なぜ永住ビザが不許可になる?10の原因と対策

投稿日:2025年11月6日

永住ビザは、近年、許可率が60%前後で推移している、審査が非常に厳しい在留資格の1つです。
しかし、実際に不許可になるケースの多くは、「審査基準をよく理解せずに申請してしまった」ことが原因です。

この記事では、永住ビザが不許可になる主な10の原因と、その具体的な対策を、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

1.永住ビザの審査は「総合判断」

永住ビザの審査は、「この基準を満たせば必ず許可される」という単純なものではなく、複数の基準を総合的に判断して行われます。つまり、1つの基準をクリアしていても、他の基準でマイナス要素が積み重なれば、不許可になる可能性があるということです。重要なのは、不許可の原因を正確に理解し、申請前に対策をとることです。

主な審査基準(取得要件)は、次の3つです。詳しくはこちら

  • 素行が善良であること(犯罪歴や違反がないこと)
  • 独立して生計を営めること(安定した収入・納税、技能を持つこと)

  • その者の永住が日本にとって有益であること(日本で一定期間、ルールを守って暮らしていること)

2.不許可になる10の主な原因と対策

永住申請が不許可になる主な原因とその対策をご紹介します。

(1)収入が基準を満たしていない

目安として、単身者で年収300万円程度、扶養家族がいる場合は、1人増えるごとに60~80万円がプラスで必要とされます。しかも、審査対象期間中はすべて、その基準を満たす必要があります。例えば、ある年は年収100万円だったけれど、その翌年は500万円だったから、トータルで見れば基準をクリアしているということにはなりません。

なお、申請者の状況によって審査対象となる年収や期間が異なります。

 申請者の状況 審査対象となる年収 審査対象期間
就労ビザ(高度専門職を除く)の人 本人のみの年収 直近5年間
家族滞在ビザの人 扶養者のみの年収 直近5年間
日本人/永住者/特別永住者の配偶者 世帯年収 直近3年間
日本人/永住者/特別永住者の実子 世帯年収 直近1年間
高度人材ポイントが70点以上の人 本人のみの年収 直近3年間
高度人材ポイントが80点以上の人 本人のみの年収 直近1年間

☝対策: 対象期間分の収入を課税所得証明書等で確認し、全期間において、収入の基準をクリアするようになってから申請しましょう。また、状況に応じて、配偶者の収入や貯金額等を補足説明することも効果的です。それから、転職を考えている方は、永住許可が下りてから転職されることをおすすめします(収入の安定性を疑われる場合があるため)。

(2)税金に未納や納付遅れがある

永住申請では、査対象期間の税金が「期限内に」納付されていることが重視されます。つまり、単なる完納だけではなく、納付遅延がないことまで確認される点に注意が必要です。もし、審査対象期間に未納や納付遅れがある場合は、原則不許可となります。

☝対策: 審査対象期間の納税証明書(住民税:市役所、所得税等:税務署)を確認し、未納や納付遅れが無いか確認します。未納がある場合は、早急に完納したうえで、未納期間や納付遅れが審査対象期間から外れるまで、一定期間、納付の実績を作ってから申請しましょう。

(3)社会保険料に未納や納付遅れがある

年金や健康保険については、直近2年間(高度人材ポイント80点以上の場合は1年間)の保険料が「期限内」に納付されていることが重視されます。保険料についても、未納や納付遅れがある場合は、原則不許可となります。
会社員の場合、給料からの天引きによってこれらの支払いが自動的に行われるため、基本的には問題となることはありませんが、転職をしている方は注意が必要です。転職活動中や退職後の空白期間に、年金や健康保険の手続き漏れ等により、未納が発生する場合がありますので、必ず確認しましょう。

☝対策 直近2年間(又は1年間)で、会社員ではない時期がある場合は、ねんきん記録や国民健康保険料納付証明書を確認し、未納や納付遅れが無いか確認します。未納がある場合は、早急に完納したうえで、未納期間や納付遅れが直近2年間(又は1年間)から外れるまで、一定期間、納付の実績を作ってから申請しましょう。

(4)軽微な交通違反を繰り返している

審査対象期間中に、軽微な交通違反を繰り返していると、審査が厳しくなる傾向にあります。目安としては、直近5年間で5回以上繰り返すと、不許可のリスクが高まります

軽微な交通違反とは、白切符、青切符を切られる違反です。
シートベルト不着用、チャイルドシート不使用等が白切符を切られる違反で、信号無視や一時不停止、30km未満のスピード違反等が青切符を切られる違反です。

一方、酒気帯び運転、無免許運転、30km以上のスピード違反等は、赤切符を切られる違反です。審査対象期間中に1回でもこの違反をしてしまうと、以下の期間が経過しない限り、許可になる可能性はありません

  • 懲役・禁固刑:刑務所から出所して10年を経過(執行猶予がついている場合は、猶予期間が満了してから5年経過)すること
  • 罰金・拘留・科料:支払いを終えてから5年経過すること

☝対策: 常日頃から安全運転をはじめ、法令遵守を心がけましょう。軽微な交通違反をしてしまった場合は、理由書で反省の気持ちと今後の対策等について触れるとよいでしょう。

