更新日:2026年10月2日 投稿日:2025年5月26日
定住ビザとは、入管法で「法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者」とされています。具体的に言うと、難民の方、日系3世の方、日系2世や3世の配偶者やその子ども等が挙げられます。そして、このビザを持っている方が永住ビザの取得を希望する場合、他のビザには無い有利な特例があります。
この記事では、2026年10月に改訂されたガイドラインの内容もふまえた上で、定住ビザから永住ビザを取得するための要件等を解説します。
まずは永住ビザを取得するメリットについてご紹介します。
定住ビザをお持ちの方が、永住ビザを取得する大きなメリットは、在留期限と活動制限が無くなり、身分が安定することです。
定住ビザの在留期限は、法務大臣が個別に指定する期間で、最長5年とされており、在留期限が切れるまでに更新手続きが必要となります。ですが、永住ビザを取得すると、在留期限が無くなり、更新手続きが不要となります。
また、定住ビザの場合、就労活動に制限はありませんが、定住ビザは日本との強いかかわりが基本となって許可されるため、身分や収入等の状況に変化があれば、定住ビザを取り消される可能性もあります。例えば、日系3世の配偶者の方が、仕事のために家族と離れてずっと単身赴任をしていたりすると、定住ビザから逸脱した活動をしているということで、在留資格を取り消される可能性があります。ですが、永住ビザを取得すれば、この活動の制限も無くなります。よって、万が一配偶者と離婚したり、死別したりしても、永住ビザを取得していれば、日本に滞在することができます。
詳細は、こちらのページでも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
永住ビザを取得するためには、3つの要件があります。
(1)素行が善良であること(素行善良要件)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)
素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと等が具体例として挙げられます。もし、処罰されたことがある場合でも、特定の期間が経過すれば、許可になる可能性があります。
特定の期間とは、懲役と禁固の場合は、刑務所から出所して10年を経過(執行猶予がついている場合は、猶予期間が満了してから5年経過)すること、罰金・拘留・科料の場合は刑の執行(支払い)を終えてから5年経過することで、その刑は消滅したものとして扱われます。
これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。
独立生計要件とは、自立して生活することができる能力があることを指します。
1つ目は「その世帯にどれぐらいの年収があるのか?」ということです。原則として、直近5年分の年収がチェックされます。年収額について、入管では明確な数字を公表していませんが、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を求めています。一体いくらなのか、様々な議論がありますが、今までのような単身世帯で年収300万円以上あればよいというわけにはいかないようです。最も多い意見としては、4人世帯までは世帯年収約760万円(2024年の平均所得575.2万円を基に算出。「2025年国民生活基礎調査の概要」)が求められるのではないかと言われています。また、5人世帯以上になると、人数に応じてさらに加算されます。なお、配偶者が就労系のビザを持ち、収入を得いている場合は、世帯収入に合算できますが、家族滞在ビザ等、働くことを目的としていないビザの場合は、そのアルバイト代を世帯収入に加算することはできません。
さらに注意しなければいけないのは、海外にいる扶養親族の人数もこの世帯人数に含めなくてはいけないという点です。もし、実際には扶養していないのに、税金対策のためだけに親族を不要に入れている場合は、正しい情報を修正申告しましょう。こちらの項目は、2026年4月以降に申請したものについても適用されます。
2つ目は、今回のガイドラインで初めて示された年金に係る項目です。具体的には、「その世帯が将来受け取ることができる年金見込額はいくらぐらいあるのか?」ということです。
申請者の年金の加入状況や年収から計算される将来の年金の見込額が、上記の日本人世帯の平均年収約760万円を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合の将来の見込額に達しているかが確認されます。もし、その見込額に達していなくても、生活資金にあてることができる金融資産(株や預貯金、保険金等)が十分にある場合は、見込額に達しているものと評価されます。なお、金融資産は、申請者が年金を受給し始めてから生活資金を補う性質のものであり、若い人ほど長期にわたってその資産を形成しやすいため、その基準額は、申請者の年齢が若いほど、低いものとなります。
また、見込額や金融資産についても、世帯単位で判断されますので、配偶者がいる場合は、配偶者の見込額や金融資産も合算して、評価されます。こちらの項目は、2027年4月以降に申請したものについて適用されます。
