投稿日:2026年10月23日
退去強制手続の対象となって収容されている方のご家族から、最も多く寄せられるのが「施設から一日も早く解放してほしい」というご相談です。
しかし、収容された方が誰でも簡単に出られるわけではありません。病気の治療が必要なケースや人道上の配慮が必要な場合に限り、個別の事情を審査したうえで一時的に収容を解除する制度が「仮放免(かりほうめん)」です。
この記事では、仮放免が認められるための要件や申請手続きの流れ、許可後に守るべき条件までを分かりやすく解説します。
まずは仮放免制度と混同されやすい監理措置制度との違いを押さえておきましょう。監理措置とは、収容しないで社会内で生活しながら退去強制手続きを進める措置で、2024年6月の入管法改正で整備された制度です。詳しくはこちらをご覧ください。
| 監理措置 | 仮放免 | |
| 位置づけ | 収容されないで手続きを進める措置 | 収容を一時的に解除する措置 |
| 対象 | 退去強制手続き中・送還待ちの外国人 | 収容されている被収容者 |
| 保証金 | 300万円以下の納付が条件となることがある | 納付不要 |
| 許可基準 | 逃亡のおそれ等と収容の不利益を比較して判断 | 健康上・人道上の理由により、仮放免で収容を解除することが相当と認められるとき |
| 就労の可否 | 令書発付前に限り、生計維持のため例外的に許可されることがある | 就労可能な在留資格を持っている場合に限り可能 |
監理措置制度の創設に伴い、仮放免は「健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるとき」に限って許可されるものと整理されました。つまり、収容を解除する原則的な手段は監理措置であり、仮放免は、監理措置によることなく解除する必要がある、健康上・人道上の理由が認められる場合にのみ検討されます。
仮放免には、積極的な「許可の基準」は定められていません。入管法に基づき、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により、収容を一時的に解除することが相当と認められるかどうかが、個別の事情に応じて判断されます。
例として、以下のような事情が申請の理由として挙げられます。
☝理由を疎明する資料(診断書など)が重要になるため、申請前の準備が大切です。
手数料はかかりません(ただし申請方法によっては、法律・税務専門家への報酬がかかる場合があります)。
仮放免が許可されると、仮放免の期間が指定され、次のような条件が付されます。
| 条件・義務 | 内容 |
| 住居の制限 | 指定された住居で生活します |
| 行動範囲の制限 | 指定された行動範囲でしか移動できません |
| 呼び出しに対する出頭 | 入管からの呼び出しに応じる義務があります |
| 仮放免許可書の携帯・提示 | 仮放免許可書を常に携帯し、入国審査官や警察官、地方公共団体の職員等の権限ある職員から要求された場合、提示する義務があります |
| その他 | 就労の禁止など、本人の事情に応じた条件が加えられることがあります |
仮放免中に「期間を延長したい」「住居を変えたい」「範囲外に行きたい」という必要が生じたときは、事前に次の申請を行う必要があります(いずれも郵送不可で、窓口に直接提出します)。
| 種類 | どんな時 | ポイント |
| 仮放免期間延長許可申請 | 仮放免の期間を延長したいとき | 健康上・人道上の理由による延長の必要性・期間等を疎明する資料を添付。 |
| 指定された住居を変更したいとき | 身元保証人と連名。変更後の住居の所在地・必要性を疎明。 | |
| 行動範囲拡大の許可申請 | 行動範囲外へ赴く必要が生じたとき | 身元保証人と連名。目的・必要性・期間・交通手段・同行者・連絡手段を疎明。 |
仮放免許可を受けた外国人が、次のような場合には、入国者収容所長又は主任審査官が仮放免を取り消すことができると定められています。
取り消されると再び収容されることになります。仮放免中は条件の遵守が何より重要です。
2024年(令和6年)6月10日より前から仮放免されている方又は同日より前に仮放免の申請をし、同日以降に許可された方には、経過措置が適用されます。
お手元の仮放免許可書がどちらの様式か不明な場合は、入管又は専門家にご確認ください。
Q. 仮放免を申請すれば、必ず解放されますか?
A. いいえ。仮放免には積極的な「許可の基準」がなく、健康上・人道上の理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるか、個別の事情で判断されます。理由を疎明する資料の準備が重要です。
Q. 仮放免されたら、働けますか?
A. 就労可能な在留資格を持っていない場合、仮放免中は働くことができません。無許可就労は刑事罰や取り消しの対象となる重大な違反です。
Q. 仮放免には保証金が必要ですか?
A. 必要ありません。仮放免の許可に際し、保証金の納付は求められません(監理措置では300万円以下の納付が条件となることがあります)。
Q. 仮放免中に帰省や通院で指定範囲外の地域に行きたいときは?
A. 事前に「行動範囲拡大の許可申請」(身元保証人と連名)を行い、許可を得る必要があります。目的・必要性・期間・交通手段等を疎明する資料を添付し、入管窓口に直接提出します(郵送不可)。
Q. 仮放免の期間はどのくらいですか?延長できますか?
A. 期間は許可時に指定されます。本人・配偶者・直系親族・兄弟姉妹等が、仮放免期間延長許可申請により延長を請求することができます。
仮放免は無条件に解放されるわけではなく、仮放免中のルール遵守や、期間延長・移動時の事前申請など、許可後も細かな手続き管理が欠かせません。条件に違反してしまうと、せっかくの仮放免が取り消されて再収容されるリスクもあります。
仮放免の申請準備や許可後の各種手続きでお困りのことがございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。状況を丁寧にお伺いし、最適な手続きをサポートいたします。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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