更新日:2026年10月2日 投稿日:2025年5月26日
永住ビザは、在留期限や就労制限がなくなり、日本で自由に暮らし続けることができる「最強の在留資格」です。 日本で安定した生活を望む外国人の方にとって、非常に魅力的な資格ですが、誰でも簡単に取得できるわけではありません。
出入国在留管理庁の統計(2025年)によると、永住ビザの許可率は約57%。なんと、2人に1人が不許可になっているのが現実です。
永住権は「日本に一生住む権利」を与える重要な手続きであるため、通常のビザ更新よりも審査基準は格段に厳しくなります。
そこでこの記事では、不許可にならないために必ず確認すべき「3つの要件」を中心に、分かりやすく解説します。
2026年10月のガイドライン改訂の内容を基に、最新の情報をまとめました。改訂内容が適用されるのは、2027年4月からがほとんどですが、独立生計要件の収入の項目と国益適合要件の公共の負担の項目については、2026年4月以降の申請分からさかのぼって適用されます。永住申請を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
永住ビザを取得するためには、3つの要件があります。(参考:出入国在留管理庁の永住許可に関するガイドライン)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。この要件は、日本人や永住者の配偶者及び子どもについては適合不要とされています。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと、留学ビザや家族滞在ビザの方が資格外活動オーバーで働いていないこと等が具体例として挙げられます。これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。
素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。
独立生計要件とは、自立して生活することができる能力があることを指します。この要件は、日本人や永住者の配偶者及び子どもと難民認定を受けている方については適合不要とされています。
1つ目は「その世帯にどれぐらいの年収があるのか?」ということです。原則として、直近5年分の年収がチェックされます。年収額について、入管では明確な数字を公表していませんが、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を求めています。一体いくらなのか、様々な議論がありますが、今までのような単身世帯で年収300万円以上あればよいというわけにはいかないようです。最も多い意見としては、4人世帯までは世帯年収約760万円(2024年の平均所得575.2万円を基に算出。「2025年国民生活基礎調査の概要」)が求められるのではないかと言われています。また、5人世帯以上になると、人数に応じてさらに加算されます。なお、配偶者が就労系のビザを持ち、収入を得いている場合は、世帯収入に合算できますが、家族滞在ビザ等、働くことを目的としていないビザの場合は、そのアルバイト代を世帯収入に加算することはできません。
さらに注意しなければいけないのは、海外にいる扶養親族の人数もこの世帯人数に含めなくてはいけないという点です。もし、実際には扶養していないのに、税金対策のためだけに親族を不要に入れている場合は、正しい情報を修正申告しましょう。こちらの項目は、2026年4月以降に申請したものについても適用されます。
2つ目は、今回のガイドラインで初めて示された年金に係る項目です。具体的には、「その世帯が将来受け取ることができる年金見込額はいくらぐらいあるのか?」ということです。
申請者の年金の加入状況や年収から計算される将来の年金の見込額が、上記の日本人世帯の平均年収約760万円を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合の将来の見込額に達しているかが確認されます。もし、その見込額に達していなくても、生活資金にあてることができる金融資産(株や預貯金、保険金等)が十分にある場合は、見込額に達しているものと評価されます。なお、金融資産は、申請者が年金を受給し始めてから生活資金を補う性質のものであり、若い人ほど長期にわたってその資産を形成しやすいため、その基準額は、申請者の年齢が若いほど、低いものとなります。
また、見込額や金融資産についても、世帯単位で判断されますので、配偶者がいる場合は、配偶者の見込額や金融資産も合算して、評価されます。こちらの項目は、2027年4月以降に申請したものについて適用されます。
永住ビザを取得するためには、今まで以上に日本で安定した収入を継続的に得ること、そして老後も公共の負担を受けることなく自立して生活していけることが重要視されていると言えます。
国益適合要件とは、永住を認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
