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家族滞在ビザとは、就労ビザや留学ビザ等、日本で一定の在留資格を持つ外国人の配偶者や子ども(扶養家族)が、その扶養者と一緒に日本で日常的な活動を行うための在留資格です。家族滞在ビザは、扶養を受けることが前提の在留資格であるため、原則就労することは認められていませんが、資格外活動許可を取得すれば、週に28時間以内は働くことができます。このような在留資格の性質から、家族滞在ビザから永住ビザを取得するには、通常の申請とは大きく異なる点があります。
この記事では、家族滞在ビザから永住ビザを取得するための要件等を解説します。
まずは永住ビザを取得するメリットについてご紹介します。
家族滞在ビザをお持ちの方が、永住ビザを取得する大きなメリットは、在留期限と就労制限が無くなり、身分が安定することです。
家族滞在ビザの在留期限は、法務大臣が個別に指定する期間で、最長5年とされており、在留期限が切れるまでに更新手続きが必要となります。ですが、永住ビザを取得すると、在留期限が無くなり、更新手続きが不要となります。
また、就労活動については、家族滞在ビザの場合は、資格外活動で許可された範囲内(週28時間以内のアルバイト)でしか働くことができませんが、永住ビザを取得すれば、就労活動の制限も無くなります。よって、起業することもできますし、正社員で働くことも可能となります。
詳細は、こちらのページでも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
まず前提としてお伝えすると、家族滞在ビザの方が、単独で永住ビザの申請をしても許可されません。なぜかと言うと、家族滞在ビザという在留資格の性質から、永住申請で必要とされている独立生計要件を満たすことが困難だからです。そのため、収入のある配偶者や両親(扶養者)と一緒に永住申請をする場合のみ許可される可能性があります。この点が、他の在留資格からの永住申請と大きく違う点です。
それでは、家族滞在ビザから永住ビザを取得するための3つの要件について、それぞれ解説していきます。
(1)素行が善良であること(素行善良要件)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
(3)その者の永住が日本国の利益に号すると認められること(国益適合要件)
素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと等が具体例として挙げられます。もし、処罰されたことがある場合でも、特定の期間が経過すれば、許可になる可能性があります。
特定の期間とは、懲役と禁固の場合は、刑務所から出所して10年を経過(執行猶予がついている場合は、猶予期間が満了してから5年経過)すること、罰金・拘留・科料の場合は支払いを終えてから5年経過することで、その刑は消滅したものとして扱われます。
そして、ここからが要注意なのですが、家族滞在ビザの方が、週28時間を超えて働いている場合は、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っているということになります。また、その監督者である扶養者(例:技人国ビザを持っている方)も、違法行為又は風紀を乱す行為を行っている者を監督できていないということになります。この場合、家族滞在ビザの方が、就労時間を週28時間以内にしてから3年間経過しないと、扶養者が永住ビザを取得することはできませんので、必然的に家族滞在の方も永住ビザを取得することはできなくなります。
これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。
独立生計要件とは、安定して自立した生活を継続できる能力があることを指します。
具体的には、どれぐらいの年収があるのか?ということです。原則として、扶養者の直近5年分の年収がチェックされます。年収額について、入管では明確な審査基準を公表していませんが、年収300万円以下の方は不許可になっているケースが多いようです。また、扶養人数が増えるごとに、60~80万円がプラスで必要とされています。
なお、配偶者である家族滞在ビザの方が、資格外活動許可を得てアルバイトをしている場合、その方の収入は加算されませんのでご注意ください。
国益適合要件とは,永住を認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
ガイドラインで4つの基準が定められていますので、それぞれ見てみましょう。
①原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。⇒婚姻生活3年以上、日本在留1年以上でOK
「引き続き」とは、途切れることなく継続して在留していることを意味します。よって、出国が多い場合は、在留期間の積算がリセットされることがあります。例えば、1回の出国で90日以上又は1年間で半年以上出国している場合は、日本に生活基盤が無いとみなされ、永住許可が難しくなります。
また、永住申請をするには、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要ですが、家族滞在ビザの方が、扶養者と一緒に永住申請する場合は、10年以上の日本居住歴がなくても永住申請ができる可能性が高いです。単独で要件を満たしている扶養者が永住者となった時点で、家族滞在ビザの方は「永住者の配偶者等」の身分になりますので、永住者の配偶者等であったとして審査をしてもらえるからです。この場合の配偶者の要件は、一緒に申請する扶養者との実態を伴った婚姻が3年以上経過し、かつ1年以上引き続き日本に在留していれば要件を満たすこととなります。子どもも一緒に申請をする場合は、「永住者の実子」として審査されるので、引き続き1年以上日本に在留していれば、要件を満たすこととなります。
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
公的義務とは、税金や公的年金等の保険料の納付だけでなく、入管法で規定されている届出等も含まれます。
特に、国民年金と国民健康保険料について、納期限を守っていない場合、不許可となりますので、注意が必要です。もし、納期限を守って支払っていない場合は、永住ビザの申請をする前に、2年間、納期限を守って支払いましょう(納期限を守って支払った実績が必要です)。家族滞在ビザの方が扶養に入っている場合は、単独で要件を満たす扶養者の納税状況が重要になります。
③現に有している在留資格について,入管法に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
入管法上では5年のビザが最長になりますが、当面の間は3年のビザでも「最長の在留期間」として扱うことになっています。ですので、家族滞在ビザを持っている方でも、3年未満の在留期間で許可をされている方は、永住ビザの申請ができません。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
これは、感染症や薬物依存症でないことを意味し、健康診断書等を添付して証明することになります。
以上が、永住ビザ申請に必要な書類となります。ご覧のとおり、様々な種類の書類が必要です。これらの書類を正しく準備するためには、膨大な時間と手続きに関する知識が求められます。また、審査期間は6か月程度かかるため、早めに準備を始めることも大切です。スムーズに手続きを進めたいと思われる方は、ぜひビザ専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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