中国人との国際結婚の手続きについて

投稿日:2025年8月30日

日本人と中国人の国際結婚の手続きは、どこで先に手続きを行うかによって、その流れが大きく変わります。

具体的には、

  • 日本で先に手続きをする場合
  • 中国で先に手続きをする場合

の2つのパターンが存在します。

この記事では、それぞれのパターンに沿って、必要な書類や手続きの流れを解説します。複雑に思える手続きも、1つずつクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。

1.結婚できる年齢について

まずはじめに、結婚の手続きを進めるにあたって、自分や相手が結婚できる年齢であるかどうかを確認する必要があります。国によって、結婚できる年齢が異なるため、とても重要な確認事項です。

日本人と中国人との国際結婚の場合、日本の民法では、男女ともに18歳以上であることが求められますが、中国の婚姻法では、男性22歳以上、女性20歳以上であることが求められ、たとえ相手が外国人であってもこの条件をクリアしないと結婚は認められないこととなっています。
よって、中国人との有効な婚姻関係を成立させるためには、男性22歳以上、女性20歳以上の男女であることが求められます(日本も中国も現時点で、法的には同性婚を認めていません)。

2.日本で先に手続きをする場合

結婚予定の中国人の方が、日本で在留資格を持って在留している場合(短期滞在ビザは対象外)は、日本での手続きを先に進めた方がスムーズです。まずは日本で先に手続きする場合について解説します。

(1)お住まいの市区町村役場に必要書類を確認する

最初に、日本人が住んでいる市区町村役場に結婚手続きに必要な書類を確認します。役場によって、必要な書類が異なる場合がありますので、必ず確認してください。なお、一般的によく求められる書類は以下のとおりです。

【日本人が用意するもの】

  • 婚姻届
  • 戸籍謄本(本籍地以外の役場に提出する場合)

’【中国人が用意するもの】

  • 無配偶声明書の公証書(独身であることを証明する書類)※駐日中国大使館・総領事館発行のもの
  • 無配偶声明書の公証書の日本語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • パスポート
  • 在留カード
(2)管轄の駐日中国大使館・総領事館で公証書を取得する

次に、結婚予定の中国人が住んでいる地域を管轄する駐日中国大使館又は総領事館に連絡し、無配偶声明書の公証書を取得するために必要なもの(パスポートや在留カード等)を確認します。そして、その必要なものを持って駐日中国大使館又は総領事館に行き、窓口で声明書に署名し、無配偶声明書の公証書を取得します。

【大使館・総領事館の管轄地域】

  1.  駐日中国大使館(東京): 東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、静岡県
  2.  駐大阪中国総領事館: 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県、愛媛県、高知県、徳島県、香川県、広島県、島根県、岡山県、鳥取県
  3. 駐名古屋中国総領事館: 愛知県、岐阜県、福井県、富山県、石川県、三重県
  4. 駐福岡中国総領事館: 福岡県、山口県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
  5.  駐札幌中国総領事館: 北海道、青森県、岩手県、秋田県
  6.  駐新潟中国総領事館: 新潟県、宮城県、山形県、福島県
(3)お住まいの市区町村役場に婚姻届等を提出する

無事、無配偶声明書の公証書を取得できたら、その翻訳文も準備して、お住まいの市区町村役場で婚姻届と必要書類を提出します。この手続きで、日本における婚姻関係の手続きは完了です。
ですが、中国に結婚の報告をする必要があるため、その手続きで求められる婚姻届受理証明書を取得したい旨も併せて窓口で伝えましょう。基本的には即日発行される書類です。

(4)婚姻届受理証明書のアポスティーユを取得する

婚姻届受理証明書を取得したら、外務省でアポスティーユを取得する必要があります。アポスティーユとは、日本の官公署、自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明のことです。
アポスティーユを取得すると、日本にある外国の大使館・総領事館の領事による認証(領事認証)があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます。アポスティーユは郵送請求もできますので、こちらのページで紹介されている手続きにしたがって、進めてください。
もし、アポスティーユの手続きが難しいと感じられた場合は、当事務所で取得代行いたしますので、お気軽にご相談ください。

(5)中国の戸籍所在地役場に婚姻届受理証明書を提出する

日本で先に結婚手続きを行った場合、自動的に中国でも有効な婚姻と認められるため、中国での結婚手続きは不要です。ですが、中国人配偶者の戸籍簿の婚姻状況を変更しなければなりません(未婚→既婚)。

アポスティーユを取得した婚姻届受理証明書を中国人配偶者の戸籍所在地の役場へ提出することで行うことができます。この際、婚姻届受理証明書の中国語の翻訳文も必要です。

(6)入管に配偶者ビザの変更許可申請をする

中国人との国際結婚が成立したら、配偶者ビザへの変更許可申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください。
ですが、配偶者ビザには様々なメリットがあります。例えば、配偶者ビザは、就労制限が無く、自由に働くことができます。アルバイトだけでなく、正社員や会社経営等、様々な働き方をすることができます。また、永住権の取得についても、配偶者ビザの方は要件が緩和されており、永住申請しやすいです。
とは言え、配偶者ビザは審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