ガイドラインで以下の10項目が定められていますので、それぞれ見てみましょう。
①住居地の届出等の各種届出義務や在留カードの常時携帯義務等を守ること。
在留カードを持っている中長期在留者が必ず守らなければならない届出や携帯の義務のほか、在留資格で認められていない活動をしない、させない義務も守る必要があります。
➁税金や保険料を遅れることなく支払うこと。
所得税、住民税、法人税、固定資産税等のすべての税金と公的医療保険、公的年金等の負担金を期限までに支払っていることが求められます。申請時点で未納が無くても、過去に滞納処分を受けたことがある場合は、不許可の可能性が一気に高くなります。この基準は、世帯単位で確認されますので、配偶者に滞納処分がある場合も、同様に消極評価を下されます。
➂過去に罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。
過去にこれらの刑罰を受けている場合は、消極評価をされます。
④上陸拒否事由に該当していないこと、現に有している在留資格の上陸許可基準に適合していること。
例えば、日本の公衆衛生を脅かすおそれがある重い感染症にかかっている人や薬物(覚醒剤、大麻、麻薬など)、銃砲刀剣類、売春、人身取引などの特定の犯罪に関わったことがある人などは上陸拒否事由に該当しますが、これらの事由に該当していないことが求められます。
また、現在持っているビザの上陸許可基準に適合していない場合は、消極評価をされます。
➄日本に10年以上住んでおり、現に有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していること。
申請時点において、原則として引き続き10年以上、日本に在留している必要があります。なお、この期間のうち、5年以上、就労資格又は居住資格をもって日本に在留している必要があります。また、過去10年以内に、1回の出国で6ヶ月以上日本から離れていた場合や通算して2年6ヶ月以上出国していた場合は、消極評価(リセット)されます。
加えて、入管法上では多くのビザにおいて、「5年」が最長ですが、当面の間は「3年」のビザでも「最長の在留期間」として扱うことになっています。
⇒2026年2月にこのルールの改訂がありました。2027年3月31日までは、「3年」のビザでも永住申請可能ですが、2027年4月1日以降は、「5年」のビザを持っていないと、永住申請できなくなります。ただし、2027年3月31日の時点で「3年」のビザを持っている人については、2027年4月以降でも、その在留期間内に1度だけ永住申請できます。
➅公共の負担とならないこと。
日本人や永住者の配偶者や子ども、難民認定を受けた人は独立生計要件に適合する必要は無いとされていますが、この要件に適合していると認められる場合は、積極評価につながります。一方、これらの人たちが、生活保護を受けている場合やそのおそれがある場合は、消極評価をされることがあります。こちらの項目は、2026年4月以降に申請したものについても適用されます。
➆一定水準の日本語能力を有すること。(2027年4月~適用)
具体的には、「日本語教育の参照枠」において、B1相当レベル以上(N3で104点以上又はN2)が必要です。ただし、申請者が高度人材外国人である場合やその家族、日本の小・中・高校で合計6年以上教育を受けた場合、永住者の子ども(その親がB1相当レベル以上の日本語能力を持ち、かつ子どもが日本で生まれた場合に限る)などは、免除されます。
➇日本の制度やルールを理解していること。(2027年4月~適用)
申請者が日本の制度やルールを理解していない場合や理解する意欲が低い場合は消極評価をされます。具体的には、入管が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」に記載されている内容を中心に、日本の制度やルールの理解度が一定水準を上回っているかを確認されます。
➈学齢期の子どもが日本の学校に通っていること。(2027年4月~適用)
申請者が、学齢期(義務教育期間)の子どもを養育している親である場合、子どもを日本の小学校又は中学校に通わせていることが求められます。同様に、学齢期の子どもが申請者である場合、申請者が小学校又は中学校に通っていることが求められます。
➉その他に国益に適合すると思われる事情があること。
上記の9つの項目以外に、日本社会の一員としてルールを守り、地域や社会にしっかり馴染んでプラスになるような行動(例:特定在留カードの積極利用、日本語や日本のルールを積極的に学ぶ等)をしていれば、積極評価をされます。
日本人や永住者の配偶者の場合、以下の2つの要件を満たすことで、永住ビザの申請をすることができます。なお、日本人や永住者の実子の場合は、2のみを満たせば、申請可能です。
