更新日:2025年10月13日 投稿日:2025年7月14日
 
 経営・管理ビザの更新は、他のビザと比べて、審査が厳しいと言われています。なぜなら、新規で申請する時と同等の要件を求められ、細かくチェックされるからです。また、2025年10月16日の改正で、今後の更新申請に関する審査について、さらに厳格化されることが発表されました。
この記事では、2025年10月16日の改正点を踏まえて、経営・管理ビザの更新で求められる要件や申請に必要な書類にはどのようなものがあるかについて解説します。
経営・管理ビザの更新の際に求められる要件として、入管の通知文を確認すると、主に以下の要件が挙げられます。これらの要件を見ると、事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点だけでなく、経営・管理ビザで在留する外国人が、関係法令に従って、事業者としての義務を適切に果たしているかという観点からも審査されていることが分かります。
なお、今回の改正で①資本金が3,000万円以上であること、②常勤職員を1名以上雇用すること、③申請者又は常勤職員のどちらかが日本語能力(N2以上)を有すること等を求められるようになりましたが、既に経営・管理ビザで日本に在留中の方が2028年10月16日までの間に行う更新申請は、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の許可基準に適合する見込みであるかどうか等を踏まえて、総合的に審査されます。
事業が継続的に運営されるために、事業を行うための事業所として使用する施設が日本に確保されていることが求められます。ですので、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、簡単に処分可能な屋台等を利用したりする場合は、この要件に適合しているとは認められません。
 また、事業所が賃貸物件であることが一般的だと思いますが、この物件に係る賃貸借契約において、その使用目的が事業用、店舗用等の事業目的であることを明らかにすることや当該法人による使用であることを明確にすることが必要です。もし、住居としても使用している施設を事業所としている場合は、住居目的以外での使用を貸主が認めていること等も証明する必要があります。
共同で事業を起こした複数の外国人が、役員に就任するような場合は、それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から審査されます。
経営・管理ビザに該当するためには、当該外国人が事業の経営又は管理に実質的に参画していること、つまり事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行っていることが必要であり、役員に就任しているということだけでは、経営・管理ビザに該当するものとは言えません。
また、複数の外国人が事業の経営又は管理に従事するという場合、それぞれの外国人の活動が経営・管理ビザに該当すると言えるためには、当該事業の規模、業務量、売上等の状況を勘案し、事業の経営又は管理を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。
 実際には、従事することとなる具体的な業務の内容、役員として支払われることとされる報酬額等を確認され、これらの外国人の行う活動が経営又は管理に当たるものであるか否かを判断されることとなります。具体的に言うと、以下の条件が満たされている場合には、それぞれの外国人全員について、経営・管理ビザに該当するとの判断が可能となります。
経営・管理ビザの更新には、今後の事業活動が確実に行われる見込みがあることが求められます。ですから、この会社は今後も継続的に事業を続けられるか、ちゃんと利益を出して経営者も生活できるかという点を細かく審査されます。事業の継続性については、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから、直近二期の決算状況を審査されます。
決算状況において、最も注意しないといけない場合は、二期連続で赤字決算(売上総利益が無い)の場合や債務超過(会社の資産より借金が多い:貸借対照表の純資産がマイナス)の場合です。この場合は、原則として事業の継続性があるとは認められません。ただし、新しい会社が独自性のあるサービス等を提供するような新しいビジネスモデルに基づいて、事業を成長させようとする場合は、このような状況も想定されます。その場合は、以下の書類を提出し、合理的な理由が認められた場合は、柔軟に判断されることもあるようです。
次に注意しないといけない場合は、直近期末において債務超過である場合です。債務超過となった場合は、一般的に事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認めることは難しい状況ですが、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、以下の書類を提出し、1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなること)の見通しがあることが認められれば、事業の継続性があるものとして判断されることがあります。
経営・管理ビザで在留する外国人は、事業の運営を適正に行うことが求められます。具体的には、次の公的義務を果たす必要があります。
①租税関係法令を守っていること
 国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税等)を適切に納付している必要があります。納税義務を果たさずに刑を受けている場合や刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等、納税義務を果たしていない場合には、マイナス評価となります。
②労働関係法令・社会保険関係法令を守っていること
 雇用する従業員(アルバイトを含む)の労働条件が、労働関係法令に適合していることが必要です。また、労働保険の適用事業所である場合は、当該保険の加入手続を適正に行い、保険料を適切に納付していることが求められます。その他、健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合には、当該保険の加入手続を行っていることや雇用する従業員の健康保険及び厚生年金保険の資格取得手続を行い、保険料を適切に納付していることが求められます。これらの法令に適合していないと認められる場合には、マイナス評価となります。
新株予約権の発行による払込金の取扱いについては、以下の1、2の両方を満たす部分の金額について、資本金・出資金の3,000万円に計上することが可能です。
なお、上記に係る提出資料としては、以下の書類等が必要となります。
上記が、基本的な提出書類です。経営・管理ビザは、3年以上の在留期間を得るのが非常に難しい在留資格ですが、更新理由書の内容を充実させることは、効果的であると言えます。また、カテゴリー3又は4の事業規模の会社に対して、入管が直近の在留期間における事業の経営に関する活動内容も文書でまとめるように求めてきました。この内容をしっかり説明するとともに、今後の事業の展望も具体的に提示する(例:今後3年間の事業計画書を作成し、添付する)ことで、3年以上の在留期間を許可される可能性は高くなると考えられます。
 
 かざはな行政書士事務所
代表行政書士 
 佐々本 紗織(ささもと さおり)
プロフィール
 前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
 その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
 2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
 ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆さまを支援しています。
 
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