更新日:2025年10月2日 投稿日:2025年9月17日
 
 特定技能1号ビザで働いている外国人の方の中には「5年を超えて働き続けたい」「家族を日本に呼びたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。そのような場合の選択肢のひとつが、特定技能1号ビザから2号ビザへの移行です。
 特定技能2号ビザは、在留期限の更新回数に上限がなく、家族帯同も可能となる在留資格で、将来的に永住申請を目指すこともできます。ただし、移行には条件や手続きがあり、分野も限られているため、あらかじめ正しい情報を押さえておくことが大切です。
この記事では、特定技能1号と2号の違い、移行できる分野や条件、申請手続きの流れ等をわかりやすく解説します。
まずは特定技能1号と2号の違いについて、おさらいしましょう。1号と2号の大きな違いは、次の5つです。(詳細はこちらをご覧ください。)
従事できる分野の違い
家族帯同の可否
永住申請との関係
支援の対象かどうか
特定技能1号ビザの在留期間は、通算5年(在留期間(3年を超えない範囲で指定されます)ごとに更新申請が必要)が上限となっており、その通算期間には、特定技能1号ビザを持って在留している期間だけでなく、特定技能制度が導入された当初、特定活動ビザ(既にその分野で活動していた場合や特定技能1号への移行に伴う準備期間等に与えられる場合があった)で在留していた期間も含まれることに注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
一方、特定技能2号ビザの在留期間は、6か月、1年、2年、3年のいずれかで、更新に制限はありません。
特定技能1号ビザの従事できる産業分野は、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、鉄道、自動車運送業、林業、木材産業の16分野です(2025年9月時点)。
 一方、特定技能2号ビザの従事できる産業分野は、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の11分野です(2025年9月時点)。
1号にあって2号に無い産業分野は、介護、鉄道、自動車運送業、林業、木材産業の5分野で、現時点ではこの5分野は2号に移行できません。ただし、介護分野については、特定技能1号ビザの方が介護福祉士の資格を取り、介護ビザに変更する道筋があります。
特定技能1号ビザの方は、原則認められていません。ですが、例えば、元留学生で既に配偶者や子どもが家族滞在ビザを取得して日本で暮らしている場合は、その家族に特定活動ビザが認められます。
 一方、特定技能2号ビザの方は、配偶者や子どもを家族滞在ビザで呼び寄せることが可能です。ただし、親や兄弟を呼び寄せることはできません。
永住申請の要件の1つに、「10年以上日本に在留し、そのうち5年以上、就労資格(技能実習及び特定技能1号を除く)又は居住資格を持って在留していること」というものがあります。
 つまり、特定技能1号は在留期間に含めることはできても、就労資格を持って在留している期間に含めることができないことに注意が必要です。一方、特定技能2号は、就労資格を持って在留している期間に含めることができます。
 計算例は次のとおりです。
特定技能1号ビザの方は、受入れ企業又は登録支援機関から次の9項目の支援を受ける対象ですが、特定技能2号ビザの方は支援対象外となります。つまり、特定技能1号の外国人が特定技能2号になった場合、支援を受ける必要が無くなるため、企業はその費用等を負担する必要が無くなるということです。
特定技能2号ビザを取得するための条件として、技能試験の合格と一定の実務経験の保有により特定技能2号に係る技能水準を持っていると認められる者であれば、特定技能1号を経なくても特定技能2号ビザを取得することができるとされていますが、そのようなケースは非常に珍しいです。
 多くの方は、特定技能1号で概ね3年程度の実務経験を積み、技能評価試験に合格して特定技能2号ビザへの移行を目指します。
 以下、産業分野別に特定技能2号に移行するための技能評価試験の受験資格等をまとめましたので、参考にしてください。
| 産業分野 | 受験資格者 | 実施要領 | 
|---|---|---|
| ビルクリーニング | 試験日において、特定建築物の建築物内部の清掃や建築物清掃業又は建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所が行う建築物(住宅を除く。)内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者としての実務経験を2年以上有する者 | |
| 工業製品製造業 | 試験日当日において、満17歳以上の外国人であり、試験に合格した場合に日本国内で就業する意思のある者かつ試験の前日までに日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における3年以上の実務経験を有する者 | |
| 建設 | 試験日当日において満17歳以上の外国人とし、原則として試験に合格した場合に日本国内で就業する意思のある者かつ建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験を有する者(職種によって必要な期間が異なるが、最長3年以上) | https://www.moj.go.jp/isa/content/001406608.pdf | 
| 造船・舶用工業 | 試験日において、満17歳以上の外国人であり、試験日の前日までに複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験を2年以上有する者 | |
