収容されずに退去強制手続きを進められる「監理措置制度」とは?
要件や監理人の役割を解説

投稿日:2026年10月22日

退去強制手続きの対象となった外国人は、原則として収容されます。しかし、2024年6月の入管法改正により、収容されないで、社会内で生活しながら退去強制手続きを進める「監理措置制度」が整備されました。
監理措置とは、監理人による監理の下、逃亡等を防止しつつ、社会内での生活を送りながら、収容されずに退去強制手続きを進める措置です。
長期収容が課題となる中で、本人の生活や健康、家族関係への配慮と逃亡防止の確保を両立させる仕組みとして設けられました。

この記事では、監理措置制度の要件や監理人の役割などをわかりやすく解説します。

1.監理措置の2つのタイプ

監理措置には退去強制令書(令書)が発付される前のものと発付された後のものの2つがあり、それぞれ要件が異なります。

  令書発付前の監理措置 令書発付後の監理措置
いつの措置か

退去強制の確定前

退去強制が確定し、送還を待っている期間

監理措置が認められる基準

逃亡・証拠隠滅のおそれの程度と収容により受ける不利益の程度などを総合的に考慮

逃亡・不法就労のおそれの程度と収容により受ける不利益の程度などを総合的に考慮

就労の可否 生計維持に必要な場合、例外的に許可され得る 原則不可(働くと刑事罰の対象になる)

どちらのタイプでも、共通の要件として「監理人を選定できること」と「主任審査官が、収容しないことが相当と認めること」が必要です。

2.監理措置の条件

監理措置決定を受けた方(被監理者)には、次のような条件(監理措置条件)が付されます。

  • 住居の指定:住む場所を指定されます。
  • 行動範囲の制限:原則として、指定住居の属する都道府県の区域内に制限されます(未成年者や高等学校等に在学中の方で通学状況が明らかなら、制限されない場合があります)。行動範囲外に行く必要が生じたときは、管理官署に拡大の申請をして許可を得る必要があります。
  • 呼出しに対する出頭の義務
  • その他、逃亡等を防止するために必要と認める条件(逃亡及び証拠隠滅の禁止/逃亡及び就労の禁止など)
  • 保証金:主任審査官が必要と認めるときは、300万円を超えない範囲内(未成年者は150万円以下)で保証金の納付が条件とされることがあります。期限までに納付しないと、監理措置決定は取り消されます。

​また、被監理者は次の2点を守らなければいけません。

  1. 定期的な届出義務:監理措置に付された日または直近の届出から3か月を超えない範囲内で指定された日に、条件の遵守状況や生活状況等を入管に届け出ます(郵送は不可、本人が窓口に出頭)。
  2. 監理措置決定通知書の携帯・提示義務:在留カードを持っていない場合、通知書を常に携帯し、入国審査官や警察官、地方公共団体の職員など、権限のあるから職員から要求されたら提示しなければなりません。

 

もし、上記の条件や義務に違反した場合、次のような罰則が科せられる可能性があります。

  • 条件に違反して逃亡した場合や、正当な理由なく呼出しに応じなかった場合:1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金(併科あり)

  • 通知書の携帯・提示義務違反:10万円以下の罰金

  • 令書発付前の被監理者が就労許可なく働いた場合:3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)

  • 令書発付後の被監理者が働いた場合:3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)

3.監理人の役割

監理措置を受けるには、監理人の選定が必須です。監理人は、被監理者の監理人となることを承諾し、任務遂行の能力から適当と認められる者の中から主任審査官が選定します。

誰がなれるのか:被監理者の親族や知人だけでなく、元雇用主、支援者、弁護士や行政書士など幅広くなることが可能です。

監理人の4つの責務:

  1. 被監理者の生活状況の把握、指導・監督を行うこと
  2. 被監理者からの相談に応じ、援助を行うよう努めること
  3. 主任審査官から報告を求められたときは報告すること
  4. 届出義務:被監理者の逃亡(の疑い)、条件違反、無許可就労、死亡等の事由を知ったときは7日以内に届出すること

