経営・管理ビザについて

 更新日:2025年10月13日 投稿日:2025年7月4日

経営・管理ビザは、外国人が日本で会社を作って経営したり、既にある会社の経営や管理に関わることができるようにするために、設けられたビザです。経営・管理ビザで認められている活動は、事業の経営活動と管理活動の2つです。
経営活動を行う者として想定されているのは、事業の運営に関する重要事項を決定する社長や業務の執行を監督する取締役、執行状況を監査する監査役等の役員です。また、管理活動を行う者として想定されているのは、事業の管理業務に従事する部長、工場長、支店長等です。

この記事では、経営・管理ビザとはどのようなビザか、また申請に必要な書類にはどのようなものがあるかについて、2025年10月16日施行の改正点を踏まえて解説します

1.経営・管理ビザとは

経営・管理ビザは、日本で事業の経営を行う活動や事業の管理に従事する活動に対して認められるビザです。
その形態としては、①日本で事業の経営を開始してその経営や管理を行う活動、②日本で既に営まれている事業に参画してその経営や管理を行う活動、③日本で事業の経営を行っている者に代わって、その経営や管理を行う活動が認められています。
事業の経営活動を行うのか、それとも管理活動を行うのかによって、求められる要件が少し異なります。具体的に見ていきましょう。

(1)経営活動の要件
  1. 日本で独立した事業所を確保していること
  2. 日本に住む常勤の職員を1人以上雇用すること
  3. 資本金又は出資の総額が3,000万円以上の事業であること
  4. 申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有すること
  5. 申請者が3年以上の経営・管理経験を有すること、又は経営管理若しくは経営する事業分野に関する修士相当以上の学位を取得していること
  6. 新規事業計画について、経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受けること

1については、事業所の賃貸借契約において、使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることが明らかであり、契約者の名義も当該法人等の名義であることが必要です。なお、月単位の短期間賃貸スペースやバーチャルオフィスは事業所とは認められません。また、事業所を設けた場合に、その事業に合わせて一般的に備えられる備品が備わっているかどうか(例:事務机や椅子、電話機、プリンター等)も写真等を添付して、証明する必要があります。

2について、常勤職員として認められる人は、日本に住む日本人や特別永住者のほか、永住ビザ、永住者の配偶者等ビザ、日本人の配偶者等ビザ、定住ビザのいずれかを持つ外国人です。また、常勤と言えるには、労働日数が週5日以上、労働時間が週30時間以上が必要です。パートタイムで働く人や派遣・請負の形態で働く人は常勤職員とは扱われません。

3について、出資金は、申請者が全額用意する必要はありませんが、出資金の出所にも注意が必要です。特に、留学ビザの人が起業して経営・管理ビザを取得するために出資した金額は、その原資が厳しく審査されます。なぜなら、留学ビザは資格外活動許可を受けていたとしても、原則として1週間に28時間しか働くことができないからです。留学ビザの人が多額のお金を出資している場合は、そのお金をどのように調達したのか、合理的な説明が求められます。以前は、2か3のどちらかを満たせばよかったのですが、今回の改正で両方満たさなければいけなくなりました。金額も500万円から3,000万円となり、このビザを取得するハードルはかなり高くなったと言えます。

4の要件は、今回の改正で新しく加わったものです。申請者か常勤職員のいずれかが、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力を有することを求められます。具体的には、次のいずれかに該当することを求められます

  • 日本語能力試験N2以上
  • BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
  • 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等高等教育機関を卒業していること
  • 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること

5の要件は、以前は管理活動の方にだけ、もう少し緩い形で定められていたものですが、今回の改正でより厳格になり、かつ経営活動の要件にも加わりました。実務経験の期間については、特定活動ビザ(起業準備活動)で行う、貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保、その他の準備行為の期間も含みます。また、学歴については、大学院(大学ではダメですが、外国の大学院も含まれます)において、経営管理又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野に関する博士、修士若しくは専門職の学位を取得していることが求められます。

6については、今回の改正でより厳格な運用となりました。事業計画に具体性があるかどうか、合理性があるかどうか、実現可能なものかどうかを評価する者として、中小企業診断士、公認会計士、税理士のいずれかの専門家の確認が義務付けられました。ただし、上記の専門家ができるのは、あくまでも事業計画書の内容確認であり、官公署に提出する書類の作成はできません。誰かに作成依頼をする場合は、弁護士又は行政書士に依頼しましょう。

(2)管理活動の要件
  1. 日本で独立した事業所を確保していること
  2. 日本に住む常勤の職員を1人以上雇用すること
  3. 資本金又は出資の総額が3,000万円以上の事業であること
  4. 申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有すること
  5. 申請者が3年以上の経営・管理経験を有すること、又は経営管理若しくは経営する事業分野に関する修士相当以上の学位を取得していること
  6. 新規事業計画について、経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受けること
  7. 日本人と同等額以上の報酬を受けること