| 自動車整備 | 試験実施日において、満17歳以上の外国人であり、試験日の前日までに事業場において自動車等の分解、点検、調整等の整備作業の実務経験を3年以上有する者 | https://www.moj.go.jp/isa/content/001421442.pdf | 
| 航空 | ➀空港グランドハンドリング:試験実施日当日において年齢17歳以上の外国人であり、現場において技能者(作業を行う技能を有する者)を指導しながら作業に従事した実務経験を有する者 ➁航空機整備:試験実施日当日において年齢17歳以上の外国人であり、試験日の前日までに現場において専門的な知識・技量を要する作業を実施した3年以上の実務経験を有する者 | |
| 宿泊 | 試験実施日当日において年齢が満17歳以上の外国人であり、試験日の前日までに、宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験を有する者 | https://www.moj.go.jp/isa/content/001414803.pdf | 
| 農業 | 試験日において、満17歳以上の外国人であり、試験区分に応じ、耕種農業若しくは畜産農業の現場において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験又は耕種農業若しくは畜産農業の現場における3年以上の実務経験があること | https://www.moj.go.jp/isa/content/001407122.pdf | 
| 漁業 ※日本語能力N3以上必須 | ➀漁業:試験日において、満17歳以上の外国人であり、漁船において、操業を指揮監督する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験を2年以上有する者 ➁養殖業:試験日において、満17歳以上の外国人であり、養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験を2年以上有する者 | ➀漁業 ➁養殖業 | 
| 飲食料品製造業 | 試験日において、満17歳以上の外国人であり、試験の前日までに飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験を2年以上有する者 ※試験の前日までに管理等実務経験が2年に満たない者にあっては、試験の日から6か月以内に管理等実務経験を2年以上有することが見込まれること | |
| 外食業 ※日本語能力N3以上必須 | 試験日において、満17歳以上の外国人であり、試験の前日までに外食業分野において複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者としての実務経験を2年以上有する者 ※試験の前日までに指導等実務経験が2年に満たない者にあっては、試験の日から6か月以内に指導等実務経験を2年以上有することが見込まれること | https://www.moj.go.jp/isa/content/930005138.pdf | 
特定技能2号に移行するために必要な技能評価試験に合格したら、特定技能1号ビザから2号ビザへの在留資格変更許可申請の手続きをする必要があります。手続きのおおまかな流れは次のとおりです。
なお、特定技能2号ビザを取得するための条件を外国人がクリアしていたとしても、書類に不備があったり、企業の体制が整っていないと判断された場合は、不許可となる可能性があるため、入念な準備と丁寧な書類作成が必要です。
上記で説明したように、特定技能1号から2号への在留資格変更許可申請までに、実務経験を3年程度持つことや技能評価試験等に合格することが必要であるため、申請をする頃には特定技能1号の在留期限がぎりぎりとなっていることが想定されます。その場合には、特定技能2号で就労を予定している企業で働きながら、移行のための準備を行うことができるよう「特定活動(6か月・就労可)」への在留資格変更許可申請を行うことができます。
 以下に、この特定活動の申請条件をご紹介します。
特定技能2号評価試験を受験し、不合格となった1号特定技能外国人のうち、以下の要件を満たしている場合は、通算在留期間が5年から6年に延長されることとなりました(2025年9月30日付の特定技能外国人受入れに関する運用要領より)。ただし、在留期間更新許可申請の手続きが必要です。
特定技能1号から2号へ移行することで、日本での在留期間の更新上限がなくなり、家族帯同や永住申請といった大きな可能性が広がります。一方で、移行できる分野は現時点で限定されており、試験や要件のハードルもあります。
「自分が移行できる条件を満たしているか不安」「どんな書類が必要かわからない」といった場合は、専門家に相談しながら準備を進めることをおすすめします。
 当事務所では、特定技能に関する申請や永住に向けたサポートも行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
 
 かざはな行政書士事務所
代表行政書士 
 佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
 前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
 その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
 2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
 ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆さまを支援しています。
 
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