建設特定技能受入計画のオンライン申請とは?
必要書類と注意点をわかりやすく解説

投稿日:2025年10月9日

特定技能外国人を建設分野で雇用する場合に必要になるのが「建設特定技能受入計画」の認定です。
この受入計画は、受け入れる企業が国土交通省の定める基準を満たしているかを確認する重要な手続きで、認定を受けなければ在留資格「特定技能1号」の許可を得ることができません。

受入計画の申請は、オンラインでできるものの、必要書類が多く、注意点もたくさんあります。ここでつまずくと、後の手続きにも響くため、効率よく準備を進め、スムーズに申請することが重要です。
この記事では、国土交通省が示している申請の手引きをもとに、オンライン申請の必要書類や注意点をわかりやすく解説します。

1.建設特定技能受入計画とは?

「建設特定技能受入計画」とは、建設分野で1号特定技能外国人を受け入れるにあたって、建設業界として必要であると認められる事項について、国土交通大臣による認定及びその実施状況の継続的な確認により担保しようとするものです。主に次の2つの事項をチェックされます。

  1. 低賃金や社会保険未加入といった処で労働者を雇用する等の劣悪な労働環境が確認される企業の建設市場への参入を認めず、公正な競争環境を維持すること

  2. 雇用者・被雇用者双方が納得できる処遇により、建設業における外国人技能者の失踪・不法就労を防止すること

なお、建設特定技能受入計画の申請から認定までは、1か月半~2か月程度(補正期間を除く)となっています。

2.認定を受けるための受入れ企業における主な条件

受入れ企業が建設特定技能受入計画の認定を受けるために満たすべき条件は次のとおりです。

  1. 建設業許可(建設業法第3条第1項の許可)を受けていること
  2. 建設キャリアアップシステム(以下、CCUS)で事業者登録が完了していること
  3. (一社)建設技能人材機構(以下、JAC)の会員になっていること 
  4. 申請前5年間に建設業法に基づく監督処分を受けていないこと、また申請日(認定日)以後に建設業法に基づく監督処分を受けていないこと
    ※過去5年間の建設業法に基づく監督処分の有無は、申請前に必ず「国交省ネガティブ情報サイト」でご確認ください。指示処分、営業停止処分、取消処分いずれにおいても、処分が下されてから5年間は特定技能外国人の受け入れはできません。
  5. 特定技能外国人と同じ職種での正社員の募集を行っていること(ハローワークでの人材募集を行っていること)
  6. 建設特定技能外国人の人数が、常勤の職員数を超えないこと
  7. 特定技能外国人の待遇を無期雇用のフルタイム社員(いわゆる正社員)と同等もしくは同等以上の待遇とすること
  8. 特定技能外国人の受け入れ後に、労働安全衛生法に基づく特別教育等の安全衛生教育を行うこと
  9. 特定技能外国人の受け入れ後に、5年間の在留期間を見据えた技能の向上を図るように努めること
  10. 上記1~9を確認して外国人就労管理システムへ書類の添付、必須項目の入力を行うこと

3.認定を受けるための外国人に関する主な条件

続いて、外国人に関する条件は次のとおりです。

  1. CCUSで技能者登録が完了していること
    ※海外在住の方については、入国後速やかに登録してください。
  2. 特定技能外国人が就労する業務内容が建設業の工事であること
    ※建設工事に該当しない除染等の業務に従事させることを主な目的としている場合は、対象外です。
  3. 特定技能外国人の業務区分と合格が必要な試験、修了した技能実習等との対応関係が適切であること
  4. 特定技能外国人に対し、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を安定的に支払うこと
  5. 特定技能外国人に対し、技能の習熟に応じて昇給を行うこと
  6. 重要事項事前説明書にて、国土交通省の認定条件を満たした内容で外国人に対して説明を行っていること
  7. 重要事項事前説明書及び国土交通省の認定条件を満たした条件で外国人と特定技能雇用契約を締結していること
  8. 上記1~7を確認の上、システムへの書類添付及び必要項目の入力を行うこと

4.オンライン申請に必要な添付書類について

オンライン申請には、次の表のとおり、たくさんの添付書類を準備する必要があります。
申請の前に各書類をスキャンしてPDF化(又は写真を撮ってJPEG化)して用意しておきましょう。なお、それぞれの書類は1つのPDFファイルにまとめるのではなく、1書類1ファイルとして、何の(誰の)書類か分かるファイル名にしましょう。(例:KOKUDO TARO 重要事前説明書)

