投稿日:2025年8月6日
 
 日本では少子高齢化が進み、若く意欲ある労働力の確保がますます重要になっています。このような中、やる気のある海外の学生をインターンシップで受け入れる企業が増えてきました。実際、多くの学生が日本文化や日本語を学ぶために来日し、企業には新しい視点や国際感覚の導入効果が期待されています。
 その一方で、インターンシップ生を受け入れる際には、在留資格の適切な選択や業務内容が教育目的に沿っていること、大学との契約や指導体制が整っていることなど、注意すべき点が複数あります。これらをしっかり理解し、適切な手続きをとることで、企業も学生も安心してインターンシップを始めることができます。
 この記事では、インターンシップ生を呼び寄せる際の条件や入管のガイドラインに基づいた注意点等をお伝えします。
海外の学生をインターンシップで呼び寄せるためには、以下の条件を満たす必要があります。
学位を授与される教育機関(大学、短期大学、大学院)に在籍する海外の学生が対象となります。また、日本に入国する際に、18歳以上であることも求められます。
 また、海外の学生の日本語能力については、基本的にN4相当以上が求められますが、インターンシップ生を常にフォローできる十分な人数の通訳が配置されている場合等、インターンシップ生とのコミュニケーションを取るための体制が整っていると認められる場合は、N4相当以上の日本語能力を持っていなくても、許可されることがあります。
1年を超えない期間で、なおかつ通算して、在籍する大学の修業年限の2分の1を超えない期間内であることが求められます。「通算して」とあるため、例えば、過去に8か月間、インターンシップ生として来日していた短期大学生が、別の企業でインターン生として来日しようとする場合、2年の修業年限の2分の1は1年であるため、別の企業のインターンシップ生としては4か月しか滞在することはできません。
インターンシップとは、「学校での学びを実践の場に活かしながら、人材育成を図ることを目的として実施される学生向けの就業体験プログラム」です。よって、インターンシップ生が外国の大学で専攻している科目と関連する業務に従事し、一定の知識や技術等を習得することができる活動である必要があります。ただし、関連性が無いと思われる業務であっても、インターンシップが就業体験の位置づけであることから、大学でどのように教育課程の一部として評価されるのかが明らかであれば、認められる可能性があります。
 一方、インターンシップ生の知識等の向上に役立たないような、単純作業は認められません。
インターンシップは、実施に際して必ず報酬を支払わなければならないものではありません。ですが、報酬を支払う場合は、労働関係法令が適用されますので、最低賃金以上である必要があります。
 また、報酬の有無や外国の大学の単位取得になるかどうか、滞在期間が90日を超えるかどうかで、次のとおりビザの種類が変わります。どのビザに該当するかを確認したうえで、手続きを進める必要があります。
有償インターンシップの実施に当たり、一部の企業で海外の学生を安価な労働力の供給源として悪用しているケースが発生しているため、2020年5月に、入管が有償インターンシップのガイドラインを定めました。このガイドラインを基に、総合的に判断するとされています。
 ここでは、このガイドラインの中で、特に気を付けるべき注意点についてお伝えします。
海外の大学と受入れ企業が、インターンシップ生の受入れに関する契約を結ぶ際は、以下の項目を入れたうえで、インターンシップ生もこの内容を理解していることが求められます。
インターンシップ生を受け入れることができる人数は、受入れ企業の常勤職員数(事業所単位ではなく、企業単位で算出した人数)によって異なります。
上記人数枠を超える場合でも、インターンシップの適正な実施に支障が無いと認められる場合は、許可されることもあります。例えば、インターンシップ生を「座学チーム」と「実務チーム」に分け、座学チームには専任の指導員が不要で、実務チームには常勤職員が指導に当たるといった形で、 運営管理と指導体制が保たれており、それを説明することができれば、人数枠を超えても許可される可能性があります。
なお、受入れ企業に第1号技能実習生がいる場合、インターンシップ生の受け入れ人数と第1号技能実習生の受け入れ人数の合計が第1号技能実習生の受け入れ人数枠を超えるときも、インターンシップ生についての指導体制やカリキュラムがしっかり構築されていることを説明する必要があります。
インターンシップは、教育課程の一部として行われるものであるため、インターンシップに参加することで、卒業時期が延期されることは通常想定されていません。ですが、学則等により、インターンシップに参加した学生の卒業時期が異なる旨の規定がある場合は、認められることがあります。したがって、まずはインターンシップ生の卒業時期とインターンシップ終了時期を確認し、もし通常の卒業時期を超えてインターンシップを終了する場合は、根拠となる学則等を申請書類に添付するとよいでしょう。
※外国の書類はすべて日本語に翻訳が必要です。
この記事では、インターンシップ生を呼び寄せる際の条件や入管のガイドラインに基づいた注意点を中心にご紹介しました。有償インターンシップを実施するには、特定活動ビザの許可が必要ですが、このビザの申請にはインターンシップ実施計画や大学との契約書作成等、専門的な書類作成が必要です。
 ビザ専門の行政書士に依頼すれば、書類作成から入管対応までを一括でサポートできます。その結果、企業側の負担が軽減され、許可取得がスムーズになります。当事務所でもビザ申請のサポートをしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
 
 かざはな行政書士事務所
代表行政書士 
 佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
 前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
 その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
 2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
 ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆さまを支援しています。
 
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