配偶者ビザ申請の理由書の書き方について

投稿日:2025年11月24日

配偶者ビザ(日本人の配偶者等/永住者の配偶者等)の申請では、必要書類を提出するだけでは夫婦の実態が十分に伝わらないことがあります。特に近年は、偽装結婚対策の強化により、夫婦の関係性や生活状況について厳しく確認される傾向にあります。

そのため、夫婦の出会いから結婚に至るまでの経緯や、現在の生活状況を審査官に分かりやすく説明する「理由書」が、審査のための重要な書類となっています。

そこでこの記事では、配偶者ビザ申請の際の理由書の書き方について、構成や例文もご紹介しながら解説します。

1.理由書の書き方のポイント

配偶者ビザの申請において、提出が必須とされている書類の中に「質問書」があります(質問書の書き方についてはこちら)。その質問書の2ページ目に「結婚に至った経緯」を記載する欄がありますが、記載欄のスペースは「結婚に至った経緯」を全て記入するには足りない場合が多いです。そのため、別紙に「結婚に至った経緯」や入管の審査官に伝えたいことを記載します。その別紙が理由書です。理由書では、次のポイントを押さえて作成するとよいでしょう。

  • 出会ってから交際開始までの経緯
  • 交際をすることになった年月日と場所
  • 交際からプロポーズをするまでの経緯
  • プロポーズをした年月日と場所
  • お互いの両親に結婚することを報告した年月日と場所
  • 結婚届を提出した年月日と場所
  • 結婚式を挙げた場合はその年月日と場所
  • 今後の結婚生活について

各ポイントでは、その時の印象や具体的なエピソードを添えて記載すると効果的です。事実と感情の両方の情報をできるだけ詳しく書いてください。日付については、年月日の「日」までが不明な場合は「年月」までの記載で大丈夫です。むしろ間違った情報を記載しないように気を付けましょう。

2.理由書の言語や作成方法

理由書は、原則「日本語」で作成しますが、外国人の配偶者が作成する場合は、母国語で作成しても大丈夫です。ただし、母国語で作成した場合は、日本語訳をつける必要があります。この翻訳は誰が作成しても構いません。
理由書は、必ず配偶者ビザを申請をする申請者本人かその配偶者が作成してください。

また、理由書の作成はパソコンでも手書きでも、どちらでも大丈夫です。
すべて手書きで作成する場合は、読みやすいように字をきれいに書くよう意識してください。字が読みにくい場合は、理由書から重要な情報を読み取ることができず、審査に時間がかかる場合があります。

3.理由書の例文

ここからは、配偶者ビザ申請の際の理由書の例文をご紹介します。(あくまでも例文です。参考程度にとどめてください。)

(1)日本人が海外在住の外国人と結婚した場合の理由書例

○○出入国在留管理局長 殿

 

申請理由書

 

申請人 ○○ ○○(外国人配偶者の名前)

申請人の夫  山田 太郎(日本人配偶者の名前)

 

私は、申請人の夫の山田太郎と申します。このたび、妻○○○○が「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書を交付申請するにあたり、以下のとおり妻との交際経緯や申請理由について説明させていただきます。

 

■交際の経緯

私と妻は、2023年3月頃、フィリピンの飲食店で初めて出会いました。私は、自分が経営する会社の取引先の方と商談をするために、フィリピンを訪れており、仕事を終えた後に立ち寄ったお店に、妻が勤めていました。妻は、とても明るく笑顔が素敵で、日本語も上手だったので、会話が盛り上がり、すぐに意気投合しました。退店する際に、このまま会えなくなるのは寂しいと思い、連絡先(LINE)を交換しました。帰国後、折に触れて妻のことを思い出す自分に気づき、同年5月に勇気を出して私の方から妻に連絡を取りました。すると、すぐに妻から返信が来て、そこからはほぼ毎日LINEで連絡を取り合うようになりました。妻とLINEで交流をすることが、私の毎日の楽しみとなりましたが、妻とは少し年齢差があり、妻も同じように楽しんでくれているだろうかという不安は常にありました。ですが、妻に対する気持ちはどんどん大きくなり、半年ほどLINEのみでの交流を経た後、付き合ってほしいと告白しました。すると、妻は私の告白を快く受け入れてくれて、交際することとなりました。

仕事の都合上、すぐに妻に会いに行けなかったのですが、2023年の年末年始に10日間ほど休みを取れることになったので、妻が住むフィリピンの○○に行きました。8日間、妻と毎日会い、カフェやデパート等、様々なお店に行き、とても楽しい時間を過ごしました。一緒にいればいるほど、妻の明るく優しい人柄に惹かれ、もっと一緒にいたいと強く思うようになりました。帰国後も、毎日妻とLINEで連絡を取り合い、私は徐々に結婚を意識するようになりました。

2024年の5月にも再び私はフィリピンに行き、妻に会いました。5日間の滞在でしたが、妻と一緒にいるのはとても楽しく、心地の良い時間だと改めて感じ、フィリピンの○○ホテルで意を決してプロポーズをし、婚約指輪を渡しました。妻は涙を流して喜んでくれました。私は、次に会う8月までにそれぞれの親に結婚のことを伝えておこうと話しました。そして、私も妻も同年6月にそれぞれの親に結婚することを伝えました。私の親も妻の親もとても喜んでくれました。その後同年8月に、再び私がフィリピンに行き、○○レストランで妻の両親に直接挨拶しました。妻の両親も私を温かく受け入れてくれ、私たちの結婚を祝福してくれました。同時に、ZOOMで私の両親もオンラインでつなぎ、双方で顔合わせをしました。私の両親も妻の両親と話すことができて、とても嬉しそうでした。