出典:国土交通省

書類No順に、補足します。

1.全ページをスキャンして添付してください。新規申請の時に限り、現在事項証明書でも大丈夫ですが、変更申請の場合は、変更前後の確認が必要なため、履歴事項全部証明書が必要です。また、法務局で発行されたものに限ります。特定技能外国人に従事させる業務が会社の目的から読み取れるような、適切な目的にするようにしてください。

2.まず、許可の有効期限を必ず確認してください。期限切れの許可証は認定不可です。一方、特定技能外国人に従事させる業務と取得している許可業種については、一致までは求められていません。特定技能外国人の在留資格上の業務区分に含まれる工事であれば、受入れ企業が許可されている工事の種類を問わず、従事させることができます。なお、建設業許可の更新許可申請中で、新しい許可証が届かない場合は、旧許可証+更新許可申請書の写し(第1面、許可権者の受付印のあるもの)を添付してください。オンライン申請中に新しい許可証が届いたら、差し替えてください。

3.直近の通知書を提出してください。被保険者整理番号にのみマスキングをしてください。役員は、常勤の役員で報酬額が一定額以上である者、日本人従業員は、パート勤務等の短時間労働者ではない者、外国人従業員は、パート勤務等の短時間労働者ではなく、かつ在留資格が「特定技能」「技能実習」「特定活動(特定技能移行予定等)」ではない者をカウントします。詳細は、申請の手引きの6ページをご覧ください。

4.事業者IDが記載されたハガキ又はメールの写しを提出してください。その際は、必ず初期パスワードにマスキングをしてください。事業者IDを取得してからでないと、このオンライン申請はできません。CCUSの登録には一定の時間がかかりますので、特定技能制度を利用することを決めたら、早めに申請しましょう。

5.所属する建設業者団体がJACの正会員として加入している場合は当該建設業者団体が発行した会員証明書の写し、JACに賛助会員として加入している場合はJACが発行した会員証明書の写しを提出してください。加入し、会員証が発行されてからでないと、このオンライン申請はできません。団体によっては、加入要件があり、会員証の発行までに半年かかる場合もありますので、特定技能制度を利用することを決めたら、早めに加入手続きをしましょう。なお、特定技能外国人に従事させる業務と加入している団体のカテゴリーの一致は求められていません。

7.申請日から直近1年以内であり、フルタイムかつ建築・土木の作業員の募集である求人票を提出してください。なお、ハローワークに求人を出したことがない場合は、一度求人を出し、その求人票を提出してください。特定技能外国人に従事させる業務と同じ作業員で、かつ正社員の募集に限ります。また、求人票に記載された月給額も審査の対象です。例えば、経験不問で月給額25万円~という内容の求人票を添付しているのに、1号特定技能外国人の賃金を月給額23万円としていた場合は、同等技能を有する日本人と同等以上の報酬額であるとは認められません。この場合、25万円に3年分の昇給が加算された額でなければ、同等以上とは認められませんので、ご注意ください。

8.常時雇用している人数が10名以上の場合は、必ず添付が必要です。無期雇用の正社員に適用される就業規則、賃金規程、退職金規程を添付してください。労働基準監督署の受付印のあるものを提出する必要があります。なお、これらの内容は、特定技能外国人に対してもすべて適用されます。

10.変形労働時間制採用の場合のみ、提出してください。提出する場合は、変形労働時間に係る協定書と年間カレンダーについては、次の順で添付してください。①労働基準監督署に提出し、受理印のあるもの、②労働基準監督署に提出し、受理印のないもの、③労働基準監督署には提出していないが、提出する協定届に関するもの(いずれの場合も、有効期間内のものを添付)。また、協定届については、労働基準監督署に提出し、受理印のある有効期間内のものを添付してください。「常時使用する労働者数」と「該当労働者数」に人数の差がある場合は、説明が必要です。日本人技能者は変形労働制を採用せず、外国人技能者は変形労働制を採用する等の理由での人数差は認められません。

