投稿日:2025年11月27日
特定技能2号ビザは、特定技能1号ビザで実務経験を積み、より高度な技能を身に付けた外国人が、同じ産業分野の評価試験に合格することで取得できる在留資格です。
特定技能1号と異なり、通算在留期限がなく、家族帯同が可能である点が大きな特徴ですが、さらに重要なポイントとして、特定技能2号ビザで日本に5年以上在留すると永住申請が可能になるという点があります。
ただし、永住申請には「在留歴」「収入」「素行」「社会保険」等、複数の審査基準を満たす必要があり、申請すれば必ず許可されるわけではありません。
そこでこの記事では、特定技能2号から永住申請を目指す方に向けて、主な要件や必要書類について分かりやすく解説します。
まずは永住ビザを取得するメリットについてご紹介します。
特定技能2号ビザをお持ちの方が、永住ビザを取得する大きなメリットは、在留期限と就労制限が無くなり、身分が安定することです。
特定技能2号ビザの在留期限は、6か月、1年、2年、3年のいずれかで、在留期限が切れるまでに更新手続きが必要となります。ですが、永住ビザを取得すると、在留期限が無くなり、更新手続きが不要となります。
また、就労活動については、特定技能2号ビザの場合は、特定の産業分野で認められた業務区分の就労活動しか行うことができませんが、永住ビザを取得すれば、就労活動の制限も無くなります。よって、特定技能制度で指定されていない産業分野で自由に働くこともできますし、起業することもできます。
永住ビザを取得するためには、3つの要件があります。
(1)素行が善良であること(素行善良要件)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと等が具体例として挙げられます。もし、処罰されたことがある場合でも、特定の期間が経過すれば、許可になる可能性があります。
特定の期間とは、懲役と禁固の場合は、刑務所から出所して10年を経過(執行猶予がついている場合は、猶予期間が満了してから5年経過)すること、罰金・拘留・科料の場合は刑の執行(支払い)を終えてから5年経過することで、その刑は消滅したものとして扱われます。
また、結婚されている方で、配偶者や子どもが家族滞在ビザで日本に在留している場合も注意が必要です。家族滞在ビザは、原則、就労を認められていないビザですが、資格外活動許可を得れば、週に28時間以内であれば働くことができます。ですが、週28時間を超えて働いている場合は、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っているということになります。そして、その監督者である特定技能2号ビザを持っている方も、違法行為又は風紀を乱す行為を行っている者を監督できていないということになります。この場合、家族滞在ビザの方が、就労時間を週28時間以内にしてから3年経過しないと、永住ビザの許可は難しいです。
これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。
独立生計要件とは、安定して自立した生活を継続できる能力を指します。
具体的には、どれぐらいの年収があるのか?ということです。原則として、直近5年分の年収がチェックされます。年収額について、入管では明確な審査基準を公表していませんが、年収300万円以下の方は不許可になっているケースが多いようです。また、扶養人数が増えるごとに、60~80万円がプラスで必要とされています。
なお、配偶者が家族滞在ビザで在留し、資格外活動許可を得てアルバイトをしている場合、配偶者の収入は加算されませんのでご注意ください。
国益適合要件とは,永住を認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
ガイドラインで4つの基準が定められていますので、それぞれ見てみましょう。
①原則として、引き続き10年以上日本に在留し、そのうち5年以上、就労資格(技能実習及び特定技能1号を除く)又は居住資格を持って在留していること。
「引き続き」とは、途切れることなく継続して在留していることを意味します。よって、出国が多い場合は、在留期間の積算がリセットされることがあります。例えば、1回の出国で90日以上又は1年間で半年以上出国している場合は、日本に生活基盤が無いとみなされ、永住許可が難しくなります。
また、特定技能1号は在留期間に含めることはできても、就労資格を持って在留している期間に含めることができないことに注意が必要です。一方、特定技能2号は、就労資格を持って在留している期間に含めることができます。
計算例は次のとおりです。
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
公的義務とは、税金や公的年金等の保険料の納付だけでなく、入管法で規定されている届出等も含まれます。特に、国民年金と国民健康保険料について、納期限を守っていない場合、不許可となりますので、注意が必要です。もし、納期限を守って支払っていない場合は、永住ビザの申請をする前に、2年間、納期限を守って支払いましょう(納期限を守って支払った実績が必要です)。
③現に有している在留資格について,入管法に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
入管法上では5年のビザが最長になりますが、当面の間は3年のビザでも「最長の在留期間」として扱うことになっています。また、特定技能2号ビザでは、3年が最長となっていますので、3年の在留期間で許可をされている方のみ、永住ビザの申請をすることができます。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
感染症や薬物依存症でなければ、特に問題となることはありません。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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