とは、高度専門職2号ビザを認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
例えば、罰金刑や懲役刑等を受けていないか、税金をきちんと納めているか、保険に加入しているか、引き続き高度かつ専門的な活動を継続する見込みがあるか等が確認されます。
この要件は、注意が必要です。高度人材ポイント計算表で70点以上の人は直近3年分の納税証明書を、80点以上の人は直近1年分の納税証明書を提出する必要がありますが、ここで未納が発覚すれば、不許可となる可能性があります。

(6)活動影響要件

活動影響要件とは、申請者が日本で行おうとする活動が、日本の産業や国民生活に悪い影響を及ぼさないことを指します。この要件については、高度専門職1号ビザの申請の段階で確認される要件ですので、基本的に要件を満たさないことは無いと考えられます。

2.高度専門職2号ビザのメリットについて

ここまで見てきたとおり、高度専門職2号ビザは申請する段階で、いくつかの要件が設けられています。永住申請ほど厳しい審査ではありませんが、優遇される立場にふさわしい人物かどうか、日本にとって価値ある人材かどうかを判断されるということです。言い換えると、高度専門職2号ビザを取得すれば、様々な優遇措置を受けることができるということでもあります。
高度専門職1号ビザと共通しているものもありますが、そのメリットについて詳しく見ていきましょう。

(1)広範囲な在留活動が認められる

高度専門職2号ビザでは、高度専門職1号ビザのように、活動内容によって3つのタイプ(高度学術研究活動、高度専門・技術活動、高度経営・管理活動)に在留資格が分けられていないため、主活動の範囲が拡がります(3つのタイプに含まれているすべての活動の中から選ぶことが可能)。また、主活動に加えて、就労ビザで認められているほぼ全ての活動(技能実習及び特定技能1号を除く)も併せて行うことができるため、幅広く仕事をすることができます(ただし、単純作業等は認められません)

また、高度専門職1号ビザを持っている人は、勤務先が変われば、そのたびに在留資格変更許可申請をする必要がありますが、高度専門職2号ビザを持っている人は、勤務先が変わっても、所属機関に関する届出を入管に提出するのみで大丈夫です。加えて、高度専門職1号ビザは、3つのタイプのいずれかで許可されますが、仕事内容が変わって、別のタイプに属する仕事をする(転職する)こととなった時は、在留資格変更許可申請が必要です。一方、高度専門職2号ビザは、在留資格がタイプごとに分かれていないため、3つのタイプのいずれかに属する仕事内容であれば、転職しても、在留資格変更許可申請は不要です。

(2)在留期間が無期限になる

永住ビザと同様、在留期間は無期限となります。ただし、在留カードの有効期間は7年ですので、在留カードの更新は忘れないように注意してください。

(3)永住申請をしやすくなる

永住申請には、原則として、引き続き日本に10年以上在留していることが必要ですが、高度専門職2号ビザを持っている場合、永住許可要件が緩和され、既に在留条件を満たしているため、すぐに永住申請することができます。ただし、永住ビザを取得することで、高度専門職ビザの優遇措置を受けられなくなる部分もありますので、その点については、状況に応じて検討する必要があります。永住ビザのメリット・デメリットについてはこちらをご覧ください。

(4)配偶者の就労で有利なビザを取得できる

就労ビザの配偶者に与えられるビザは、その多くが家族滞在ビザ(被扶養者であることが前提のビザなので、資格外活動許可を得て、週28時間以内のアルバイトしかできません)で、一定の学歴・職歴等の要件を満たした配偶者のみ、技人国ビザ等を取得することができます。一方、高度専門職1号ビザの配偶者については、学歴・職歴等の要件を満たさなくても、研究ビザ、教育ビザ、技人国ビザ、興行ビザに該当する活動を行うことができます(特定活動(告示33号))。
ただし、この特定活動ビザが許可されるには、高度専門職1号ビザの外国人と同居し、かつ日本人と同等額以上の報酬を得ることが条件です。
もし高度専門職1号ビザの外国人と別居した場合は、許可された就労活動を行うことはできません(行った場合、違法な資格外活動となり、退去強制の対象となる可能性があります)。なぜなら、この特定活動ビザは、高度専門職外国人の配偶者という身分関係を前提として、許可されるものだからです。

