運営:かざはな行政書士事務所
投稿日:2025年7月24日
特定技能制度が創設される以前、技能実習生は実習期間が終了したら、帰国しなければなりませんでした。しかし、特定技能制度が創設されてからは、母国に帰国することなく、技能実習2号から特定技能1号への移行が可能となり、日本で長く働くことができるようになりました。
ですが、技能実習2号を修了すれば、誰でもどんな業務でもできるというわけではありません。様々な条件を満たす必要があります。
この記事では、技能実習2号から特定技能1号へ移行するための条件や流れについて、解説します。
技能実習2号から特定技能1号への移行(技能実習ルート)の条件は、以下の2つです。
「技能実習2号を良好に修了している」とは、技能実習計画に基づき、2年10か月以上修了していることです。
そして、技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験に合格していることも求められます。ですが、不合格や未受験の場合でも、技能実習生に関する評価調書の記載から、技能実習実施中の出勤状況や技能の修得状況、生活態度等を総合的に考慮し、良好に修了しているとみなされる場合もあります。
なお、技能実習生が実習している会社にそのまま特定技能外国人として雇用される場合、その会社が技能実習法上の「改善命令」等を受けていなければ、その会社が適正な評価を行うことができるものとみなされ、技能実習生が2年10か月以上修了していることのみをもって、技能実習2号を良好に修了したものとして認められます。
技能実習で従事した作業が、これから従事する特定技能産業分野と関連している必要があります。
例えば、技能実習で介護に従事していた人が、特定技能の介護分野で仕事をすることは認められますが、技能実習でかまぼこ製品製造に従事していた人が、特定技能の介護分野で仕事をすることは認められません。その場合は、技能実習ルートではなく、試験ルート(介護分野の技能試験を受けて合格する)で特定技能1号ビザの取得を目指す必要があります。
また、技能実習の職種にはあっても、特定技能の産業分野には無いものもありますので、注意が必要です。詳しくは、以下の表をご覧ください。
続いて、技能実習2号から特定技能1号への在留資格変更許可申請のおおまかな流れをご紹介します。手続きの数が非常に多いため、雇用予定の外国人が技能実習を修了する前から、雇用契約書や支援計画書等、手続きに必要な書類を準備しておくことをおすすめします。また、STEP4~7は同時進行でも良いと思います。
なお、特定技能外国人を受け入れるためには、会社がクリアしないといけない条件もたくさんありますが、それについては、こちらのページをご覧ください。
STEP1 | 外国人が技能実習2号を修了 ※技能実習期間を2年10か月修了していることが必須条件です。 |
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STEP2 | 外国人と雇用契約を結ぶ ※外国人の労働条件が適法であることが求められます。 |
STEP3 | 外国人の支援計画を策定する ※会社は、外国人が特定技能1号の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするために、1号特定技能外国人支援計画書を作成し、この計画に基づいて支援を行わなければなりません。なお、この支援計画の実施について、一部又は全部を登録支援機関に委託することができます。その場合は、登録支援機関と委託契約を結ぶ必要があります。 |
STEP4 | 外国人に事前ガイダンスを行う ※労働条件、活動内容等について、対面又はZoom等で説明します。これも支援計画の1つであるため、登録支援機関に委託している場合は、登録支援機関が行います。 |
STEP5 | 外国人に健康診断を受けてもらう ※健康状態が良好であることも審査基準の1つであるため、必ず受けてもらう必要があります。健康診断個人票に掲げられている項目が網羅されているものであれば、異なる様式の健康診断書を入管に提出しても問題ありません。 |
STEP6 | 分野別協議会への加入手続きを行う ※在留資格変更申請前に手続きを済ませておく必要があります。加入済みでなくても、手続き中であれば、在留資格変更申請は可能です。 |
STEP7 | 本国で「特定技能」の活動に関して必要な手続きを行う ※特定技能外国人として日本で働く際に、カンボジア、タイ、ベトナムの外国人については、本国で定める手続きをし、証明書等を受領しておく必要があります。 |
STEP8 | 特定技能1号ビザの在留資格変更許可申請をする ※審査に1か月程度かかります。 |
STEP9 | 許可後に、就労開始! |
上記で説明したように、技能実習2号から特定技能1号への在留資格変更許可申請までに、やるべき手続きが非常に多いです。そのため、特定技能外国人として雇用予定の技能実習生の在留期限が切れる前に、申請ができない場合も想定されます。その場合には、特定技能1号で就労を予定している会社で働きながら、移行のための準備を行うことができるよう「特定活動(6か月・就労可)」への在留資格変更許可申請を行うことができます。ただし、この在留資格で在留した期間は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれますので、注意してください。
以下に、この特定活動の申請条件をご紹介します。
この記事では、技能実習2号から特定技能1号へ移行する際の条件や流れについてご紹介しました。いわゆる技能実習ルートという主流のルートですが、ご紹介したとおり、産業分野や国によっても独自の要件があり、手続きは複雑です。
特に、初めて特定技能外国人を雇用される場合は、支援計画書の作成や分野別協議会への加入手続き、在留資格申請の書類作成に特化した、ビザ専門の行政書士に相談されることをおすすめします。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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