その後、結婚の手続きのために妻に短期滞在で来日してもらい、2024年〇月〇日に○○市役所に婚姻届を提出し、〇月〇日に駐日フィリピン大使館に報告的手続きを行い、正式に夫婦となりました。そして、〇月〇日には、フィリピンの○○のレストランで結婚式を挙げる予定です。現在も、結婚式に向けて前撮り等を済ませ、準備を進めているところです。

日本で暮らしたことのない妻が、私のために今後日本で生活していく決意をしてくれたことに私は非常に感動し、生涯妻を大切にしていこうと思っています。

 

■今後の結婚生活について

私は現在、平成〇年〇月に設立された会社(山田株式会社)の代表取締役をしております。役員報酬として月に60万円をいただいておりますし、不動産収入も年間200万円程度ございます。また、貯金は約500万円(○○銀行)ございます。新居につきましては私が所有しております自宅で同居する予定です。

私は妻と出会えたことに感謝し、これから妻と共に、日本で誠実に暮らしていきたいと考えております。上記の内容を高配頂き、妻に「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書を交付いただきますよう、お願い申し上げます。 

2024年〇月〇日

申請人の夫 山田 太郎

(2)永住者が日本在住の外国人と結婚した場合の理由書例

○○出入国在留管理局長 殿

 

申請理由書

 

申請人 ○○(外国人配偶者の名前)

申請人の夫  張 偉(永住者の名前)

 

私は申請人の夫の張偉と申します。このたび、妻○○が「技術・人文知識・国際業務」から「永住者の配偶者等」の在留資格変更許可を申請するにあたり、以下のとおり妻との交際経緯や申請理由について説明させていただきます。

 

■交際の経緯

私が妻と初めて知り合ったのは、2023年7月で、○○市に遊びに行くバスの中でした。○○市は同年代の中国人をあまり見かけないのですが、珍しく乗車したバスの中に同年代ぐらいの中国人がいました。そこで私の方から声を掛けて知り合いになりました。話をしてみると、妻は5歳年下で、同じ○○省出身だということが分かり、意気投合しました。その時に連絡先(LINE)を交換し、8月に私から食事に誘いました。思い返してみると、私はバスで話しかけた時から妻のことが気になっていて、最初に食事をした時にはもう好きになっていたと思います。その後、月に1回は2人で会って楽しく食事をする仲にはなっていましたが、なかなか告白できませんでした。せっかく仲良くなり、良好な友人関係を築いているのに、告白して振られてしまったら、その関係も終わってしまいます。それがとても怖くて、勇気を出せないでいました。そんな私の気持ちを見透かしていたのか、2024年3月、いつものように2人で一緒に食事をしていた時に、妻から告白されました。私は驚きと嬉しさで、少し取り乱してしまいましたが、すぐに快諾し、交際が始まりました。

交際中は色々な所に行きました。一緒に遊園地や水族館に行ったり、焼肉を食べに行ったり、私の家にも何度も招待しました。2024年8月には、2人で中国に帰国してそれぞれの実家に遊びに行き、私の両親や妻の両親に交際していることを報告しました。私の両親は妻のことをとても気に入ってくれて、とても嬉しかったです。

交際を続けていくうちに、これからも妻と一緒にいたいという気持ちが強くなっていきました。交際する時は妻から告白してもらいましたが、プロポーズをするときは私からしたいと思っていました。そして、2024年12月に、○○で一緒に映画を観た後、○○レストランで食事を時に妻にプロポーズをしました。妻から笑顔で「はい」と返事をもらった時は、とても嬉しかったです。その後すぐに、テレビ電話でお互いの両親にも結婚することを報告すると、とても喜んでくれました。

上記のような経緯で、2025年〇月〇日に私たちが出会った日本で結婚手続きをすることを決め、○○市役所でその手続きをし、正式に夫婦となりました。

 

■今後の結婚生活について

私は現在、株式会社○○に勤務しており、月に約30万円の給料をいただいております。また、貯金は約200万円(○○銀行)ございます。妻も現在、○○商事に勤務しており、月に約25万円の給料をいただいておりますし、貯金も約100万円(○○銀行)ございます。新居につきましては、私が現在暮らしている2LDKのアパートで一緒に暮らす予定です。2人で生活していくのに、経済的な不安はございません。 

私は、妻と出会えたことに感謝し、これからも妻とともに日本で誠実に暮らしていきたいと考えております。上記の内容をご高配いただき、妻に「永住者の配偶者等」の在留資格を許可していただきますよう、お願い申し上げます。 

2025年〇月〇
申請人の夫  偉     

4.まとめ

この記事では、配偶者ビザ申請における理由書の書き方について解説しました。
理由書の例文もご紹介しましたが、最も大切なのは、出会いから結婚に至るまでの経緯や現在の状況を、ご自身の言葉で丁寧に伝えることです。
そのため、例文をそのまま使用するのではなく、参考として取り入れながら、ご夫婦の状況に合わせて作成することをおすすめします。

なお、配偶者ビザの申請を行政書士に依頼される場合には、理由書の作成についてもサポートを受けることが可能です。当事務所でも配偶者ビザ申請をトータルでサポートしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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