​1~6については、経営活動の要件と同じですので、省略します。

7については、同じ会社で同じ業務に従事する日本人と比較して、報酬が同等額以上かどうかを確認されますが、同じような立場の人がいない場合は、同業他社の同種業務に従事する日本人と同等額以上かどうかを確認されます。

なお、この管理活動については、相当規模の事業所の管理でないと、許可は難しいようです。カテゴリー1、2規模の事業所が望ましいです。

2.経営・管理ビザ申請までの流れ

経営・管理ビザを取得するためには、まず日本で会社を設立する必要があります(すでに日本に会社がある場合は、書類を揃えればすぐに申請できます)。
また、飲食店やリサイクル店等を営む場合は、飲食店営業許可や古物商許可等の許認可を取得しなければなりません。以下に、経営・管理ビザ申請までの一般的な流れをご紹介します。

STEP1

会社の基本事項(会社名、会社住所、事業目的、資本金等)を決める

※会社の住所を決める必要がありますので、事務所・店舗を借りてください。

STEP2

定款を作成し、公証役場で認証を受ける

※印鑑証明書が必要になりますので、事前にお住まいの市役所で印鑑登録をして、印鑑証明書を発行してください。なお、合同会社の場合、公証役場での認証は不要です。

STEP3

資本金(3,000万円以上)を代表者の銀行口座に振り込む

※口座は日本の銀行に限ります。海外の銀行の日本支店でも大丈夫です。

STEP4

法務局で法人設立登記を行う

※法務局で法人設立登記と会社代表印の登録を行います。登記完了までに2~3週間かかることがあります。

STEP5

登記完了後、常勤職員と雇用契約を結ぶ

※1人以上の常勤職員の雇用が義務付けられています。対象は、日本人、特別永住者、身分系のビザを持つ外国人(永住ビザ、配偶者ビザ、定住ビザ)に限られます。

STEP6

税務署で各種届出を行う

※法人設立届、給与支払い事務所等の開設届等を提出します。

STEP7

営業許可が必要な場合は、許認可を取得する

飲食業や不動産業など、特定の業種では営業許可や免許が必要です。

STEP8

経営・管理ビザの申請をする

※審査に3か月ほどかかります。

STEP9 許可後に、事業開始!

3.経営・管理ビザ申請のための提出書類(経営活動)

経営・管理ビザも他の就労ビザと同様に、会社の規模により、求められる提出書類は異なりますが、今回は、日本に在留している外国人が新設会社(カテゴリー4)を経営するために、経営・管理ビザへの変更申請をする場合の必要書類についてご紹介します。(申請者や会社の状況によって、以下にご紹介した書類以外のものを求められることもありますので、ご注意ください。)

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 在留カード(原本提示)
  • パスポート(原本提示)
  • 学位証明書(学歴による証明の場合)
  • 関連職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書又は関連職務に従事した期間を証する在職証明書等(職歴による証明の場合)
  • 出資金の形成過程説明を証明できる書類
  • 申請理由書
  • 定款の写し
  • 法人登記事項証明書の写し
  • 株主名簿(株式会社の場合のみ)
  • 取締役(又は代表社員)の報酬を決定する書面
  • 会社案内又はHP(沿革、役員、組織、事業内容、取引先、取引実績等が記載されたもの)
  • 会社の建物賃貸借契約書の写し(不動産を所有している場合は、登記事項証明書)
  • 会社名義の銀行通帳の写し
  • 会社の写真
  • 常勤職員が1人以上であることを明らかにする当該職員に係る賃金支払に関する文書
  • 常勤職員の住民票
  • 日本語能力を証明する書類(申請者又は常勤職員)
  • 貸借対照表
  • 経営・管理に関する専門的な知識を有する者による評価を受けた事業計画書の写し
  • 設立時取締役選任及び本店所在地決議書写し(原始定款に記載の場合は不要)
  • 給与支払事務所等の開設届出書の写し(税務署の受付印があるもの)
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書写し(税務署の受付印のあるもの)
  • 法人設立届出書(税務署の受付印のあるもの)
  • 青色申告の承認申請書(税務署の受付印のあるもの)
  • 法人(設立時)の事業概況書(税務署の受付印があるもの)
  • 申請に当たっての説明書
  • 営業許可証の写し(ある場合のみ)
この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に深く関わってきました。
その経験を活かし、行政書士としてより専門的なサポートを行うため、一念発起して資格を取得しました。
2025年5月に、広島県東広島市で国際業務専門の「かざはな行政書士事務所」を開業。
ビザ申請や帰化申請を中心に、外国人の方と企業の皆さまを支援しています。

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