(5)許可された在留期間が短い

永住申請をするためには、現在保有している在留資格について、最長の在留期間で許可されている必要があります。2025年10月現在、最長の「5年」だけでなく、「3年」も申請が認められていますので3年以上の在留期間を許可された人でないと申請することができません

☝対策: 意外とこの要件を見落とす方が多いので、今一度自分の在留カードで在留期間を確認しましょう。

(6)過去の申請内容と矛盾している

永住申請の審査の際、申請者の過去の申請履歴がすべて確認されます過去に提出した書類と今回の申請書類の間で内容に違いがあると、どちらかが虚偽の申請である可能性を疑われます。虚偽の申請が発覚した場合、「在留資格等不正取得罪」や「営利目的在留資格等不正取得助長罪」に該当する可能性があり、単なる不許可にとどまらず、現在の在留資格を取り消されたり、退去強制の可能性も出てきます。

☝対策: 永住申請を行う前に、過去に提出した申請書類の内容を確認し、矛盾がないか慎重にチェックしましょう。場合によっては、過去の申請書類を開示請求するのも1つの方法です。特に、婚姻歴、職歴、収入、滞在歴等の情報に一貫性があるかを確認し、記載内容に食い違いがある場合、その理由を説明できるようにしましょう。

(7)長期間の海外滞在歴がある

永住申請をするには、原則として、引き続き10年以上日本に在留していることが求められます。ですが、長期間の海外滞在がある場合、継続した居住とはみなされず、居住年数のカウントがリセットされることがあります。

例えば、1回の出国で90日以上又は1年間で半年以上出国し、海外に滞在している場合は、日本に生活基盤が無いとみなされ、在留期間の積算がリセットされます。そしてその結果、引き続き日本に10年以上在留していないという理由で、不許可となります。

☝対策: 頻繁に海外に出国される方は、その出国日数を正確に把握するため、事前に入管に出入国記録の開示請求を行うことをおすすめします。この開示請求には約1ヶ月かかるため、永住申請を決めたら、早めに取り寄せましょう。

(8)必要な届出を怠っていた

見落としがちですが、様々な変更に伴う届出をきちんと行っていない場合、不許可となることがあります

例えば、引っ越し後14日以内に市町村役場に転居届等を提出し、在留カードの裏面に新しい住所を記載してもらう必要があります。
また、退職や転職した時は、所属機関に関する届出が必要ですし、配偶者ビザをお持ちの方が配偶者と死別・離婚した時は、配偶者に関する届出が必要です。どちらも14日以内に届出を提出する必要があります。

ちなみに2021年10月から、永住申請の提出書類の1つに「了解書」が加わりました。永住申請中に状況の変更があった場合に、申請者が速やかに入管に知らせることを了解するというものです。この書類1つとっても、状況の変更を速やかに届け出ることを入管が重視していることが分かります。

☝対策: 住所や所属している会社、家族状況等に変更があった場合は、速やかに届出を行いましょう。万が一、忘れていて提出期限を過ぎた場合でも、すぐに届出を行いましょう。遅れてでも届出をしたことにより、永住審査において配慮されることがあります。

(9)扶養家族が多い、扶養していないのに扶養申告している

収入の話と関連しますが、永住審査では「経済的に安定しているか」が重視されます。そのため、収入に対して扶養家族が多すぎる場合や実際には扶養していない家族を扶養申告している場合は、不許可となる可能性が高まります

特に問題になるのが、本国にいる家族を節税目的で扶養家族にしているケースです。もちろん、本国の家族を扶養に入れてはいけないという決まりはありません。生活費をきちんと送金しているなら、問題はありません。しかし、節税のために、送金せずに名前だけ使っているようなケースは「脱税」と見なされ、不許可となります。

☝対策:実際に生活費を負担している家族だけを扶養に入れましょう。もし、海外在住の家族を扶養している場合は、送金記録(海外送金明細)を添付しましょう。

(10)身元保証人に問題がある

永住申請には、日本人か永住者の身元保証人が必要です。特に配偶者ビザの方が永住申請をする場合は、配偶者が身元保証人になるケースが一般的です。しかし、こうした要件を満たしていない方を身元保証人にした場合、永住ビザの審査で不許可となる可能性が高いです。また、身元保証人が見つからず、保証人代行サービスを活用した場合、そのことが発覚すると確実に不許可となりますので、代行サービスは利用しないようにしましょう。身元保証人の詳しい要件については、こちらをご覧ください。

☝対策:身元保証人が負う責任は、一般的な連帯保証人の内容とは異なり、法律的な義務は無く、道徳的、倫理的な立場から人として正しい行動をするべき責任(道義的責任)のみです。経済的な賠償までは含まれていません。このあたりを説明して、納得してもらったうえで、適切な方に身元保証人になってもらいましょう。

3.まとめ

この記事では、永住申請が不許可になる主な原因と対策をご紹介しました。
ご覧のとおり、永住申請は気を付けなければならないポイントが非常に多いです。そして、気を付けて申請しても、3人に1人は不許可となる、非常に審査の厳しい在留資格です。ですが、永住申請は申請回数に制限がありませんので、何度でも挑戦することができます。

もし不許可になったら、審査官から不許可の理由をきちんと聞き出し、正しく対策をしたうえで再申請を行うようにしましょう。

当事務所でも永住申請のサポートを行っております。許可の可能性を上げたい方は、ぜひ当事務所へご相談ください!

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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