11.技能者IDが記載されたカードの写しを提出してください。オンライン申請時に、外国人が海外にいる場合は、申請会社に勤務開始後、速やかに技能者登録申請を行い、技能者IDが発行されたら、オンラインの受入報告から技能者IDを修正してください。なお、技能者登録は簡略型でも詳細型でも構いませんが、レベル判定は詳細型でしか受けることができません。昇給の条件や資格手当にCCUSのレベルアップを条件としている場合や2号特定技能への移行を考えている場合は、最初から詳細型で登録することをおすすめします。簡略型で登録しておき、レベル判定を受ける前に詳細型に変更することも可能です。

12~14については、場合によって提出すべき書類が異なってきますので、詳細は次の章で紹介します。

15.雇用条件書、重要事項事前説明書、外国人就労管理システムへの入力はすべて同じ内容で作成してください。異なる箇所があれば、補正対象となります。まず、雇用条件書の雇用契約期間の開始日は、申請日から半年以上先にしないでください。また、有期雇用の契約期間は、労働基準法で3年までとなっていますので、法令に反しない契約期間で契約を締結してください。その他、労働基準法等に従い、適切に契約されたものを提出してください。それから、外国人が理解できる言語が併記された様式を使いましょう。なお、雇用契約書と雇用条件書については、複数人のものを1つのPDFファイルにまとめることも可能とされています。

16.業務内容の従事させる具体的職種及び作業内容は、外国人にも具体的に分かるように記載してください。詳細はこの記載例をご覧ください。なお、外国人への説明には、母国語併記の様式を使いましょう(様式はこちら)。

5.同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることを証明するために必要な書類

同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることを証明するためには、場合によって必要となる書類が異なります。

(1)同職種で再雇用者を除く3~5年の日本人技能者がいる場合

該当する日本人技能者と比較した書類を提出する必要があります。

<書類No.12>
同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書
<書類No.13>
同等の技能を有する日本人の賃金台帳
<書類No.14>
同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類

(2)同職種で再雇用者を除く日本人技能者がいる場合

3~5年の雇用に該当しない同業種の日本人技能者がいる場合は、その日本人技能者と比較し、報酬額の差が合理的な範囲内であることを説明するため、以下の書類の提出が必要です。

<書類No.12>
同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書
<書類No.13>
同等の技能を有する日本人の賃金台帳
<書類No.14>
同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類

(3)同職種で再雇用者を除く日本人技能者はいないが、役員以外の日本人技能者がいる場合

この場合は、①就業規則や賃金規程に基づき、3年程度または5年程度の経験を積んだ者に支払われるべき報酬の額及び②周辺地域における建設技能者の平均賃金や設計労務単価等を根拠として提示するため、以下の書類の提出が必要です。

<書類No.12>
同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書(外国人のみを記載)
<書類No.13>
役員以外の日本人技能者の賃金台帳
<賃金構造基本統計調査に掲載のある該当都道府県の「D建設業」シート>
同等の経験年数を有する者の賃金水準の該当箇所にマークをつけて確認しやすい状態にしたもの

(4)同職種で再雇用者を除く日本人技能者がいない、かつ役員以外の日本人技能者もいない場合

この場合も、①就業規則や賃金規程に基づき、3年程度または5年程度の経験を積んだ者に支払われるべき報酬の額及び②周辺地域における建設技能者の平均賃金や設計労務単価等を根拠として提示するため、以下の書類の提出が必要です。

<書類No.12>
同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書(外国人のみを記載)
<就業規則又は賃金台帳>
原則として労基署に提出されたもの
<賃金構造基本統計調査に掲載のある該当都道府県の「D建設業」シート>
同等の経験年数を有する者の賃金水準の該当箇所にマークをつけて確認しやすい状態にしたもの

6.まとめ

この記事では、建設特定技能受入計画のオンライン申請に必要な書類について解説しました。
必要書類を準備するだけでも大変ですが、この後に、外国人就労管理システムへの入力(オンライン申請)の工程が待っています。この作業も時間と労力がかかるうえ、入力ミスや添付漏れがあると「引き戻し・再編集」となり、当初の申請日ではなく再申請日を基準に審査が行われてしまいます。その結果、認定までにさらに時間を要することも少なくありません。

こうしたトラブルを防ぐには、制度に精通した専門家のサポートを受けるのが安心です。
当事務所では、建設分野での特定技能受入れを検討する企業様に対し、CCUSへの登録から建設特定技能受入計画の書類作成、オンライン申請、在留資格諸申請までを一括してサポートしています。
外国人材の受け入れをスムーズに進めたい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆さまを支援しています。

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