上記要件に該当する方は、10年間在留することなく、しかも国益適合要件のみをクリアすることで、永住ビザを取得することができます。よって、海外で実体のある婚姻生活を2年以上継続している場合、最短で日本に来てから1年(2027年4月以降の申請は3年)で永住ビザを取得することができます。
ただし、上記要件で申請する場合、素行善良要件と独立生計要件は永住ビザの申請では不問となりますが、日本でどのように生活するかは審査の対象となりますので、その点には注意が必要です。
またこの特例については、例えば経営・管理ビザを持つ夫が永住許可の要件を満たしている場合、家族滞在ビザで在留している妻も以前から永住者の配偶者等ビザの要件を満たす者として扱われ、上記要件で永住申請の審査をしてもらえます。この辺りは少し複雑なので、ぜひビザ専門の行政書士にご相談ください。
在留資格が定住者で、かつその在留資格で日本に5年以上継続して在留していることが要件です。
また、日本人の配偶者等ビザを持っていた人が、変更許可を受けて定住ビザを付与された後、引き続き日本に5年以上在留していない場合でも、日本人の配偶者等ビザと定住ビザの在留資格で合計5年以上在留している場合にも、要件を満たすとされています。
難民の認定を受けた人の場合、認定後5年以上継続して日本に在留していれば、特例に該当します。難民申請中の在留は含まれませんので、ご注意ください。
また、この要件で申請する場合は、独立生計要件は不問となります。
日本政府が指定した特別な地域(特区)で、地域経済の発展などに大きく貢献し、かつ3年以上日本に在留している場合に該当します。この特例は、2027年4月から適用されます。
地域再生法は、急速な少子高齢化や産業構造の変化に対応するため、地方公共団体が自立的に地域の活性化を行えるよう規定した法律です。具体的には、中心市街地の活性化に関する法律に基づき、以下のような事業を行い、地域の雇用創出や経済基盤の強化に貢献し、かつ3年以上日本に在留している場合に該当します。
事業内容だけでなく、その所属機関側の要件(区域等)も満たす必要があるため、一部の限られた方しか該当しない要件となっています。
「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留しているか、又は3年以上継続して日本に在留している人で、永住許可申請日から3年前の時点でポイント計算を行った場合、70点以上である場合、この要件に該当します。なお、高度人材外国人とは、就労資格で日本に在留する外国人の中でも、経済成長等への貢献が期待される能力や資質に優れた外国人を指します。入管が定める一定のポイントをクリアした高度人材外国人には、優遇措置が与えられているということですね。
「高度人材外国人」として1年以上継続して日本に在留しているか、又は1年以上継続して日本に在留している人で、永住許可申請日から1年前の時点でポイント計算を行った場合、80点以上である場合、この要件に該当します。上記(6)と同趣旨で、ポイント計算において、80点以上の方は永住ビザの特例要件に該当します。
ちなみに、申請者がこの特例に該当する場合でも、その配偶者についは、同時に永住申請をすることはできません。まずは永住者の配偶者等ビザを与えられます。他の配偶者と同様に、3年間日本に在留した後に永住申請が可能となり、在留状況や日本での定着性等を審査され、日本国にとってプラスになると認められれば、永住許可されることとなります。
「特別高度人材」として1年以上継続して日本に在留しているか、又は1年以上継続して日本に在留している人で、永住許可申請日から1年前の時点で特別高度人材省令に規定する基準に該当することが認められる場合、この要件に該当します。なお、特別高度人材とは、これまでのポイント制とは別で、学歴、職歴及び年収に関する加重要件を満たして「高度専門職」の在留資格が与えられた外国人を指します。高度人材外国人よりも、より一層の優遇措置が認められています。
この特例は、入管が定める「我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン」に該当し、かつ5年以上、日本において社会生活上問題を起こすことなく滞在してきたことが要件となります。
「我が国への貢献」と聞くと、抽象的に感じるかもしれませんが、許可された例を挙げると、科学技術研究者として活動し、科学技術誌に研究論文数十本を発表した実績が日本の科学技術向上への貢献があったものと認められた方や長期間にわたり我が国の大学教授として勤務し、高等教育に貢献が認められた方等がいます。
この記事では、永住許可に関する最新の情報について解説しました。永住ビザを取得するためには、様々な要件があることがお分かりいただけたかと思います。また、永住の要件が急激に厳しくなっています。
永住申請したいけれど、自分が該当するか分からないという方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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