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定住ビザとは、入管法で「法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者」とされています。具体的に言うと、難民の方、日系3世の方、日系2世や3世の配偶者やその子ども等が挙げられます。そして、このビザを持っている方が永住ビザの取得を希望する場合、他のビザには無い有利な特例があります。
この記事では、定住ビザから永住ビザを取得するための要件等を解説します。
まずは永住ビザを取得するメリットについてご紹介します。
定住ビザをお持ちの方が、永住ビザを取得する大きなメリットは、在留期限と活動制限が無くなり、身分が安定することです。
定住ビザの在留期限は、法務大臣が個別に指定する期間で、最長5年とされており、在留期限が切れるまでに更新手続きが必要となります。ですが、永住ビザを取得すると、在留期限が無くなり、更新手続きが不要となります。
また、定住ビザの場合、就労活動に制限はありませんが、定住ビザは日本との強いかかわりが基本となって許可されるため、身分や収入等の状況に変化があれば、定住ビザを取り消される可能性もあります。例えば、日系3世の配偶者の方が、仕事のために家族と離れてずっと単身赴任をしていたりすると、定住ビザから逸脱した活動をしているということで、在留資格を取り消される可能性があります。ですが、永住ビザを取得すれば、この活動の制限も無くなります。よって、万が一配偶者と離婚したり、死別したりしても、永住ビザを取得していれば、日本に滞在することができます。
詳細は、こちらのページでも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
永住ビザを取得するためには、3つの要件があります。
(1)素行が善良であること(素行善良要件)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
(3)その者の永住が日本国の利益に号すると認められること(国益適合要件)
素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと等が具体例として挙げられます。もし、処罰されたことがある場合でも、特定の期間が経過すれば、許可になる可能性があります。
特定の期間とは、懲役と禁固の場合は、刑務所から出所して10年を経過(執行猶予がついている場合は、猶予期間が満了してから5年経過)すること、罰金・拘留・科料の場合は支払いを終えてから5年経過することで、その刑は消滅したものとして扱われます。
これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。
独立生計要件とは、安定して自立した生活を継続できる能力があることを指します。
具体的には、どれぐらいの世帯年収があるのか?ということです。原則として、申請者(及び扶養者)の直近5年分の年収がチェックされます。年収額について、入管では明確な審査基準を公表していませんが、年収300万円以下の場合は不許可になっているケースが多いようです。また、扶養人数が増えるごとに、60~80万円がプラスで必要とされています。
なお、難民の認定を受けて、定住ビザを持っている方は、この要件が免除されています。
国益適合要件とは,永住を認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
ガイドラインで4つの基準が定められていますので、それぞれ見てみましょう。
①原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。⇒日本在留5年以上でOK
「引き続き」とは、途切れることなく継続して在留していることを意味します。よって、出国が多い場合は、在留期間の積算がリセットされることがあります。例えば、1回の出国で90日以上又は1年間で半年以上出国している場合は、日本に生活基盤が無いとみなされ、永住許可が難しくなります。
また、永住申請をするには、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要ですが、定住ビザの場合は、日本に5年以上継続して在留していれば、この要件を満たします。しかも、日本人の配偶者等ビザの方が、変更許可を受けて定住ビザを取得した後、引き続き日本に5年以上在留していない場合でも、日本人の配偶者等ビザと定住ビザの在留資格で合計5年以上在留している場合は、要件を満たすとされています。
加えて、難民の認定を受けた方の場合、難民認定後5年以上継続して日本に在留していれば、この要件を満たします。
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
公的義務とは、税金や公的年金等の保険料の納付だけでなく、入管法で規定されている届出等も含まれます。
特に、国民年金と国民健康保険料について、納期限を守っていない場合、不許可となりますので、注意が必要です。もし、納期限を守って支払っていない場合は、永住ビザの申請をする前に、2年間、納期限を守って支払いましょう(納期限を守って支払った実績が必要です)。定住ビザの方が扶養に入っている場合は、単独で要件を満たす扶養者の納税状況が重要になります。
③現に有している在留資格について,入管法に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
入管法上では5年のビザが最長になりますが、当面の間は3年のビザでも「最長の在留期間」として扱うことになっています。ですので、定住ビザを持っている方でも、3年未満の在留期間で許可をされている方は、永住ビザの申請ができません。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
これは、感染症や薬物依存症でないことを意味し、健康診断書等を添付して証明することになります。
以上が、永住ビザ申請に必要な書類となります。ご覧のとおり、様々な種類の書類が必要です。これらの書類を正しく準備するためには、膨大な時間と手続きに関する知識が求められます。また、審査期間は6か月程度かかるため、早めに準備を始めることも大切です。スムーズに手続きを進めたいと思われる方は、ぜひビザ専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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