運営:かざはな行政書士事務所
投稿日:2025年9月11日
自動車運送業分野で外国人労働者を雇用するためには、外国人が技能試験や日本語能力試験に合格するだけでなく、運転免許の外免切替や研修の修了も必要です。しかし、外国人がこれらの要件を満たすには、一定期間日本に在留する必要があります。
この記事では、外国人が自動車運送業で働くために必要な要件をそろえる準備期間として認められる「特定活動55号(特定自動車運送業準備)ビザ」について、概要・要件・注意点・申請書類までをわかりやすく解説します。
まずは自動車運送業分野の特定技能制度について、おさらいしましょう。
外国人が自動車運送業で働くことができる業務区分には、トラック、タクシー、バスの3つがあります。そして、外国人が自動車運送業の分野で特定技能ビザを取得して働くためには、以下の要件を満たす必要があります。
3と4について、業務区分に応じて、取得する免許や受験する試験が異なります。以下、ご参照ください。
区分 | 技能水準 | 日本語能力 | |
---|---|---|---|
運転免許 | 特定技能試験 | 日本語試験等 | |
トラック | 第一種 | 自動車運送業分野 特定技能1号評価試験(トラック) | 下記のいずれか ・日本語能力試験N4以上 ・国際交流基金日本語基礎テスト ・技能実習2号の良好終了 |
タクシー | 第二種 運転免許 | 自動車運送業分野 特定技能1号評価試験(タクシー) | 日本語能力試験N3以上 |
バス | 第二種 運転免許 | 自動車運送業分野 特定技能1号評価試験(バス) | 日本語能力試験N3以上 |
採用予定の外国人に内定を出す段階で、特定技能試験と日本語試験の条件をクリアしているケースが多いですが、日本の運転免許への切替については、日本に元々在留している外国人でない限り、手続きをしていない方がほとんどです。
よって、内定を出した外国人に運転免許の外免切替の手続きをしてもらう必要があります。しかし外免切替は、2025年10月1日以降、住民票の提出が義務付けられることとなったため、海外在住の外国人が、将来日本でドライバーとして勤務するために短期滞在ビザで来日しても、外免切替をすることができません。また、タクシー・バス区分で働く予定の方については、外免切替後に、新任運転者研修の修了も必要となり、一定期間、日本での在留を認める仕組みが必要です。
このような状況に対応するために創設されたのが、特定活動55号(特定自動車運送業準備)ビザです。このビザは、
上記の中で、特に注意したいのが、2の非自発的離職者です。これは、会社都合で離職させた人のことを指しますが、退職勧奨や試用期間からの本採用拒否も該当しますので、気を付けてください。
自動車運送業分野で特定活動外国人を雇用するためには、以下の要件も満たす必要があります。
この支援計画には、必ず行わなければならない義務的支援と行うことが望ましいとされる任意的支援に分けられますが、支援計画書に記載した場合は、任意的支援についても支援義務が生じます。そして、この支援義務を果たさない場合、欠格事由に該当することとなりますので、注意が必要です。
なお、支援計画の項目は以下のとおりです(各項目に義務的支援と任意的支援が含まれています)。
これらの支援計画については、全部の業務を登録支援機関に委託することができます。ですが、支援計画書の作成は登録支援機関ではできませんので、会社で作成するのが難しい場合は、ビザ専門の行政書士に依頼されることをおすすめします。
特定活動55号ビザは、自動車運送業分野において、特定技能外国人として活動するために必要な準備をさせてもらえる非常にありがたいビザですが、いくつか注意点がありますので、ご紹介します。
それでは、特定活動55号ビザを取得するために必要な書類について、ご紹介します。今回は、中小企業が海外在住の外国人を呼び寄せるための必要書類(支援を登録支援機関に全部委託する場合)です。(申請者の状況によって、以下にご紹介した書類以外のものを求められることもありますので、ご注意ください。)
なお、自動車運送業で特定技能外国人を雇用するための全体的な流れについては、こちらの記事を参考にしてください。
【申請者に関する必要書類】
※の書類は、外国語版(10言語)もあります。申請者が理解できる言語版での作成をおすすめします。
詳しくは、こちらでご確認ください。
【企業に関する必要書類】
【特定活動に関する必要書類】
この記事では、特定活動55号(特定自動車運送業準備)ビザについて、詳しくご紹介しました。
外国人労働者が満たすべき要件もいくつかありますが、それ以上に受け入れる企業が満たすべき要件は沢山あり、企業の体制の整備や手続きの負担は大きいと思います。ですが、そのハードルを乗り越えることができれば、将来的に特定技能人材を多く受け入れることが可能になり、人手不足の解消にもつながります。
具体的な手続きや準備については、当事務所がサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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