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高度人材とは、専門的な知識や技術を有し、日本の産業に貢献できる外国人のことを指します。そして、高度人材と認められるには、入管が公表している「高度人材ポイント計算表」で70点以上を取ることが求められます。このポイント制で、70点以上に達した外国人は、高度専門職ビザという在留資格を取得することができます。(70点以上の人でも、高度専門職ビザ以外のビザ(例:就労ビザ、日本人の配偶者等)で日本に在留されている方もいらっしゃいます)
このポイント制で70点以上に達した外国人については、日本に在留するうえで様々な優遇措置が設けられています。その中の1つが、永住許可要件の緩和です。
この記事では、高度人材から永住ビザを取得するための要件等を解説します。
まずは永住ビザを取得するメリットについてご紹介します。
高度人材の方が、永住ビザを取得する大きなメリットは、在留期限と活動制限が無くなり、身分が安定することです。
高度専門職1号のビザであれば、在留期限は5年で、在留期限が切れるまでに更新手続きが必要となります。ですが、永住ビザを取得すると、在留期限が無くなり、更新手続きが不要となります。(高度専門職2号は在留期限が無いため、このメリットはありません。)
また、活動内容について、高度専門職ビザの場合、複合的な在留活動(例:研究しながら研究の成果を活かして事業を起こし、自ら経営する)が認められているため、その他の就労資格より幅広く活動できますが、そもそも就労していなければ、在留は認められません。一方、永住ビザを取得すれば、活動内容の制限も無くなります。よって、就労活動を行っていなくても日本での在留が可能となります。
次に永住ビザを取得するデメリットについてご紹介します。
高度専門職ビザの方は、一定の条件を満たした場合に、親の帯同や家事使用人の雇用が特別に認められています。しかし、永住ビザに変更した場合は、この優遇措置が認められなくなります。
詳細は、こちらのページでも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
永住ビザを取得するためには、3つの要件があります。
(1)素行が善良であること(素行善良要件)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
(3)その者の永住が日本国の利益に号すると認められること(国益適合要件)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
素行善良要件とは、法律を守って人に迷惑をかけずに生活していることを指します。
例えば、日本の法律に違反して、刑事罰を受けていないことや交通違反を繰り返していないこと等が具体例として挙げられます。もし、処罰されたことがある場合でも、特定の期間が経過すれば、許可になる可能性があります。
特定の期間とは、懲役と禁固の場合は、刑務所から出所して10年を経過(執行猶予がついている場合は、猶予期間が満了してから5年経過)すること、罰金・拘留・科料の場合は支払いを終えてから5年経過することで、その刑は消滅したものとして扱われます。
また、結婚されている方で、配偶者や子どもが家族滞在ビザで日本に在留している場合も注意が必要です。家族滞在ビザは、原則、就労を認められていないビザですが、資格外活動許可を得れば、週に28時間以内であれば働くことができます。ですが、週28時間を超えて働いている場合は、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っているということになります。そして、その監督者である高度人材の方も、違法行為又は風紀を乱す行為を行っている者を監督できていないということになります。この場合、家族滞在ビザの方が、就労時間を週28時間以内にしてから3年ほど経過しないと、永住ビザの許可は難しいです。
これら以外にも様々なことが考えられますが、個々の状況によって判断されるため、明確な審査基準は存在しません。素行善良要件については、日常生活で法律に違反するような行動をしていなければ、心配する必要はありません。
独立生計要件とは、安定して自立した生活を継続できる能力を指します。
具体的には、どれぐらいの年収があるのか?ということです。原則として、ポイントが70点以上の方は直近3年分の年収、ポイントが80点以上の方は直近1年分の年収がチェックされます。年収額について、入管では明確な審査基準を公表していませんが、年収300万円以下の方は不許可になっているケースが多いようです。また、扶養人数が増えるごとに、60~80万円がプラスで必要とされています。
なお、配偶者が家族滞在ビザで在留し、資格外活動許可を得てアルバイトをしている場合、配偶者の収入は加算されませんのでご注意ください。
国益適合要件とは,永住を認めることが日本国にとってプラスになることを指します。
ガイドラインで4つの基準が定められていますので、それぞれ見てみましょう。
①原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。⇒日本在留1年又は3年以上でOK
「引き続き」とは、途切れることなく継続して在留していることを意味します。よって、出国が多い場合は、在留期間の積算がリセットされることがあります。例えば、1回の出国で90日以上又は1年間で半年以上出国している場合は、日本に生活基盤が無いとみなされ、永住許可が難しくなります。
加えて、永住申請をするには、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要ですが、高度人材の場合は、この在留期間が短縮されます。ポイント70点以上の高度人材として、日本に3年以上在留しているか、ポイント80点以上の高度人材として、日本に1年以上在留していれば、要件を満たすこととなります。
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
公的義務とは、税金や公的年金等の保険料の納付だけでなく、入管法で規定されている届出等も含まれます。
特に、国民年金と国民健康保険料について、納期限を守っていない場合、不許可となりますので、注意が必要です。もし、納期限を守って支払っていない場合は、永住ビザの申請をする前に、ポイント70点以上の方は2年間、ポイント80点以上の方は1年間、納期限を守って支払いましょう(納期限を守って支払った実績が必要です)。
③現に有している在留資格について,入管法に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
高度専門職ビザを許可された方は、一律に最長の期間(現時点では5年)が許可されますので、そのまま最長の在留期間を持って在留している者として取り扱われます。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
これは、感染症や薬物依存症でないことを意味し、健康診断書等を添付して証明することになります。
以上が、永住ビザ申請に必要な書類となります。ご覧のとおり、様々な種類の書類が必要です。これらの書類を正しく準備するためには、膨大な時間と手続きに関する知識が求められます。また、審査期間は6か月程度かかるため、早めに準備を始めることも大切です。スムーズに手続きを進めたいと思われる方は、ぜひビザ専門の行政書士にご相談ください。
かざはな行政書士事務所
代表行政書士
佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。
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