投稿日:2025年11月16日
日本で永住申請をするためには、いくつかの要件がありますが、その中に「現在保有しているビザの在留期間が3年または5年であること」 という要件があります。
つまり、配偶者ビザ(日本人の配偶者等ビザ又は永住者の配偶者等ビザ)の在留期間が1年のままでは、いくら婚姻期間や在留期間が長くても、永住申請ができないということです。ですが、日本人や永住者と結婚された方は、日本で長く暮らすことを目指す方がほとんどだと思います。
そこでこの記事では、どのような条件を満たせば配偶者ビザで3年の在留期間を取れるのか?を、審査の考え方にも触れながら分かりやすく解説します。
配偶者ビザの在留期間の種類は、「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」の4種類です。
一般的に、配偶者ビザの最初の申請の際は、1年の在留資格が与えられるケースがほとんどです。その後、在留状況や結婚生活の安定性等を確認され、3年、5年へと与えられる年数が増えていきます。
新婚の場合は、配偶者ビザで1年⇒1年⇒3年を経て、永住申請となるケースが多いです。このステップアップの過程で、日本における信用を築いていくことが重要です。
中には、稀に最初から3年の配偶者ビザを与えられる方もいますが、そういった方は、婚姻期間が長いが海外で暮らしていた等、結婚生活の安定性に疑いが無い場合に限られます。
なお、6ヶ月の在留期間が与えられる場合は、そのほとんどが婚姻関係が実質的に破綻していて、離婚調停や離婚訴訟が行われているケースです。
次のいずれにも該当する必要があります。
配偶者ビザで5年を与えられるためには、上記1~5のすべてに当てはまる必要があります。特に重要なポイントとして、入管法上の届出義務や納税義務等の公的義務を期限内にきちんと果たすこと、結婚後の同居期間が3年を超えていること等が求められています。
ですが、実務上、配偶者ビザで3年が許可された場合は、永住申請ができるようになるため、5年ビザへの更新申請をせずに、永住申請をされる方が多いです。なお、提出書類によって税金の未納が発覚したり、合理的な理由もなく別居していることが発覚したりした場合は、更新が認められずにいきなり不許可になってしまうこともありますので、きちんと納付等を済ませてから、更新申請に臨みましょう。
次のいずれかに該当する必要があります。
1は、5年ビザを持っている方が、更新申請で5年の条件を満たさない場合に3年ビザとなる条件を定めたものです。つまり、5年⇒3年のランクダウンの条件です。各種届出を忘れていたり、税金に未納がある場合等が該当します。
一方2は、1年ビザから3年ビザを目指す場合の条件です。5年の条件はすでに見ていますので、1年ビザと6ヶ月ビザの条件も見ていきましょう
次のいずれかに該当する必要があります。
1は、3年ビザを持っている方が、更新申請で3年の条件を満たさない場合に1年ビザとなる条件を定めたものです。つまり、3年⇒1年のランクダウンの条件です。各種届出を忘れていたり、税金に未納がある場合等が該当します。
1年ビザから3年ビザを目指す方は、上記2~4に該当しないようにしなければなりません。つまり、結婚生活が安定して継続しており、在留状況も良好であればよいということです。例えば、夫婦の実子が誕生している、同居を伴う婚姻年数を重ねている、経済的基盤に問題が無い、交通違反や税金の滞納をすることなく日本で暮らしているといったことについて、申請書類や添付書類で証明することがポイントとなります。
次のいずれかに該当する必要があります。
ここまで在留期間ごとの条件をご紹介してきましたが、配偶者ビザで3年を取得するための重要な要素をまとめると、次のようになります。
生計(収入・納税)の安定性
素行・在留状況の良好性
これらは永住申請の審査基準とも重なっているため、配偶者ビザ更新時の準備は、永住申請の準備につながっていると考え、丁寧に申請準備を進めていきましょう。
婚姻期間がある程度長い(目安として2年以上)
同居が継続している
結婚に至るまでの経緯が自然で説明が明瞭
子どもがいる等、家庭環境が安定している
上記ポイントを提出書類等で立証する必要があります。なお、同居の確認方法は、住民票が同じになっているかで判断されますが、場合によっては同居しているか現地調査をされる場合もあります。また、配偶者との間に子どもがいる場合は、結婚の信憑性が高くなり、3年の配偶者ビザがもらえる可能性が高くなります。
年収が一定以上(目安:夫婦2人で300万円以上)かつ安定している
勤めている会社の勤続年数が長い(目安:同職場で2年以上)
住民税・社会保険・年金等に未納が無い
貯金額が十分あり、生活に余裕がある
3年の配偶者ビザを取得するためには、安定した収入も必要になります。収入金額は、市町村役場で発行される「課税所得証明書」に記載されている金額で判断されます。なお、配偶者ビザの場合の収入は、世帯年収で見られますので、共働きである必要はありません。
安定性は、転職回数が多いほど低いと判断されますので、勤続年数が長い方が有利とされています。例えば、大企業に長年勤務している場合は、安定性が高いと判断され、3年の配偶者ビザを取得できる確率が上がります。
また、納税を適切に行っているかも審査されます。配偶者ビザでは特に「住民税」の支払いについて、重点的に審査されます。住民税に未納がある場合は、3年の配偶者ビザを取得するのは難しくなります。一方、非課税になっている場合も、安定した収入がないと判断されるのに加え、納税もしていないので、3年の配偶者ビザの取得は難しいです。
ちなみに、配偶者ビザでは、税金の支払いの遅れ等までは審査に反映されないことがほとんどなので、もし未納がある場合は、更新申請前に完納して、完納後に「納税証明書」を取得して配偶者ビザの更新申請をされることをおすすめします。なお、配偶者ビザでの住民税の納税状況は、夫婦2人ともが審査対象となり得るので、注意してください。そのため、配偶者ビザを取得する外国人だけでなく、日本人側の納税状況も注意しておきましょう。
在留歴に問題が無い
刑事処分を受けていない
書類の不備が少なく、説明が丁寧
日本での生活実態に疑いが無い
このポイントで特に注意したいのは、刑事処分に関するものです。この刑事処分には赤切符を切られるような重大な交通違反(酒気帯び運転、無免許運転等)も含まれることに注意が必要です。重大な交通違反を1回でも行った場合は、3年の配偶者ビザを許可されることはありません。一方、軽微な交通違反(駐車違反、信号無視等)であれば、問題となることはほとんどありません。
その他の犯罪歴については、起訴されているような重大事件の場合には、3年の配偶者ビザは難しくなりますし、最悪の場合は配偶者ビザの取消しも考えられます。一方、起訴されず、罰金もなく釈放された場合は、複数回行っている場合を除き、3年の配偶者ビザを許可される可能性があります。
いずれにしても、常日頃から安全運転をはじめ、法令遵守を心がけましょう。
3年の在留期間は、永住申請に進むための重要なステップであり、結婚生活の安定性、収入・納税状況、日頃の在留状況といった実績の積み重ねが大きく影響します。
配偶者ビザの更新準備を丁寧に行っておくことは、そのまま永住申請に必要な要件の裏付けにもつながります。だからこそ、日常の生活管理や書類の整備を、早い段階から計画的に進めておくことが大切です。
「自分の場合はどう評価されるのか不安」「3年が本当に取れるのか心配」という方は、状況に応じて適切な準備ができるようサポートいたします。適切かつスムーズに手続きを進めたい場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で入管業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆様を支援しています。
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