配偶者ビザが不許可になりやすい事例と対策

投稿日:2025年11月22日

日本人又は永住者(特別永住者を含む)の配偶者として日本に住むための「配偶者ビザ」は、数あるビザの中でも審査が厳しいビザの1つです。なぜなら、日本で生活するためだけの偽装結婚が後を絶たないからです。

そのため入管では、夫婦として実際に結婚生活を営む意思と実態があるか、生計を維持できる経済基盤があるか、素行に問題がないか等、複数の観点から慎重に審査を行います。

配偶者ビザの審査において重要なのは、単に書類をたくさん提出することではなく、結婚の信ぴょう性をどれだけ具体的に説明できるかという点です。

この記事では、配偶者ビザが不許可になりやすい典型的な事例とその対策について分かりやすく解説します。

1.配偶者ビザが不許可になりやすい主な事例と対策

配偶者ビザの申請で不許可となる大きな理由は、偽装結婚の可能性が高いと判断されるということです。つまり、偽装結婚が疑われるような、一般的ではない状況で結婚している場合、不許可のリスクが高まるということです。具体的に見ていきましょう。

(1)交際期間が極端に短い

交際期間が数ヶ月程度と短い場合は偽装結婚の疑いが生じやすくなります。日本人同士の結婚でも、短い交際期間で結婚した場合は、「大丈夫かな?」「すぐに別れるのでは?」と疑われますよね。
特に、出会ってから3ヶ月以内に結婚し、すぐに配偶者ビザの申請を行うケースは慎重に審査されます。

このような疑いを払拭するための対策として、申請理由書に以下の内容を丁寧に説明するとよいでしょう。

  • 交際しようと思った理由や交際中に2人で行った場所
  • 短期間の交際でも結婚しようと思った理由

  • お互いの両親に挨拶に行き、家族の理解を得ていること

また提出する写真は、2人の写真だけでなく、双方の家族や友人と一緒に写った写真も加えると良いでしょう。通信記録も、お互いの気持ちの変化がたどれるように、日付が載った通信画面をスクリーンショットし、時系列を整理して提出しましょう。
交際から結婚までの経緯を丁寧に説明し、真実の結婚であることを立証することが大切です。

(2)年齢差が大きい

年齢差が大きい夫婦は、利益目的の結婚である可能性を疑われることがあります。日本でも、年齢差が親子ほど離れている男女が結婚すると、「何か目的があるのでは?」と疑ってしまいがちです。
特に、夫婦の年齢差が15歳以上ある結婚は、偽装結婚を疑われやすいと言えます。

このような疑いを払拭するための対策として、申請理由書に以下の内容を丁寧に説明するとよいでしょう。

  • 交際しようと思った理由や交際中に2人で行った場所
  • なぜ結婚しようと思ったのか、相手(年下のパートナー)が結婚を受けて入れてくれた理由

  • お互いの両親に挨拶に行き、家族の理解を得ていること

また提出する写真は、2人の写真だけでなく、双方の家族や友人と一緒に写った写真も加えると良いでしょう。通信記録も、お互いの気持ちが確認できる通信画面をスクリーンショットし、時系列を整理して提出しましょう。加えて、相手の方が海外にいる場合は、会いに行った回数(渡航回数)も重要です。1回も会いに行っていない場合は、偽装結婚を疑われ、不許可のリスクが高まります。
交際から結婚までの経緯を丁寧に説明し、真実の結婚であることを立証することが大切です。

(3)結婚紹介所のお見合いで結婚した

結婚紹介所や結婚相談所を通じたお見合いでの結婚も入管が慎重に審査するケースの1つです。
マッチングアプリでの出会いは、ここ数年でかなりの市民権を得ており、そこまで疑われなくなったのですが、結婚紹介所等は依然として、高齢男性、高齢女性を狙った配偶者ビザ目的の偽装結婚の可能性があるとして警戒されます。

このような疑いを払拭するための対策として、申請理由書に以下の内容を丁寧に説明するとよいでしょう。

  • 結婚紹介所の概要、登録者の傾向や規模・運営者の情報
  • 紹介についての流れ
  • 登録する際の審査基準
  • 交際しようと思った理由や交際中に2人で行った場所
  • 結婚しようと思った理由
  • お互いの両親に挨拶に行き、家族の理解を得ていること

また提出する写真は、2人の写真だけでなく、双方の家族や友人と一緒に写った写真も加えると良いでしょう。通信記録も、お互いの気持ちが確認できる通信画面をスクリーンショットし、時系列を整理して提出しましょう。加えて、相手の方が海外にいる場合は、会いに行った回数(渡航回数)も重要です。お見合いとは言え、1回も会いに行っていない場合は、偽装結婚を疑われ、不許可のリスクが高まります。最低でも2回は会いに行くようにしましょう。
交際から結婚までの経緯を丁寧に説明し、真実の結婚であることを立証することが大切です。