3.中国で先に手続きを進める場合

日本人の方が頻繁に中国に渡航できる場合や中国人の方が中国に在住している場合は、中国での手続きを先に進めた方がスムーズです。また、中国政府が発行する「結婚証」を取得したい場合もこちらの方法で進める必要があります。
ここからは中国で先に手続きする場合について解説します。

(1)日本人の婚姻要件具備証明書を取得する

まず、結婚予定の日本人が中国での結婚の条件を満たしていることを証明する書類(婚姻要件具備証明書)が必要です。婚姻要件具備証明書は、日本人が日本国内にいるか、中国にいるかで取得先が異なります。
日本国内にいる場合は、本籍地の法務局で取得します。一方、中国に滞在している場合は、中国にある日本国大使館・総領事館で取得します。なお、法務局で取得した場合は、外務省のアポスティーユを取得する必要があります
また、婚姻要件具備証明書を取得するために必要とされる一般的な書類は、以下のとおりです(必ずご自身でも取得先に確認してください)。

  • 日本人の戸籍謄本(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 日本人のパスポート

  • 日本人の身分証明書(運転免許証等)

  • 中国人の身分証(コピー)

(2)中国の婚姻登記処で婚姻登記を行う

婚姻要件具備証明書を取得したら、中国語訳を用意したうえで、いよいよ中国での結婚手続きです。
手続きする場所は、結婚予定の中国人の戸籍所在地を管轄する婚姻登記処(民政局)です。手続きの際は、必ず日本人と中国人の2人が、必ず一緒に窓口に出向いてください。なお、提出書類は以下のとおりです。

【日本人が用意するもの】

  • 婚姻要件具備証明書(法務局で取得した場合は、アポスティーユ取得済みのもの)
  • 婚姻要件具備証明書の中国語翻訳文 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • パスポート

’【中国人が用意するもの】

  • 居民戸口簿(戸籍)
  • 居民身分証(身分証明書)

  • パスポート

この手続きが完了すると、「結婚証(结婚证)」という赤い手帳が発行されます。これが中国政府が正式に婚姻を認めた証明となります。

(3)日本の役所へ報告的届出を行う

中国で結婚が成立したら、その事実を日本の戸籍に反映させるための手続きを行います。日本人が住んでいる市区町村役場で3か月以内に手続きを行いましょう。日本の役場で手続きをした方が、戸籍に婚姻事実が記載されるまでの時間が短いため(1週間程度)、おすすめですが、引き続き中国に滞在する場合は、中国にある日本大使館・総領事館で手続きを行うこともできます。ただし、婚姻事実が記載されるまでに2か月ほどかかりますので、注意してください。日本の役場への報告的届出に際して、必要とされる一般的な書類は以下のとおりです(必ず届出を行う役場に事前に確認してください)。

  • 婚姻届
  • 結婚公証書(公証処発行)
  • 出生公証書(公証処発行)
  • 中国人配偶者の国籍公証書
  • 中国語文書の日本語訳 ※業者に依頼しても、自分たちで翻訳しても大丈夫です
  • 日本人の戸籍謄本(本籍地以外の役場に提出する場合)

この手続きが完了して初めて、日本でも法的に婚姻が成立したことになります。

(4)入管に配偶者ビザの認定証明書交付申請をする

中国人と日本人の国際結婚が成立し、中国人配偶者と日本で暮らす場合は、中国人配偶者を日本に呼び寄せるために、配偶者ビザの認定証明書交付申請を行います。ここまでの国際結婚の手続きの中で、最も難しい手続きです。詳しくはこちらをご覧ください(この手続きで婚姻の記載がある戸籍謄本を求められるため、日本国内の役場で報告的届出をした方がスムーズに手続きできます)。
配偶者の呼び寄せについても、審査が厳しく、結婚しているからといって絶対に得られるビザではないため、入念に申請準備することをおすすめします。

4.まとめ

この記事では、日本人と中国人の国際結婚手続きについて、日本で先に進める場合と中国で先に進める場合、それぞれの流れを詳しく解説しました。
この2つのケースを比較すると、

  • 結婚予定の中国人が日本在住なら、日本で先に手続き
  • 結婚予定の中国人が中国在住なら、中国で先に手続き

が、全体的な流れとしてスムーズである場合が多いです。しかし、個別のケースによっては、この限りではありません。複雑なケースやご不明な点がある場合は、お二人だけで悩まず、ビザ専門の行政書士にご相談いただくことも1つの選択肢です。どのような道を選ばれるにしても、お二人の結婚手続きが円滑に進み、新しい生活が素晴らしいものになることを心より願っています。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で
国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。

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