就労ビザ申請に必要な雇用理由書とは?

投稿日:2025年6月11日

就労ビザを申請するにあたり、入管のHPには必要書類として挙げられていないものの、提出した方が良い書類があります(転職無しの更新申請を除く)。それは、「理由書」です。理由書には、申請者が作成する「申請理由書」と企業側が作成する「雇用理由書」があり、概ね「雇用理由書」を提出するケースが多いです。

理由書は、様式が定まっておらず、また就労ビザの種類や申請者の状況によっても、説明に力を入れるポイントが異なりますので、あらかじめポイントを押さえておく必要があります。

この記事では、就労ビザの中で最も取得している人が多い技術・人文知識・国際業務ビザ(以下、技人国ビザ)を取得するために必要な「雇用理由書」について、詳しく解説していきます。

1.なぜ雇用理由書が必要なのか?

まずは、なぜ雇用理由書が必要なのか、説明します。
入管のHPに掲載されている必要書類を揃えて提出したとして、技人国ビザ取得に必要な以下の点を満たしていると立証できているでしょうか?

  1. 申請者が従事する予定の業務を具体的に特定したうえで、この業務に求められる知識や技術のレベルが高いこと
  2. 企業が技能実習生や特定技能ビザの外国人を受け入れている場合、その方たちとの業務が異なることを
  3. 企業の業務の中に、現場労働が含まれている場合、その業務に従事する人材を他に確保していること
  4. 専門的業務に従事するにふさわしい待遇とすること(同じ業務に従事する日本人社員と同等以上の報酬であること)
  5. 同種の業務に従事している社員が、未経験者や高卒者ではなく、業務に関連する科目を専攻した大卒者であること(求人の際に、「未経験可、すぐに慣れます」等の記載があるような業務では、認められません)
  6. 申請者が従事する業務について、継続的かつ安定的に十分な量の業務量があること

もし、以上の点を入管が示す必要書類のみで立証できるのであれば、雇用理由書は必要ありません。
ですが、多くの場合、必要書類だけでは立証が難しいのではないでしょうか。また、もし申請人の在留状況が良くない場合(資格外活動許可を超えてアルバイトをしていた等の場合)においては、その説明をしないまま、入管が示す必要書類だけを提出すると、追加書類の提出を求められることなく、そのまま不許可となる可能性もあります。
追加書類の提出を求められてから、雇用理由書を作成するのでも間に合わないわけではないと思いますが、提出期限まで2週間程度しかなく、上記の項目を踏まえて雇用理由書を作成するのは大変です(理由書を作成するために、追加の添付資料も用意する必要があります)。
よって、あらかじめ雇用理由書を作成したうえで、必要書類と一緒に提出しておくことが望ましいです。

2.雇用理由書に書くべきポイント

それでは、どのような内容を雇用理由書に書けばよいでしょうか。
重要なポイントを以下にまとめてみました。

  • 申請者の学歴や職歴
  • 企業の事業内容
  • 申請者が従事する業務の具体的内容(一定程度以上の専門性があること、十分な業務量があることを含む)
  • 申請者が従事する業務と申請者の知識・能力・学歴・経験との関連性
  • 申請者が従事する業務(役割)の重要性
  • 採用経緯
  • 申請者の人格の良好性
  • 技能実習生や特定技能ビザの外国人を受け入れている企業は、申請者が従事する業務がその方たちと異なること(専門性が高いことや業務場所が異なることを説明する)
  • 従事する業務に関連する資格や論文の紹介(あれば)
  • 申請者に不利な状況があれば、その理由とフォロー

なお、上記のポイントを具体的に裏付ける資料があれば、それも提出してください。

3.雇用理由書の例文

ここまでは、雇用理由書のポイントを説明してきました。
以下、雇用理由書の例文をご紹介します。(あくまでも例文です。そのままコピーするのはお控えください。)

2025年〇月〇日

○○出入国在留管理局長 殿

 

株式会社 ○○○○〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇

雇用理由書

 

私は申請人である○○〇〇(国籍:インドネシア、生年月日:1998年〇月〇日)の雇用主で、株式会社○○○○○○の代表取締役社長である〇〇〇〇と申します。このたび、申請人を雇用するに至り、申請人の「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可を賜りたく、当社が申請人を採用するに至った経緯やその理由を説明させていただきます。

1.当社の事業内容

当社は、2000年(平成12年)4月1日に設立された資本金3,000万円の株式会社です。当社の主たる事業内容は、○○○○事業、○○○○〇事業等です。当社の直近年度の(2024年4月1日~2025年3月31日)の売上高は、10億8,000万円にも上ります。
当社は、○○を主力製品としており、○○〇〇等を提供しております。主力製品の○○は特許も取得しており、今後さらに売り上げを伸ばす見込みです。なお、主な取引先企業は■■株式会社や▲▲株式会社です。

2.申請人を採用した経緯

当社は設立以来、○○○○事業を中心に、海外も含めて事業展開してまいりました。この事業を展開するにあたり、○○の知識を持ちつつ、常に学び続ける姿勢も持ち続け、多言語に精通する人材の確保が必要不可欠です。このような素養を持つ人材を探しておりましたところ、申請人が応募してくださいました。
採用過程において、数名の応募者の中でも、申請人は○○大学大学院○○研究科で学んだ日本語や○○に関する豊富で専門的な知識だけでなく、向上心も強く持っておられることから、当社が求める人材と一致しました。なお、申請人は、日本語能力検定N1をお持ちで、日本語によるコミュニケーション能力が非常に高く、○○に関する専門的な知識もお持ちですので、即戦力として期待しております。

3.申請人の職務内容(実際にはもっと詳しく記載してください)

①○○〇〇事業
主に○○○○に係る商品分析や商品開発に従事していただきます。

②○○○○〇事業
高い語学力を活かした日本語・インドネシア語による通信業務及び翻訳業務に従事していただきます。

③上記に付随する業務
社内外との連絡・調整業務等、上記に付随する業務を行っていただきます。

4.最後に

申請人の給与は月額26万円で、同経歴で同業務に従事する日本人の給与と同等でございます。業務に必要な経費等は別途支給いたします。申請人が入社した後は、当社が全責任を持って、日本国の法令遵守を指導してまいります。
当社が具体的に計画している○○〇〇事業の規模を拡大するために、申請人の採用は不可欠です。従いまして、今般の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格変更許可申請におきまして、許可を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

この記事の監修者

かざはな行政書士事務所

代表行政書士 
佐々本 紗織(ささもと さおり)

プロフィール
前職の市役所勤務の中で、国際業務に従事し、外国人支援の仕事に興味を持ちました。その後、一念発起して行政書士試験を受験し、合格することができました。
2025年5月に、広島県東広島市で
国際業務専門のかざはな行政書士事務所を開業しました。ビザ申請や帰化申請の代行サポート業務で、皆さんのお役に立つため、猛勉強の毎日です。

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