(4)過去に何度も外国人との結婚・離婚を繰り返している

日本人又は永住者が過去に何度も外国人と結婚・離婚を繰り返している場合や相手の方が過去に日本人や永住者と結婚・離婚を繰り返している場合も入管に警戒されます。なぜなら、日本で暮らすことを目的とした外国人が、日本人や永住者にお金を払って偽装結婚をしている場合があるからです。では、真実の結婚をしているのに、たまたま過去に外国人との結婚・離婚を繰り返している場合はどのように対応すればよいのでしょうか。

このような場合の対策として、申請理由書に以下の内容を丁寧に説明するとよいでしょう。

  • これまでの離婚についての原因
  • 今回の再婚相手と交際しようと思った理由や交際中に2人で行った場所
  • 再婚しようと思った理由
  • 相手が自分の前婚について、どの程度知っているか
  • お互いの両親に挨拶に行き、家族の理解を得ていること

過去の離婚の経緯をできるだけ詳しく説明するとともに、離婚という経験を踏まえたうえで、今回の結婚に至った気持ちの変化も丁寧に説明していきましょう。また提出する写真は、2人の写真だけでなく、双方の家族や友人と一緒に写った写真も加えると良いでしょう。通信記録も、お互いの気持ちが確認できる通信画面をスクリーンショットし、時系列を整理して提出しましょう。加えて、相手の方が海外にいる場合は、会いに行った回数(渡航回数)も重要です。
離婚の経緯にも触れた上で、交際から結婚までの経緯を丁寧に説明し、真実の結婚であることを立証することが大切です。

(5)日本人又は永住者の収入が低い

これまでの事例とタイプが異なりますが、真実の結婚だとしても、日本人又は永住者の収入が低いと不許可の可能性が高いです。なぜなら、収入が低いことで夫婦が安定した生活を維持できず、離婚につながったり、生活保護を受けたりする可能性が高く、国益とならないと判断されるからです。

この場合の対策としては、以下の対応が考えられます。

  • 日本人又は永住者の就労状況や収入の確認(夫婦2人なら最低でも世帯年収300万円以上は必要)
  • 日本人又は永住者の預貯金や不動産等の確認
  • 親族からの援助を受けられる場合、援助の具体的な内容

原則として入管が収入として認めているのは、課税所得証明書に記載されている給与収入です。課税所得証明書は前年の1~12月までの給与収入を元に計算されるため、例えば、前年の途中に就職した場合は、給与収入が少なくなります。そういった場合は、現在の給与証明書を追加で添付し、補足説明するとよいでしょう。
逆に、前年は仕事をしていたが現在は求職中である場合は、失業手当を受けていて当面の生活に問題が無いことや具体的な求職活動の状況、就職の見込み等を理由書で説明するとよいでしょう。前年の収入に基づいた課税所得証明書だから、現在の状況はバレないだろうという甘い考えは捨てた方が良いです。入管の提出資料に在職証明書は書かれていませんが、基本的に求められます。そこで現在の状況を確認されますので、入管から追及される前に正直に状況を説明しておきましょう。

また、自分だけで生活費を賄えない場合は、親族等に援助をお願いする必要があります。そして、援助をしてもらえる場合は、その方の課税所得証明書や通帳のコピー等も必要となります。

その他、自分の預貯金の額や不動産収入がある場合は、そのことにも触れて、結婚生活を安定して送ることができることを丁寧に立証することが大切です。

3.配偶者ビザが不許可になった場合の対処法

配偶者ビザは審査の厳しいビザであるため、当然、不許可となることもあります。不許可となった場合、不許可通知書が届きますが、詳しい理由は書かれていません。この状態ですぐに諦めるのではなく、必ず入管に理由を確認しに行き、再申請につなげていきましょう。
ただし、理由確認のチャンスは1回のみです。そして、いくら状況をその場で説明しても不許可の結果が覆ることがありません。なので、不許可となった理由を具体的に聞き出すことに全力を尽くしましょう。具体的には、以下のポイントを聞いてみましょう。

  • 配偶者ビザの要件を満たした申請だったか
    ①夫婦双方の国で結婚が成立している
    ②真実の結婚である
    ③身元保証人である日本人又は永住者に生計維持能力があると認められる
  • 上記要件をきちんと立証できていたか
  • 外国人配偶者の在留状況に問題があったか(外国人が日本に住んでいる(た)場合のみ)
  • 再申請に当たり、どの点を修正すれば許可の見込みがあるか

4.まとめ

この記事では、配偶者ビザが不許可になる典型的な事例とその対策について詳しく解説しました。
配偶者ビザは審査が厳しく、許可を得ることは簡単ではありません。不許可となった場合には、不許可理由を確認し、資料を見直して再申請することになりますが、再申請で許可が取れるケースは多くありません。なぜなら、一度不許可になると、申請内容が入管に記録として残り、再申請はマイナスからのスタートとなるからです。再申請では要件を満たしているかに加え、前回の申請内容との整合性も厳しくチェックされ、説明不足や矛盾があると、申請そのものの信用性を疑われる可能性があります。

再申請には多くの時間と労力が必要となるため、最初の申請から適切な準備をすることが非常に重要です。配偶者ビザのように難易度の高い申請では、初回からビザ専門の行政書士に相談されることをおすすめします。

当事務所でも配偶者ビザの申請サポートを行っております。安心して手続きを進めたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。

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