(5)一定の要件を満たせば、親を呼び寄せることができる

就労ビザの外国人の親の呼び寄せは、ほとんど認められていません(一部、例外はあります)。ですが、高度専門職1号ビザを持っている場合、以下のいずれかの状況であれば、一定の要件の下、親の呼び寄せ(帯同)が可能です。

  1. 高度専門職1号ビザの外国人、又はその配偶者の7歳未満の子ども(連れ子や養子も含む)を養育すること
  2. 高度専門職1号ビザの外国人、又はその配偶者が妊娠中で、介助や家事等の必要な支援を行うこと

上記いずれかの状況において、以下の要件をいずれも満たせば、親を本国から呼ぶことができます(特定活動(告示34号))。

  • 高度専門職1号ビザの外国人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が800万円以上であること
  • 高度専門職1号ビザの外国人と親が同居すること
  • 高度専門職1号ビザの外国人の親か、その配偶者の親かどちらかに限ること

なお、養育していた子どもが7歳に達した場合、引き続き在留することはできません。7歳の誕生日を迎えたら、すぐに在留資格が取り消されるわけではありませんが、在留期間中に帰国の準備をする必要があります。

(6)一定の要件を満たせば、家事使用人を雇うことができる

一定の要件を満たせば、家事使用人を雇用することができます。雇用する形態としては、①入国帯同型(特定活動(告示2号の2))、②家庭事情型(特定活動(告示2号))、③高度金融人材優遇型(特定活動(告示2号の3))があります。

まず①入国帯同型の要件について、紹介します。

  • 高度専門職1号ビザの外国人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が1,000万円以上であること
  • 雇用できる家事使用人は1名まで
  • 家事使用人は18歳以上
  • 家事使用人に対して、月額20万円以上支払うこと
  • 高度専門職1号ビザの外国人と一緒に日本に転居する場合、継続して1年以上その外国人に雇用されていること
  • 高度専門職1号ビザの外国人が出国する場合、一緒に出国することが予定されていること

次に②家庭事情型の要件について、紹介します。

  1. 高度専門職1号ビザの外国人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が1,000万円以上であること
  2. 雇用できる家事使用人は1名まで
  3. 家事使用人は18歳以上
  4. 家事使用人に対して、月額20万円以上支払うこと
  5. 家庭の事情(13歳未満の子、又は病気等により家事ができない配偶者がいること)が存在すること

最後に③高度金融人材優遇型の要件について、紹介します。

  1. 高度専門職1号ビザの外国人が、第二種金融取引業、投資助言・代理業、又は投資運用業に係る業務に従事していること
  2. 高度専門職1号ビザの外国人の世帯年収(配偶者の年収も含む)が1,000万円以上であること
  3. 雇用できる家事使用人は、世帯年収が3,000万円未満の場合は1名まで、3,000万円以上の場合は2名まで
  4. 家事使用人は18歳以上
  5. 家事使用人に対して、月額20万円以上支払うこと
(7)入国・在留手続きにおいて、優先して審査をしてもらえる

就労ビザの審査には、通常3か月程度かかりますが、高度専門職2号ビザについては、優先的に審査されるため、審査については、申請を受け付けてから5日程度とされています。しかし、必要書類が不足している場合や申請内容に疑義がある場合は、1か月ほどかかることもあります。

3.まとめ

以上が高度専門職2号ビザの申請要件やメリットです。
在留期限が無く、仕事の幅を広げることができる非常に魅力的なビザですが、その一方で、入管に提出する資料は、永住申請並みに多いです。
もし、高度専門職2号ビザの申請をしたいけれど、時間が無い、失敗したくないとお考えの方は、ぜひビザ専門の行政書士にご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で
国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。

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