永住ビザを取得するためには、今まで以上に日本で安定した収入を継続的に得ること、そして老後も公共の負担を受けることなく自立して生活していけることが重要視されていると言えます。
国益適合要件とは、永住を認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
ガイドラインで以下の10項目が定められていますので、それぞれ見てみましょう。
①住居地の届出等の各種届出義務や在留カードの常時携帯義務等を守ること。
在留カードを持っている中長期在留者が必ず守らなければならない届出や携帯の義務のほか、在留資格で認められていない活動をしない、させない義務も守る必要があります。
➁税金や保険料を遅れることなく支払うこと。
所得税、住民税、法人税、固定資産税等のすべての税金と公的医療保険、公的年金等の負担金を期限までに支払っていることが求められます。申請時点で未納が無くても、過去に滞納処分を受けたことがある場合は、不許可の可能性が一気に高くなります。この基準は、世帯単位で確認されますので、配偶者に滞納処分がある場合も、同様に消極評価を下されます。
➂過去に罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。
過去にこれらの刑罰を受けている場合は、消極評価をされます。
④上陸拒否事由に該当していないこと、現に有している在留資格の上陸許可基準に適合していること。
例えば、日本の公衆衛生を脅かすおそれがある重い感染症にかかっている人や薬物(覚醒剤、大麻、麻薬など)、銃砲刀剣類、売春、人身取引などの特定の犯罪に関わったことがある人などは上陸拒否事由に該当しますが、これらの事由に該当していないことが求められます。
また、現在持っているビザの上陸許可基準に適合していない場合は、消極評価をされます。
➄日本に5年以上住んでおり、現に有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していること。
定住ビザの方の場合、申請時点において引き続き5年以上、日本に在留している必要があります。しかも、日本人の配偶者等ビザの方が、変更許可を受けて定住ビザを取得した後、引き続き日本に5年以上在留していない場合でも、日本人の配偶者等ビザと定住ビザの在留資格で合計5年以上在留している場合は、要件を満たすとされています。加えて、難民の認定を受けた方の場合、難民認定後5年以上継続して日本に在留していれば、この要件を満たします。ですが、1回の出国で6ヶ月以上日本から離れていた場合は、日本に生活基盤が無いとみなされ、在留期間がリセットされます。
加えて、入管法上では多くのビザにおいて、「5年」が最長ですが、当面の間は「3年」のビザでも「最長の在留期間」として扱うことになっています。
⇒2026年2月にこのルールの改訂がありました。2027年3月31日までは、「3年」のビザでも永住申請可能ですが、2027年4月1日以降は、「5年」のビザを持っていないと、永住申請できなくなります。ただし、2027年3月31日の時点で「3年」のビザを持っている人については、2027年4月以降でも、その在留期間内に1度だけ永住申請できます。
➅公共の負担とならないこと。
日本人や永住者の配偶者や子ども、難民認定を受けた人は独立生計要件に適合する必要は無いとされていますが、この要件に適合していると認められる場合は、積極評価につながります。一方、これらの人たちが、生活保護を受けている場合やそのおそれがある場合は、消極評価をされることがあります。こちらの項目は、2026年4月以降に申請したものについても適用されます。
➆一定水準の日本語能力を有すること。(2027年4月~適用)
具体的には、「日本語教育の参照枠」において、B1相当レベル以上(N3で104点以上又はN2)が必要です。ただし、申請者が高度人材外国人である場合やその家族、日本の小・中・高校で合計6年以上教育を受けた場合、永住者の子ども(その親がB1相当レベル以上の日本語能力を持ち、かつ子どもが日本で生まれた場合に限る)などは、免除されます。
➇日本の制度やルールを理解していること。(2027年4月~適用)
申請者が日本の制度やルールを理解していない場合や理解する意欲が低い場合は消極評価をされます。具体的には、入管が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」に記載されている内容を中心に、日本の制度やルールの理解度が一定水準を上回っているかを確認されます。
➈学齢期の子どもが日本の学校に通っていること。(2027年4月~適用)
申請者が、学齢期(義務教育期間)の子どもを養育している親である場合、子どもを日本の小学校又は中学校に通わせていることが求められます。同様に、学齢期の子どもが申請者である場合、申請者が小学校又は中学校に通っていることが求められます。
➉その他に国益に適合すると思われる事情があること。
上記の9つの項目以外に、日本社会の一員としてルールを守り、地域や社会にしっかり馴染んでプラスになるような行動(例:特定在留カードの積極利用、日本語や日本のルールを積極的に学ぶ等)をしていれば、積極評価をされます。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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