なお、監理人の選定が取り消された場合や監理人が死亡した場合で、新たな監理人がいないときは、監理措置決定が取り消されます。

4.申請の手続き

  • 申請者:原則として本人が行います。ただし16歳未満の方や疾病等により自ら申請できない方は、同居する配偶者→子→父母→その他の親族の順序で代わって申請できます。
  • 申請方法:入管の窓口に申請書等を提出します(郵送は不可)。収容中の方は担当職員に、仮放免中の方は仮放免事務を担当している入管に提出します。
  • 主な提出書類:監理措置決定申請書、監理人承諾書兼誓約書、監理人の身分証明書、本人の収入や資産を示す資料(通帳の写し等)、住居を明らかにする資料(賃貸借契約書の写し等)、申請理由を示す資料

5.監理措置決定が取り消される場合

次のような場合、監理措置決定は取り消されることがあります。

  • 取り消さなければならない場合:保証金を期限までに納付しなかったとき、新たな監理人がいないとき等
  • 取り消されることがある場合:逃亡したとき(または逃亡の疑いがあるとき)、監理措置条件に違反したとき、届出をしなかった・虚偽の届出をしたとき、不法就労をしたとき(無許可就労も含む)等

監理措置決定が取り消されると、収容される可能性があります。監理措置の条件の遵守と定期的な届出が何より重要です。

6.仮放免との違い

監理措置と混同されやすい仮放免との違いも押さえておきましょう。

  監理措置 仮放免
位置づけ

収容されないで手続きを進める措置

収容を一時的に解除する措置

対象

退去強制手続き中・送還待ちの外国人

収容されている被収容者

保証金

300万円以下の納付が条件となることがある

納付不要

就労の可否

令書発付前に限り、生計維持のため例外的に許可されることがある

就労可能な在留資格を持っている場合に限り、可能

監理措置制度の創設に伴い、仮放免は「健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるとき」に限って許可されるものと整理されました。

7.よくある質問(FAQ)

Q. 監理措置を受けていると、働けますか?
A. 退去強制令書の発付前であれば、生計の維持に必要で相当と認められる場合に、申請により例外的に就労が認められることがあります。発付後は働くことができません。

Q. 監理措置中の行動範囲はどこまでですか?
A. 原則として指定住居の属する都道府県の区域内です。範囲外に出る必要が生じたときは、入管に行動範囲拡大の申請をして許可を得てください。

Q. 監理人は誰に頼めますか?
A. 親族や知人だけでなく、元雇用主、支援者、弁護士や行政書士など、責務を理解し任務遂行の能力が認められる方であれば可能です。

Q. 保証金は必ず払う必要がありますか?
A. すべての人に必要なわけではありません。主任審査官が必要と認めた場合に、300万円以下(未成年者は150万円以下)の範囲内で納付が条件とされることがあります。期限までに納付しないと監理措置決定が取り消されます。

Q. 監理措置決定を受けているかどうかはどうやって確認しますか?
A. 「監理措置決定通知書」の有無で確認できます。被監理者にはこの通知書が交付され、携帯・提示義務があります。

Q. 監理措置条件に違反したらどうなりますか?
A. すべての違反は「監理措置決定の取り消し(→収容の可能性)」の対象となり、そのうち特に重い行為はさらに「刑事罰」の対象にもなります。

  1. 取り消しの対象(すべての違反がこれに当たります):条件違反、逃亡(又は逃亡の疑い)、届出怠慢や虚偽の届出、無許可就労等
  2. 刑事罰の対象:①逃亡・正当な理由なく呼出しに応じない:1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金(併科あり)、②無許可就労(令書発付後の就労を含む):3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)

つまり、軽微な条件違反でも取り消しの対象になり、さらに逃亡、呼出し無視、就労違反は重大な条件違反として、「取り消し+刑事罰」の両方の対象となります。

8.まとめ

2024年6月の入管法改正で創設された監理措置制度は、社会生活を送りながら手続きを進められる重要な制度です。退去強制令書の発付前後で要件が異なるほか、行動制限や監理人の役割など、正しく理解しておくべきポイントが多くあります。
個々の状況によって適切な手続きや準備する書類は異なりますので、ご不明な点や不安がある場合は、ビザ専門の行政書士へ早めにご相談いただくことをおすすめします。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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